鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

マクベス・・・削ぎ落とされた演出

2010-03-20 21:02:34 | Weblog
昨日19日は、休暇を取って、夕方から、久々の都内へ。
のぁぁぁんと4ヶ月ぶりの都内です・・・。
・・・ということは、4ヶ月間、週末は、引きこもりだった訳で・・・。


世田谷パブリックシアターで上演中の『マクベス』ですが、本日が千秋楽のようです。
・・・私は、楽前ってことで、金曜日のソワレ。
お立ち見のお客さんも多数いらしてなかなかの盛況ぶり・・・。
不況だというのに・・・。

数年前に同劇場で上演された『国盗人(リチャードⅢ世)』を鮮烈に演じられた野村萬斎さんの演出・主演。『国盗人(リチャードⅢ世)』の流れを踏まえてのストーリーを極限にまで、削ぎ落としたシェイクスピアとなったようです。

シェイクスピアは、登場人物が多すぎて、誰が誰だかわからなくなることも多々あるのですが、この『マクベス』は、『マクベス』だけの『マクベス』的・・・な印象。

そう・・・マクベスの狂気だけを全面に押し出した感じの作品で、よく言えば、シンプル。
悪く言えば、雑。

シェイクスピアは、複雑な人間関係を描きながら・・・というのが従来のスタイルだから、逆の試みってとこでしょうか?

もし、可能ならば、マクベスとマクベス夫人だけの二人芝居・・・まで、削ぎ落としたかったのだと思うけれど、マクベスに欠かせない魔女三人・・・これは、どうしても必要な人物。
ちゃんと予言してもらわないとストーリーにならないし。

・・・そんなこんなで、登場人物5人の『マクベス』になったのでしょう・・・。
ほんとに、よく言えば、シンプル。悪く言えば、雑・・・。

舞台は、半球形のオブジェ風の大道具と回り舞台を大胆に活用した構成。

圧巻は、魔女の予言のバーナムの森が動くシーン。
赤い落ち葉が降り注ぎ、美しい・・・或る意味、ジャパネスクな歌舞伎をみるような演出。
赤い落ち葉のあとに、白く輝く雪を降らせるシーンは、もうそれだけで、美しい。
終局に相応しいラストと言えそう。

相変らず、よく通る低音の声のよさで、修飾の多い難しいシェイクスピアのセリフを当然のように演じる野村萬斎さん・・・このひとは、本当に、上手い。

導入部で、劇場のライトを落としたあと、暫く間があって、そして、また客席が明るくなったので、演出かな・・・???と思ったのだけれど、音響システムのトラブルだそうです・・・。
復旧に15分程度かかりましたけどね・・・。