鼎子堂(Teishi-Do)

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『港町純情オセロ』~柳の下にドジョウは、何匹いるのだろうか・・・??? 

2011-05-04 02:26:14 | Weblog
昨日は、4ヶ月ぶりに劇場へ。夕方からの雨降られながら、赤坂ACTシアターへ、劇団☆新感線『港町純情オセロ』を観劇に。

どうしてしまったんだろうか?
やはり、震災の影響なのだろうか?
新感線にしては、印象に残らないというか・・・随分と地味なステージだった。

どうも、シェイクスピアに取り付かれてしまったような演出家のいのうえひでのり氏なのだけれども、前回の『リチャードⅢ世』といい、今回の「オセロ」といい、生彩がないような気がしてならない。

シェイクスピアは、演劇人にとっては、最高峰だろうし、初回の『メタル・マクベス』その次の『朧の森に棲む鬼』が秀逸すぎた。あまりに完成度が高かったので、その後の二作品が、普通に見えてしまうのかもしれない。
シェイクスピアという柳の下には、三匹めのドジョウは、いるのだろうか?

たしかに、シェイクスピアをそのまま上演しても、現代人には、不可解だし、ちと難しい・・・といった局面もあるだろう。
老舗の文学座だとか俳優座あたりのセリフも演技もうまいんだけれども、古典は、退屈で、アクビをかみ殺しながら、二時間の忍耐っていうもの娯楽としては、辛すぎる。
その点、換骨奪胎して、演出した方が、わかりやすい。
・・・という訳で、1930年・・・昭和の始まったばかりのKANBE(神戸がモデルらしい)で、ヤクザの組長のオセロ(橋本じゅんさん)という設定。
イアーゴは、伊東郷(田中哲司さん)、デズデモーナは、モナ(石原さとみさん)という布陣。

シェイクスピアを昭和初期のヤクザの抗争にする・・・という発想は、面白いのだけれども、やはり、上手くかみ合わない。
昭和初期の港町というレトロな雰囲気は、よいのだけれども。
はっきり、1930年という年代を打ち出しながらも、どうみても、現代風のヤクザのスタイルだし、無理に1930年という時代に設定しなくてもよかったような気がする。

腰のアクシデントが尾をひいているのか、いつもより大人しい橋本じゅんさん。

特筆すべきは、イアーゴ(伊東郷)役の田中哲司さんは、秀逸だった。
もともと雰囲気のある上手い役者さんで、心理描写も抜群。
この舞台では、独り勝ちの感がある。このひとが主役を張っていた・・・いや、間違いなく、このひとが主役だろう(他の役者さんが、控え目すぎたのかもしれないが・・・)。

妙にはまっていたのが、小澤佐堂役の右近健一さん。
終盤で、イアーゴの処罰を暗示するセリフは、かの西太后の一場面を思い出させる。

最初にも、書いた。
震災の影響で、派手な演出を控えたのかどうか・・・そのヘンは、不明だけれど、とにかく、華のない舞台となってしまったことは、残念だった。
とにかく、シェイクスピアは、消化不良に終わりやすい・・・演出するには、かなりの技術力がいるということか・・・。

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