庭の花

自然を愛し、楽しみ乍らの
スローライフです

あさがお 

2007-10-20 15:07:38 | 練習
あまりに他人らしくお扱いになりましたから、きまりも悪くなって帰りましたが、哀れな私の後ろ姿をどうお笑いになったことかと口惜(くちお)しい気もしますが、しかし、


見し折りのつゆ忘られぬ朝顔の花の盛りは過ぎやしぬらん



どんなに長い年月の間あなたをお思いしているかということだけは知っていてくださるはずだと思いまして、私は歎(なげ)きながらも希望を持っております。

 という手紙を源氏は書いたのである。真正面から恋ばかりを言われているのでもない中年の源氏のおとなしい手紙に対して、返事をせぬことも感情の乏しい女と思われることであろうと女王もお思いになり、女房たちもそう思って硯(すずり)の用意などしたのでお書きになった。


秋はてて霧の籬(まがき)にむすぼほれあるかなきかにうつる朝顔


秋にふさわしい花をお送りくださいましたことででももの哀れな気持ちになっております。

青空文庫より 源氏物語 朝顔 紫式部 與謝野晶子訳


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