夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

最近ハマっている本、“法医昆虫学捜査官”シリーズ。

2023年09月14日 | 映画(番外編:映画と読み物)
劇場に5日間行かなかったら、ネタが尽きました。
毎日劇場に行けば書くことありすぎで、速攻で打ち切りになってしまう作品も多いから、
このブログで紹介する頃には上映している劇場がもうないなんてこともありますし、
ちょっと劇場通いをさぼったらネタがなくなるし、困ったものです。
 
でも今回はさぼっていたわけではないのです。
生きている間には拝めないかと思っていた阪神タイガースのアレが現実的になってきたから、
映画を観ている場合じゃない。と言いつつ、試合を観るのが怖かったりもします(笑)。
 
そして、先週は92歳の母がコロナに罹患。
幸いにして発熱していることを除けば元気ではありますが、
高齢で昨年手術した大腸がんが肝転移していることもあって慎重を期し、入院。
今年スマホデビューしたおかげで入院中もLINEを駆使、連絡も簡単です。
とはいうものの、用事は増える一方で、合間には父が入所中の施設からも電話がかかってきたり。
お気楽に劇場通いするのはなかなか厳しい状況です。
 
そんなわけで、ゆっくり読書に没頭する時間もなかなか作れずにいるなか、
今ハマっているのが川瀬七緒の“法医昆虫学捜査官”シリーズ。
子供服のデザイナーでもある川瀬さん。私が初めて読んだのは『女学生奇譚』でした。
京極夏彦を思わせる時代設定が気に入り、1冊でお気に入りの作家に。
 
その次に読んだ川瀬さんの著作がこの“法医昆虫学捜査官”シリーズ。第1作の感想はこちら
単行本が出版されたのが2012年、文庫化が2014年ですから、
私が読みはじめたのは最初の出版から10年経ってからのこと。
もっと早く知りたかったと思う反面、中山七里内藤了の大好きなシリーズとは時を違えて知ることができてよかったような。
読みたいシリーズが同じ時期に集中すると、ほかの作家に手を出せなくなっちゃうから。
 
虫をこよなく愛する法医昆虫学者・赤堀涼子。
昆虫の専門家として事件の捜査に彼女も加わることになります。
童顔の彼女はただでさえ30代後半には見えないのに、嬉しそうに虫取り網を持って現場に登場。
ここには書きたくない虫を被害者の遺体などから見つけることで、死亡推定時刻や殺害場所を見事に割り出してゆきます。
各巻、虫のみならず、海の生物、山の動物などの習性なども赤堀が説明してくれます。
 
たかが虫だろと彼女を見下していた警察官たちが、やがて彼女を認めざるを得なくなる。
最初から彼女に一目置いていた刑事の岩楯は、事件が起こるたびに彼女のお守り役を仰せつかり、
さんざん振り回されながらも共に解決に導いていく様子がとても面白い。
 
そして毎巻、岩楯とコンビを組む事件地元の若手刑事が変わります。
最初から赤堀の仕事ぶりに魅入られて懐く者、どうしても彼女の能力が信じられない者とさまざま。
しかし後者もやがて赤堀に敬意を払うようになります。
 
毎巻変わらず登場するのが、害虫駆除会社代表の大吉くん。
ずんぐりむっくり、ウズベキスタン人とのハーフで、見た目はとても怪しい。
赤堀と旧知の仲である彼が各地で活躍する姿からも目が離せません。
 
第7作が最新作なのですが、出版されたのは2019年(文庫化は2021年)。次巻があるのかどうか不明です。
今のところ私は第5作まで読了。同じ作家は続けて読まないようにしているのに、早く読みたくて仕方がない。

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2023年8月に読んだ本まとめ

2023年09月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
8月も7月と同じく6冊しか読めませんでした。なんでや~。
なんでや~って、仕事帰りに毎日のように映画に行って月30本以上観て、
野球を観に行って、ごはん食べに行って、実家で母と過ごして、
父の皮膚がんの手術に付き添ったら、本読む時間は作れないっちゅうの(笑)。
でも、今月こそもっと読みたい。

2023年8月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2232ページ
ナイス数:779ナイス

■ヒポクラテスの悔恨(祥伝社文庫な21-4) (祥伝社文庫 な 21-4)
連作短編のような長編。絶対に自然死にしか見えない殺人を暴いてみろという光崎教授への挑戦状が届いたものだから、古手川刑事と真琴先生がピンと来た遺体はなんとか解剖に持って行かねばなりませぬ。最終章までは挑戦状の主の仕業ではなかったけれど、いずれも見せかけの自然死。1章終わるたびに唸ります。「相手の無知に配慮できる」小山内さんとか、脇役も光っている。死人に口無しと言うけれど、死体ときちんと向き合えばいろいろわかるものでしょうか。また全部持って行かれたと憮然とする古手川刑事。次はオイシイとこ取れるように頑張れ。
読了日:08月05日 著者:中山七里

■ときどき旅に出るカフェ (双葉文庫)
新規オープンした店の7割が2年以内に潰れるのが飲食業の現状らしい。そんな中で主人公が通うようになったカフェは、かつての同僚が店主。どんな話にもちょっとした謎を潜ませるのが得意な著者だから、本作も何が起きているのか興味津々。これを読めば、酷暑に減退気味の食欲も湧いてくる。ちなみに本作で「そんな人は聞いたことがない」と言われているけれど、私は月餅大好きです。但し、卵黄入りではなくて、木の実とドライフルーツぎっしりのやつ。そうですか、新刊だと思って読んでいたのに、すでに第2弾が出ているのですね。こりゃ楽しみだ。
読了日:08月06日 著者:近藤 史恵

■メビウスの守護者 法医昆虫学捜査官 (講談社文庫)
前作の「ゲスト」はシャコでしたが、今回はタヌキ。しかしやっぱりメインはウジで、それが豪雨のごとく空から降ってくるところなんて絶対に想像したくない。ないのに想像しちゃってる(笑)。岩楯刑事が怯えながらも耐性のついてきているところが可笑しい。そして彼の相棒は必ず赤堀先生の信奉者に。犯人はそれなりに怪しげな人だったけど、殺人の理由はこれまでで最も猟奇的だったかもしれません。香水と聞くと、映画『パフューム ある人殺しの物語』『パリの調香師 しあわせの香りを探して』を思い出します。華麗な世界と狂気の世界は紙一重。
読了日:08月14日 著者:川瀬 七緒

■対岸の家事 (講談社文庫)
訳あって、私は最初から子どもを持つ気がなかった者です。だけど結婚すればしょっちゅう「お子さんは?」と聞かれる。「ほしくないんです」とは言えないから「いいえ」と答えると、同情の目で見られ、可哀想だとすら言われる。結局、既婚でも未婚でも、子どもがいてもいなくても、本作のように誰かから見下される。でも、もしかすると見下すことで生きていられるのかもしれないと思うほど、毎日は大変。みんなできることはちがう。だったら見上げ見下すよりも、お互いを認めて、味方はひとりでも多く。日々の心持ちを教えてもらったように思います。
読了日:08月16日 著者:朱野 帰子

■侵蝕 壊される家族の記録 (角川ホラー文庫)
ずっと、どうして私はこんなにも嫌な話を読んでいるんだろうと思いながら読んでいました。これをただのフィクションとは笑えないような事件が世の中には実存します。マインドコントロールの恐ろしさ。とはいうものの、映画で私がいちばん苦手なのが「老けメイク」。某テレビ番組を観ていても老けメイクにひっかかる人に「なんでやねん、わかるやろ!」とツッコミを入れたくなるため、この犯人にはドン引き。声にも年齢は表れる。違和感バリバリじゃなかったか。犯人のことはさておき、マインドコントロールの行程にはちょっとメンタルやられそう。
読了日:08月21日 著者:櫛木 理宇

■サブマリン (講談社文庫)
前作の『チルドレン』が大好きだったことは覚えていますが、陣内のことを「部下を振り回すハタ迷惑な上司だけど、最後は泣かされる」程度にしか覚えていませんでした。本作もそんな感じで話は進み、ラスト20頁で胸を打たれる。人を撥ねた若者に救いなんてあるものだろうかと思っていたのに、「何でもかんでも機械的に厳しく罰していくわけにはいかない」という陣内の言葉には感極まりました。命の穴埋めはできない。だったらどうすればいいのか。被害者のこと、加害者のこと、いっぱい、いっぱい考えさせられます。こんな家裁調査官がいてもいい。
読了日:08月29日 著者:伊坂 幸太郎

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2023年7月に読んだ本まとめ

2023年08月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
今年は全然読書が進みません。月6冊なんて、涙が出る。(T_T)
映画の観すぎか、それともスマホを持ったせいか。(--;

2023年7月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1848ページ
ナイス数:691ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2023/7

■渇水 (角川文庫)
原作が短編小説であることを知ったのは映画の鑑賞後。160頁という薄さにも惹かれて買いましたが、映画とは違うラストが衝撃的。映画を観たとき、幼い姉妹は結局取り残されたまんまなのだから、光が射しているとも思えず、少し甘い最後のように感じていました。ところがこのラストは甘いどころか絶望しかない。表題作とあとの2編にもこの絶望感があって、読みながら佐藤泰志のようだと思っていたら、この著者もすでに亡くなっているというではないですか。自ら命を絶ったわけではないけれど、死を見つめていたように思える3編に言葉を失います。
読了日:07月02日 著者:河林 満
https://bookmeter.com/books/20892016

■緑の我が家 Home,Green Home (角川文庫)
男子高校生がスマホも持たずに独り住まいの部屋にわざわざ固定電話を引くものだろうかと思ったら、30年以上前の作品だったのですね。モジュラージャックを抜いていても鳴る電話というのは、それだけで怖くて十分ホラー要素になる。ホラーを読むときの私の常、素面だと怖いから飲酒しながら。酔っぱらっているのに終盤は涙がダダーッと溢れる。仕返ししたら何かいいことあるのかと不思議そうだった彼。自分はこれ以上死んだりしないからと笑ってかばってくれた彼のことを思うと、切なすぎて、悲しすぎて、泣きながら最後を迎える読書となりました。
読了日:07月06日 著者:小野 不由美
https://bookmeter.com/books/20247061

■アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿 (双葉文庫 さ 50-01)
気楽に読める連作ミステリーだと思っていたら、最後に凄絶な復讐劇だとわかって呆然。子どもながらに自身が目にしたことを語っていたつもりがデマの元になっている。知らないうちに人を傷つけていることの重大さに気づかされます。悲しくてたまらない。余談ですが、井出があまりにアレアレと言うのは、大阪出身の澤村さんがアレをアレしてくれたのかと思っていましたが、今年書かれたものではないのですね。アレを予見してのことか(笑)。これを糧にライターとして陸男が成長しますように。練馬姐さんのファンになりました。また出番があるかしら。
読了日:07月13日 著者:澤村 伊智
https://bookmeter.com/books/21219690

■怪談青柳屋敷 (双葉文庫 あ 66-03)
怖がりのくせしてこんな怪談を読んでいられるのは、私が20年前から住んでいる家、そして死ぬまで住むであろうこの家には何も曰くがないとわかっているからなのですよね。しかし本書を読むと、今ここに何もなくても、どこかから連れられて来る可能性はゼロではないなと思ってゾーッ。中扉が何気なく怖い。夜中に読んだら怖すぎる話もあるけれど、そこは「イミカワ」。おどろおどろしい図も明るいほうに想像して「カワイイ」と思うことにします。もういい加減やめようと思いつつ読んでしまう怪談。寝るときに思い出さずに済むのはおそらく歳のせい。
読了日:07月15日 著者:青柳 碧人
https://bookmeter.com/books/21005401

■水底の棘 法医昆虫学捜査官 (講談社文庫)
頁を開くと「夏からの知らせ」の文字があり、いま読むのにピッタリだと思ったら、舞台は冬じゃあないですか。まぁ、夏にウジを見るよりは良し。毎度想像したくないシーンの連続なのがこのシリーズ。そこを我慢して読む価値は十分あります。本作では昆虫のみならずシャコについても詳しくなれそう。見目麗しいとは言えないシャコが性格も獰猛とは(泣)。赤堀先生には惚れざるを得ません。岩楯刑事とのロマンスは今後も要らないけれど、鰐川刑事の懐きぶりはちょっとカワイイ。いちばん悪事に絡んでほしくなかった人の関わりはショック。漁師の実情。
読了日:07月24日 著者:川瀬 七緒
https://bookmeter.com/books/11097097

■営繕かるかや怪異譚 その弐 (角川文庫)
そんなに怖くないやんと思いながら読んでいたのに、3つめの話を読んだ夜、仰向けになって寝ていたら、上から誰かに押さえつけられているような気がして目が覚めました(笑)。内藤了の“よろず建物因縁帳”の曳き屋・仙龍を思わせるけど、そんなにタッパもなさそうで、見た目も地味そうな営繕屋・尾端。どちらも好きです。レトロやアンティーク流行りでも、作った人や使っていた人の想いを無視してはいけないことを知る。化けて出る幽霊にも心優しい人がいて、住人を心配してくれている場合もあることを知る。尾端こそが優しくて、続編を読みたい。
読了日:07月27日 著者:小野 不由美
https://bookmeter.com/books/19732403

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2023年6月に読んだ本まとめ

2023年07月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2023年6月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2288ページ
ナイス数:714ナイス

■床屋さんへちょっと (集英社文庫)
この著者も何年か前にドハマりして大人買いした人です。思いのほか著作が多くて、同じ著者を続けて読まないことにしている私が読破するのは相当の時間を要します。本作は10年以上前の作品ですが、床屋は床屋、どんな時代になろうがきっと存在し続ける。いずれロボットが髪を切ってくれるサロンが登場するかもしれないけれど、寡黙な店主だったり聞き上手なスタッフだったり、やはり人の良さは代えがたいものではないかなぁ。ちょうど1年前に亡くなった弟が通っていた美容院に今は私もお世話になっています。床屋さんへちょっと顔を出したくなる。
読了日:06月02日 著者:山本 幸久

■驚きの雑学 世の中の「ウラ事情」はこうなっている (PHP文庫)
去年亡くなった弟の本棚にあった本です。弟は「読むこと」自体は嫌いではなかったらしく、ネットで見つけたあれこれのURLを送ってきては「読んでみて」と言っていたけれど、紙の本はほぼ読まなかったようだから、余計になぜこれを持っていたのか気になります。今となってはその理由を聞くこともできませんが、誰かからもらったとしか思えない(笑)。なにしろ初刷が2000年。今から四半世紀近く前の話は何もかも古すぎます。でも、子どもの頃に聞いた「死体洗いのバイト」の話などは、死体に足を引っ張られる怪談を思い出して懐かしくなった。
読了日:06月04日 著者:日本博学倶楽部

■怪物 (宝島社文庫)
小説の映画化ではなくて映画の小説化だから、そのまんまの話なのは当たり前。映画を観て腑に落ちなかったシーンをするりと解説してくれているかのようです。是枝監督作品はなんとなく鼻について、今まで世間で評価されるほどには好きになれなかったけれど、本作はすごく好きでした。予告編を観て子どもを想う母親vsイカれた教師を想像していた自分の浅はかさを思い知らされました。少しだけ気になっていたシーンの所以がわかってスッキリ。だけど不思議なことに、スッキリすると余韻も薄れる。映画を観てから本作も読むことをお勧めします。
読了日:06月13日 著者:佐野 晶

■駅の名は夜明  軌道春秋Ⅱ (双葉文庫 た 39-02)
時代小説に苦手意識のあった私に“みをつくし料理帖”を全巻まとめて貸してくださった姐さんがいて、要らないと言えずに読みはじめたらどっぷりハマる。あれから何年経ったことでしょう。もちろん“あきない世傳”にもズボッと。シリーズが終わったタイミングで同じ姐さんにお借りした本作は時代物ではありません。読者の年齢層を意識してのことか文字も若干大きくて、より読みやすい。北海道が登場したせいなのか、ちょっと桜木紫乃っぽい。結局、時代物であれ現代物であれ、こういう文体が私は好きなのでしょうね。国鉄時代を知る人、特にどうぞ。
読了日:06月14日 著者:髙田 郁

■LIVE 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花 (角川ホラー文庫)
とっとと読むはずが、あまりに怖そうで深夜には頁をめくれず。だって人形ですもの、しかも花嫁人形。プロローグの状況を想像するだけで怖気が走る。比奈子恵平のような可愛げはないと思われた清花でしたが、飄々とした班長と頼もしく可笑しい班員に囲まれて、自らを省みながら様々な見方ができるようになっていく様子が良い感じ。産毛まで生えている人形となれば、もう「それ」しかないわけで、想像力を働かせないようにして読みました。ホラー苦手と言いつつ観た『ミーガン』よりこっちのほうがおぞましい。人形婚や冥婚に興味を引かれます。
読了日:06月21日 著者:内藤 了

■隣はシリアルキラー (集英社文庫)
勇気を振り絞って『忌怪島』を観に行った後、内藤さんの花嫁人形がおぞましいヤツを読んで、さらには中山さんのこれも読んで、何が楽しゅうて私の毎日ホラー漬けなのか。各章にタイトルが付いているため、隣室にまつわる短編集なのかと思っていたら長編でした。ホラー慣れしてしまったのか、五感からは震え上がりません(笑)。でも中山さんの話には、外国人技能実習生の話だとか戸籍を買う話だとか、社会背景が反映されていて、どことなく重い。とはいえ、気楽に読める作品です。何を読んでも“御子柴弁護士”シリーズの面白さには敵わないけれど。
読了日:06月24日 著者:中山 七里

■トラップ・ハンター 憑依作家 雨宮縁(祥伝社文庫な25-4) (祥伝社文庫 な 25-4)
いったいどれだけ筆が速いのか、内藤さん。毎月出るよ、各シリーズから1冊ずつ。続編がありそうだったのに1巻で終わった“微生物研究室特任教授坂口信”なんてのも過去にありましたが、それ以外はきっちり続いています。若い女子から老人まで違和感なく変装するなんて無理だろうと思っていたけれど、秘書の庵堂の来歴がわかってくると、縁は何にでもなれそうな気がしてきます。戦慄の展開の中で、編集者・真壁と装丁デザイナー・蒲田のおっかなびっくりの様子が面白い。実際にイベントに居合わせた気分にもさせられました。どこまで続くのかしら。
読了日:06月29日 著者:内藤了

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2023年5月に読んだ本まとめ

2023年06月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2023年5月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2545ページ
ナイス数:779ナイス

■逆転美人 (双葉文庫 ふ 31-03)
これだけ帯で煽られたら誰でも身構えて読むから、書き手は彼女ではないのだろうというのは、多くの人が想像できたことだと思います。その通りだとわかったときには「けっ、この程度かよ」と悪態つきそうになったけれど(笑)、そこから先は確かに「紙の本でしかできない驚きの仕掛け」。果たして少女がどのように告発するのかを見守ることになりました。種明かしに至るまでの間、美人の悩みなんて知る由もない私は、それはそれで大変だなぁと夢中で読みましたが、結局これでは「美人は性格が悪くてバカ」になっちゃって、私たちには胸のすく展開!?
読了日:05月01日 著者:藤崎 翔

■虹にすわる (幻冬舎文庫 た 45-5)
昨年6月に弟が亡くなりました。その5カ月後、弟よりひとつ下の私の友達も同じように癌で亡くなりました。20年以上前に弟と彼は面識があり、亡くなるひと月前に「向こうで弟さんに会えるとおもいます」と連絡をくれました。そんな彼が木工職人で、遺作となった椅子が展示されている今、木工の話だなんて知らずにこれを読んだものだから、思わず涙。「虹にすわる」とは良いタイトル。彼の遺作は曲線が虹っぽいベンチシートで、ふたり並んで座っているところを想像します。瀬尾まいこが好きな人なら瀧羽麻子もきっと好きですよね。心が温かくなる。
読了日:05月05日 著者:瀧羽 麻子

■ロスト・ケア (光文社文庫)
映画鑑賞後に読み、原作との相違点にいろいろと戸惑いました。検察官の性別が異なるのは驚くようなことではないにしても、介護士の職場と検察官の親が入居する老人ホームの母体が同じだったり、そもそも検察官の父親は孤独死していなかったり、映画化に当たってかなりの改編を必要とするほど難しい作品だったのだろうと思います。検察官の言うことは確かに正論だけど、映画版を観たときに特に心に残ったのは、家族の絆とは何なのかということでした。時には断ち切ったほうが皆が楽になれる場合もある。介護保険制度について考える機会になりました。
読了日:05月08日 著者:葉真中 顕

■思わず考えちゃう
ちょっとだけ何か読んでから就寝したいなぁと思ったとき、気軽に手に取れるのがヨシタケさん。しかし手に取ったが最後、読むのをやめられなくなる。ヨシタケさんの著作中、これは私のいちばんではない。「生きるヒントに。」と謳われている時点で説教くさい気がしてしまうから。最終章はその気配が若干強いけど、前の2章は笑いました。ヨーグルトの台座もストローの袋も、私はヨシタケさんとピッタリすぎて、逆に合わないですよね、きっと(笑)。心配事を吸わせる紙、ほしい。明日やるよ。すごくやるよ。って、しっかり生きるヒントにしている私。
読了日:05月09日 著者:ヨシタケシンスケ

■最後のページをめくるまで (双葉文庫)
どんな本かを説明するに当たり、本作中の作品タイトルをひとつ借りるなら、「読み勝手のいい本」です。1編50頁程度の短編が5つ。連作ではないのでどこから読んでもいいし、どこでやめてもいい。これほど読み勝手がよいにもかかわらず読了に時間がかかったのは、読みやすそうだと思って毎度飲酒してから本を開いていたからです(笑)。酔っぱらって読んでは絶対アカンやつで、全然意味がわからなくなり、翌日戻って読むことを繰り返していたら、10日もかかってしまいました。飲むなら読むな、読むなら飲むな。悪いことはでけん。それに尽きる。
読了日:05月19日 著者:水生 大海

■おんなの女房
武家の娘・志乃が嫁いだ相手は歌舞伎役者。しかも大人気の女形・燕弥。芝居好きの娘ならともかく、これまで芝居をまったく知らなかった娘は芝居を学ぼうとするわけではありません。けれども、家でも女として振る舞う燕弥を支える志乃は健気でもあり、逞しくもあります。病に罹ったと知って役者を辞めようとする燕弥。役者でなくなれば男になる。そうしたら夫婦として普通に穏やかな家庭を築くことができたでしょうに、彼は死ぬまで女形でいるべきだと感じた志乃が一発かますシーンにはシビれました。志乃に惚れてしまいそう。大変だな、役者の女房。
読了日:05月21日 著者:蝉谷 めぐ実

■ニート・ニート・ニート (角川文庫)
一時ハマって大人買いした著者です。どうしようもないニート3人プラス不機嫌女子1人で向かうことになった北海道。きっかけを作った奴は逃亡者の身なのに要らんことばかりするから、あちこちでぶっ殺されそうな目に遭います。「ちょっとテンポの悪い木下半太」みたいな印象がなくもないけれど、それはまたしても私が酒を飲みながら読んだせいなのか。いずれにせよ、もっと評価されても良い作家だという思いは変わりません。序盤は好きになれなかった登場人物たちのこともだんだん愛おしく思えてくる。ダ・カーポの『宗谷岬』が頭の中を巡るよ~。
読了日:05月26日 著者:三羽 省吾

■婚活中毒 (実業之日本社文庫)
嬉しくなるほどの読みやすさ。飲み会に向かう前とその帰りの電車の中、片道小一時間。往路と復路できっちり2話ずつ、駅に帰着するときには読了できてスッキリ。この著者の嫌ミスはどれも面白いですねぇ。婚活にまつわる皮肉に満ちた話4つ。結婚に対する執念にゾッとします。どんでん返しは「どっひゃー」と驚くほどではないけれど、ニヤリと笑ってしまう加減が好き。ここまでして結婚相手を手に入れたとして、果たして幸せになれるものですか。最終話は、この親父がもっと痛い目に遭ってもいいのにと残念に思った私は性格が歪んでいるでしょうか。
読了日:05月27日 著者:秋吉 理香子

■結局できずじまい
はいはーい、最近の月に一度のお約束、「月末が近づくと冊数を稼ぐためにヨシタケさんを読む」。ヨシタケさんの著作があまりに多くて、どれも読みたいけれども、続けて同じ著者の作品を読むのを避けている私としてはちょうどいい案配かもしれません。買った本を読むことができないのは私も同じ。あくまで「なかなか」できないだけですが、買うまでの瞬間が楽しい気持ちはよくわかる。そしてまた積読が増えてゆく。あぐらをかけないヨシタケさんの後ろ姿が可愛らしすぎて笑いました。人それぞれに違ったできないことがあるからこそ許し合い助け合う。
読了日:05月29日 著者:ヨシタケ シンスケ

■赤い魚の夫婦
メキシコ在住経験のある友達が貸してくれました。彼女のメキシコへの想いは相当なもので、WBCのときは日本じゃなくてメキシコを応援して家族の顰蹙を買ったというぐらい、メヒコ大好き!なのだそうです。独特の雰囲気漂う短編5つ。ゴ○○リ(書きたくない(笑))だったり、爪の中の菌だったり、ぞわぞわするものばかりが出てくるのに、目を背けることができないばかりか、ちょっとクセになりそう。ギレルモ・デル・トロとかアレハンドロ・ホドロフスキーとか、メキシコ人監督の映画に惹かれる私はとても気に入りました。奇才か鬼才か、変態か。
読了日:05月31日 著者:グアダルーペ・ネッテル

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