夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2022年4月に読んだ本まとめ

2022年05月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2022年4月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2937ページ
ナイス数:730ナイス

■【2021年・第19回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作】元彼の遺言状 (『このミス』大賞シリーズ)
内藤了の“よろず建物因縁帳”の春菜みたいに鼻持ちならんヒロインだと思いました。でも私、春菜のことは最初から好きだったんですよね。この麗子は金にしか興味がないらしく、好きになれそうにもない。そんな彼女は優秀な弁護士。昔少しだけつきあっていた製薬会社の御曹司が急逝し、彼の遺言状には自分を殺した犯人に全財産を相続させるとある。依頼人を犯人に仕立て上げ、分け前を頂戴することはできるのか。金がすべてじゃなかったと知るとき、彼女のことが好きになりました。最後は想定外の清々しさ。応募時とは変更したタイトル、さすがです。
読了日:04月04日 著者:新川 帆立

■地面師たち (集英社文庫)
思えば私が地面師なるものを知ったのは、本作のモチーフとなっている事件が新聞紙上をにぎわせていたときだったのでしょう。世の中にはこういう「仕事」があるのかと目が点になりました。当時その事件を映画化したいと思いながらもできなかった大根仁監督が、これを映画化すればいいんだと目を輝かせる姿を想像。でもやっぱりできないんですね。嗚呼、大人の事情。何億何十億を稼ぐ詐欺で、売り主のなりすまし役に支払われるのは数百万。応募者は金に困っている人ばかり。数百万では借金の完済もできないのに。永遠に騙し騙される。なんだか切ない。
読了日:04月06日 著者:新庄 耕

■洋食 小川 (幻冬舎文庫)
小川ちがい(笑)。最初の数編を洋子さんと思い込んで読んでいました。洋子さんは結構読んでいるのに、誰ですかこのペンギンさん。と訝っているうちに糸さんだと気づく。『ツバキ文具店』に関するアナウンスが多すぎるようには思うけど、そりゃまぁ当然のことで、うんざりするほどではない。挙げられた映画すべて劇場で観た身としてはより楽しめるエッセイです。ウルグアイのムヒカ大統領の「憎しみのうえに、善きものは決して築けない。異なるものにも寛容であって初めて、人は幸せに生きることができる」という言葉は今まさに心に留めておきたい。
読了日:04月07日 著者:小川 糸

■ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 (角川文庫)
作家は器の大きい人であってほしいと思っていますが、同じ器の大きさの人ばかりでも面白くないわけで。それにしてもこれでは人間不信というのか作家不信に陥りそう(笑)。そんな作家たちを向こうに回し、Z級ラノベ作家の李奈がずんずん逞しくなっていくのが頼もしい。ところで数カ月前、『文豪ストレイドッグス』を予備知識なしで劇場鑑賞しました。太宰と芥川をはじめとする文豪たちが得意技で戦います。技の名は“人間失格”とか“羅生門”とか。それを思い出しながら本作を読んだからか、いつか技が繰り出されそうな気がしました。出ないけど。
読了日:04月13日 著者:松岡 圭祐

■マスカレード・ナイト (集英社文庫)
これって映画化ありきの作品だよね、キムタクと長澤まさみでしか頭の中で話が進まないじゃあないかなどと思いながら。評価が高いようですが、もしも映画版を観ていなければ、私はきっとついていけなかった気が。登場人物があまりに多すぎ、しかも偽名を使っている人ばかりだから、誰が誰やらさっぱりわからない。いや、もしかすると映画版のキャストをいちいち思い出しながら読むせいでこんがらがったのか。高岡早紀と木村佳乃は原作のイメージぴったりだけど、麻生久美子はどうもしっくり来ず。ついていけないのは単に私が酔っぱらっていたせいか。
読了日:04月17日 著者:東野 圭吾

■TRACE 東京駅おもてうら交番・堀北恵平 (角川ホラー文庫)
“よろず建物”が終わり、“夢探偵フロイト”も終わったところへ、ケッペーまでラストに近づいているのがありありとわかる本巻はなんとなく切ない。以前、本シリーズも含めて内藤了の既刊を一挙に友人に貸した際、登場する食品や雑貨を集めて贈ってきてくれたことがあります。本巻はいつにもまして土産物の宝庫。みすゞ飴に雷鳥の里、大信州。根曲がり竹と鯖缶で味噌汁をつくるとは知らなんだ。もう会えなくなるかもしれない面々を想うとたまらなく寂しい。それにしても死体発見のシーンは相変わらずえげつなくて怯む(笑)。事件の解決を待ちます。
読了日:04月22日 著者:内藤 了

■文庫版 地獄の楽しみ方 (講談社文庫)
2019年におこなわれた10代の若者向け特別授業をもとに構成したものなのだそうです。冒頭いきなり京極さん本にはありえない「頁またぎ」の箇所が出てきたので、これホントに京極さんなのかしらと疑いの目を向けてしまいましたが、読めば確かに京極さんの講演。数々の覚えておきたい言葉にメモを取りかけたけれど、メモを取らずとも思い出すものだと京極さんに言われてやめる(笑)。勝ち負けって何だよという話はちょっと目からウロコでした。「役に立たない」とか「面白くない」とかいうのはもうやめよう。物事を楽しめるかどうかは自分次第。
読了日:04月24日 著者:京極 夏彦

■姑の遺品整理は、迷惑です (双葉文庫)
一昨年、義母が他界しました。週に一度は嫁の私がひとりで実家に寄ってお茶を飲みながら話をする間柄で、嫌な思い出は何ひとつありません。たぶん。でも亡き後の実家の様子はまるで本作のまんま。アヲハタのイチゴジャムなんて20個ぐらいありましたし、台所の隅からはビニール袋の中でドロドロになったほうれん草も出てきました。何も捨てる気のない夫の顔を見て主人公が「この男は本物の馬鹿なのか」と思うシーンは笑いました。いえ、ウチの夫はそんなこと絶対言いませんでしたけれども。遺品を整理して気づくことがある。楽しめたらいいと思う。
読了日:04月26日 著者:垣谷 美雨

■惑いの森 (文春文庫)
たぶん私はこの本を何度読もうが理解できません。50編で200頁。独立した短編集かと思いきや、これはあの人あれはこの人という人物がいっぱい出てきて、でもどうなっているのかまるで説明できない。こんなに訳がわからないのになぜか退屈ではなくて、この世界をわかりたいと思ってしまう。時に登場するご本人もどきは好きになれないけれども、タクシー運転手が、郵便局の人が、塔を作りつづける老人のことが気になって仕方ない。わからないのに美しく、不思議と陰鬱な印象は受けませんでした。私もハシゴをのぼりたい。世界は美しいと思いたい。
読了日:04月28日 著者:中村 文則

■ずぶずぶ: 疲れた中年を更に疲れさせる超短編小説集 (Pandora Novels)
初めての電子書籍だから、すぐに読み終われそうなやつ。まずは私の読む速度を測ってくれるのですね。現在の頁/総頁だったり、全体の何%地点に今いるのかだったり、この章を読み終わるまでにあと何分かかるのか、最後まで読むにはあと何時間必要なのか、全部表示してくれます。もっとバッテリーを食うものだと思っていたら意外に減らないし、これはアリ。だけど本書は電車の中では読めません。たいしてエロではないけれど、ずぶずぶだから(笑)。かといって惹き文句ほどには凹まない。初Kindleにピッタシ。無料だし。でも私はやっぱり紙派。
読了日:04月30日 著者:高橋熱

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2022年3月に読んだ本まとめ

2022年04月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2022年3月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3098ページ
ナイス数:729ナイス

■あきない世傳 金と銀(十二) 出帆篇(時代小説文庫)
なぜかこれが最終巻だと思い込んで最後まで読みました。先に読了した人から「安心して読めるよ」と聞いていたから、さすがに最終巻は悪いこと何も起こらず心穏やかにいられるのだなぁなんてニコニコしながら。常に身構えていないとどんな苦境に立たされるかわからないのが高田先生のシリーズ。でも、本巻ではムカつく音羽屋忠兵衛と結の名前が申し訳程度に出てくるのみで迫力なし。結とは和解しないまま終わるのね。でもええわ、あんな奴。そう思ったのに。えっ、まだ終わらないんですか。ということは次ぐらいに来ますかね、ドッカーンと。ひぃぃ。
読了日:03月04日 著者:高田 郁

■下着の捨てどき (文春文庫 ひ 20-12)
そうなんですよ。下着の捨てどきってすごく悩むんです。下着代に糸目をつけずにいつでも勝負下着を身につけているような人はいざ知らず(笑)。十年以上経っても、確かにへたっちゃいるがまだ使えるよねぇ、てなものばかり。特にブラジャーは、盛ることさえ意識しなければ、ビヨンビヨンになろうとも使えるんですってば。というような気持ちから、スルーできないタイトル。老いてゆくことを悲観せずにしみじみ優しい気持ちで見つめたくなるエッセイ。映画の話も見逃せないけど、やはり食べ物の話に目が行きます。食い意地は歳をとっても収まらない。
読了日:03月07日 著者:平松 洋子

■群青の魚 (光文社文庫)
登場人物がとりわけ多いわけではなかろうに、かなり頭がこんがらがります。所轄の刑事と交番勤務の警察官ら、似たタイプが入り乱れるうえに半グレ集団の幹部も混じり、各々の行動が描かれるから、アンタはどこのモンでしたかと聞きたくなる。肩入れしたくなるキャラの人もほぼいないけれど、とても面白かったのは確か。事の顛末が気になってやめられません。舞台は特別養護老人ホーム。認知症の老人が殺されて、容疑者も認知症。想定以上に大がかりで嫌な話。介護職は重労働で低賃金の一方で、老人を喰いものにして楽して稼ぐ輩がいる。どうなのさ。
読了日:03月10日 著者:福澤徹三

■デジタルリセット (角川ホラー文庫)
還暦を過ぎてから作家デビューした方らしく、沼田まほかるの上を行く。何事も始めるのに遅すぎることはないんだなぁ。誰もが見惚れてしまうようなイケメンのシリアルキラー。彼が現在の勤務先から姿を消す中盤以降、いきなりハードボイルドの様相を呈してきます。彼の気持ちは想像するしかないのがちょっと物足りなくもあり。何もかもデジタルで評価しておいて、取引先との関係には忖度せよというのは理不尽なような。5回アウトで抹消されるなら世界から誰もいなくなる。何でも効率化を最重要視していたら、彼のような人が生まれるかもしれません。
読了日:03月14日 著者:秋津 朗

■めぐり逢いサンドイッチ (角川文庫)
食べ物がらみの小説を書くのってニッチだなぁと思います。ビストロだったりお弁当屋さんだったり、各種スイーツもあったりして、さまざまなお店を舞台にした小説がすでに存在しているから、入り込む隙を探すのが大変。でもニッチを上手く見つけられたらその時点で成功。シリーズとしていくらでも続けられるし。サンドイッチとちょっとした謎。ミステリーというほどではないけれど、食に関する思い出は、他人には想像できないほど大切なものかもしれません。苦い気持ちもサンドイッチを通じて変わる。ツナとレンコンとコロッケサンド、お願いします。
読了日:03月15日 著者:谷 瑞恵

■看守の流儀 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
映画の世界では看守による受刑者への虐待なども見かけますが、もちろんそんな看守ばかりではないわけで。出所する彼らをこんなふうに送り出そうとする看守の姿に心を掴まれました。確かに最後は唖然。人の思い込みって困ったもの。でももしそれがなかったとしても大満足の1冊。というのか、その驚きは別になくてもよかったか。だって私の頭の中にはすっかり訳あり傷ありイケメン刑務官ができあがっていましたから(笑)。『このミス』関連は好きじゃない場合もあるけど、これは好き。「どうりで」が「どおりで」になっていた点だけ残念でマイナス。
読了日:03月20日 著者:城山 真一

■ママがやった (文春文庫)
このボリュームですし、「ママ」と呼ばれるにふさわしそうな若い母親が何かやらかす軽めのイヤミスかと思って読み始めました。予想は冒頭で裏切られます。傘寿を迎えようかという居酒屋の女将が、7歳下のモテモテ亭主を殺す。母親から電話を受けた娘や息子が大集合。各々の人生が語られる章仕立てで、池上冬樹の解説どおり、まさしく純文学の世界。もしも井上荒野をお読みになったことがなくても、角田光代がお好きならハマると思います。ここまで耐えてなぜ殺す。ここまで耐えたから殺したか。女にだらしない人は睡眠中も気をつけましょう(笑)。
読了日:03月24日 著者:井上 荒野

■下町ロケット ヤタガラス (小学館文庫 い 39-6)
「頭に血が上る度」としては『空飛ぶタイヤ』や最初の『下町ロケット』には及びませんが、それでもじゅうぶんヒートアップ。これがフィクションだということを忘れて怒りに燃えます(笑)。肩書きが自分の力だと思っている人のなんと多いことよ。もちろんその肩書きを手に入れるための苦労はあったでしょう。でも、大きなものを作れるからって小さなものも作れるとは限らない。大人にものを教えることができても子どもには上手く教えられない人がいますが、幼児に上手く教える人ほど大人にも上手に教えたりしますよね。ふとそんなことを思いました。
読了日:03月28日 著者:池井戸 潤

■ふたつのしるし (幻冬舎文庫)
震災に絡めた話は偽善的に感じるときもあって、正直なところ少し苦手です。本作も大好きな作家だから買ったのに放置していました。でも5年経過して読んでみたら、いつもの宮下奈都でした。いわゆるアスペルガーが疑われそうな少年ハル。同じハルという呼び名を持ちながら、ハルとは対照的に才色に富む少女遙名。接点は何もないであろうふたりの1991年からの20年間がそれぞれ描かれ、震災で「しるし」を見つけます。もしもこの話が偽善的であったとしても、何も書かないより、何もしないより、偽善であってもするほうがいい。逢えてよかった。
読了日:03月30日 著者:宮下 奈都

■ルーヴル美術館の楽しみ方 (とんぼの本)
今月どうしてもあと1冊読みたいんだけど、と思ったのが31日の19時だった場合はどうすればいいですか。本棚に突っ込んだまま20年経っている本書を読むしかありません。私のこれまでの人生で、読んでほしいと誰かに勧めた回数が最も多い本は『超芸術トマソン』です。赤瀬川さんのそのトマソン的ものの見方は、ルーブル美術館へ足を運んでも変わらない。ここはパリのメインディッシュ。モギリ嬢について言及したり、流血している絵に注目したり、微笑みを探したり。芸術に疎くてもしっかり楽しめます。赤瀬川さんがもうこの世にいないのが残念。
読了日:03月31日 著者:赤瀬川 原平

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2022年2月に読んだ本まとめ

2022年03月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2022年2月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3258ページ
ナイス数:757ナイス

■夜は不思議などうぶつえん (双葉文庫)
半年後に閉園する動物園でバイトする主人公・飛鳥。閉園なんて動物たちは与り知らぬことだから、気づかれぬように飼育に努めるところがまず素晴らしい。夜勤のエキスパート・不破は動物と入れ替われる特異体質の持ち主で、その様子はまるで憑依。若干エロ爺気味のライオンや、フワフワの毛皮を着たいサイ、野球に勤しむフラミンゴなど、とても楽しい。こんなふうに動物の気持ちが分かればと思うけど、言葉が通じないからこそ分かろうと努力する。檻の中の動物にとって、人間は囲いのない檻の中で暮らす不自由な生き物に見えているって、ホントかも。
読了日:02月04日 著者:石田 祥

■ヒポクラテスの試練(祥伝社文庫)
別に笑うような話ではないはずなのに、光崎教授に無茶を言われて悲壮感漂う古手川さんが可笑しくて、電車の中で何度かふきそうになりました。怪しいがな(笑)。毎年受ける健康診断の意味なく突然末期の肝臓癌で死亡なんて怖すぎる。原因は早いうちに明らかになるものの、どうしてこんなことが起こるのか。今回のドンデン返しは全然たいしたことねぇなと思ったら、やっぱり来ましたよ、残りがうっす薄になってから。まったく何度やられたら慣れるのか。前作までキャシー要らんと思っていましたが、彼女も実は苦労人のようで。こっちには慣れてきた。
読了日:02月06日 著者:中山七里

■グッバイ、ドン・グリーズ! (角川文庫)
薄かったから。それ以外に本書を購入した理由はありません。そもそもノベライズというものにはあまり良い印象がないのです。すみません。……と思いながら読みはじめました。期待どおり1時間もあれば読めますが、目の前に広がる光景は意外と大きかった。かつ、訳あって今は余命という言葉に敏感になっているため、思いのほかジワッと来ました。「たとえ打つ手がないと言われても、ハッピーエンドをあきらめる必要なんてない」。悪あがきであってもできないよりはいい。ほんと、悪あがきのひとつでもやってやれと思う。出来過ぎの偶然も見たいよ。
読了日:02月08日 著者:いしづかあつこ,山室 有紀子

■軀 KARADA (文春文庫 の 7-13)
中年以上に差しかかった頃、高校時代の同窓会で、ある男子が「女性の後ろ姿だけでだいたいの年齢を当てるにはどこを見ればよいか」を皆に力説してくれて、大笑いしたことがあります。お尻、肘、膝の裏。本作はなんだかその説を証明するかのようだなぁと苦笑い。ほかに登場する部分もヘソ、顔のシワ、つむじ、顎といった、特に老いの現れる部位として描かれているわけではない場合も、見た目を多少なりとも気にする人であれば、コンプレックスの集まるところ。ハッピーエンドは無し。気にせずにいられたらよかったのか。やはり美しく強く生まれたい。
読了日:02月13日 著者:乃南 アサ

■風神の手 (朝日文庫)
「好きとは言えないのに読んでしまう作家」のうちのひとりが道尾秀介なのですが、本作を読むと、私やっぱり彼が好きなんだわと思う。裏表紙から想像したのはオカルトの入ったミステリー。遺影専門の写真館が舞台で、死んだはずの人が写っているとなればそう思いませんか。だけど違った。いったい各章の登場人物はどう繋がっているのか。とてもややこしいので、500頁弱のボリュームでもとっとと読むことを勧めます。でないと、誰が誰かわからなくなる。いろいろある人生だったとしても、いろいろあったからこそ今がある。あなたがいる。よかった。
読了日:02月14日 著者:道尾 秀介

■歪んだ波紋 (講談社文庫)
塩田さんの作品はどれも好きではありますが、どハマリしたボクシングの話や、将棋やオーケストラの話と比べると、いかにも新聞記者らしい『罪の声』と本作はかなり硬質。読みやすさの点から見るとサクサクすいすいというわけには行きません。しかしじっくり読めば、世の中にはこんなにも「創られた」記事があり、しかもそこには悪意が存在することに恐怖を感じます。新聞を取る人が減っているであろう昨今、とにかく人の目を引く記事にしなければならない。でも罪のない人まで傷つけられるとは。嘘を見抜く力が私たちにも必要だなぁと思わされます。
読了日:02月19日 著者:塩田 武士

■天国酒場
癌で闘病中の弟が、『週刊プレイボーイ』に面白い連載があるよと教えてくれたのが「今週のハマりメシ」。その著者の本も貸してくれました。天国酒場を簡単に説明すると、パラダイス的立地の飲酒できるお店。酒飲みならばどうにかして行ってみたくなる文と写真。どこもその店にいる気持ちになれます。家系的に酒に強いわが家ではありますが、弟はたいして飲みません。それが、癌になって飲酒を控えざるを得なくなったら、ちびちび飲みたいなぁと思うことがあるらしく。心の裡を推し量ると姉としては切ないものがあります。代わりに私が飲むわ(笑)。
読了日:02月21日 著者:パリッコ

■グッバイ、ドン・グリーズ! (角川文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】もともとノベライズは「そんなもん」とナメてかかっていますから(失礼極まりなくてすみません)、観る前後どちらか、映画とセットでしか読みません。薄さに惹かれて先に読んだ本作。ロウマとドロップの出会いなど、映画とは順序を入れ替えて描かれている部分もありますが、ノベライズゆえ当然ほぼ同じ。ただ、読んだだけではここまでの光景は想像できず。ロウマとトトが訪れる旅先の美しさには目を奪われました。水しぶきが本当に飛んで来そう。こんなところに公衆電話、あり得ないけど、あったらいい。
読了日:02月23日 著者:いしづかあつこ,山室 有紀子

■夢探偵フロイト ナイトメアの殺人実験 (小学館文庫 C な 2-5 キャラブン!)
思えばこのシリーズを読みはじめたのは、内藤さんの他のシリーズが途切れたり終わったりして寂しかったからでした。たぶんイマイチだろうという予想に反してこれも面白くて、それなりにハマったのですよねぇ。なのに最終巻だなんて(泣)。悪いことをする人だから悪いことを楽しんでいるとは限らない、本人が一番苦しんでいるかもという言葉にハッとさせられ、悪夢のもとを抱きしめるシーンではウルリ。まさかペコに泣かされるとは(笑)。みんな卒業しちゃうんだね。ドラえもんやクレしんみたいにずっと同じ年齢でいてくれてもいいのになぁなんて。
読了日:02月25日 著者:内藤 了

■正義の申し子 (角川文庫)
こんな言い方は失礼かもしれませんが(どちらに?(^^;)、本作を例えるなら「文章の上手い木下半太」。コミュ障ひきこもりネット弁慶YouTuberとイケメン銭なしチンピラのバトルはどこへ行き着くのか。著者の『悪い夏』の印象が強かったので、心折れそうなバッドエンドも覚悟していたけれど、想定外に最後は笑って泣きながら読みました。彼らに自己投影する読者も多いことでしょう。生きづらさが切なく思えて、今後のふたりを応援したくなる。ラストシーンが目に浮かびそうで、最高です。それにしても染井さん、何故こんなに大阪弁堪能?
読了日:02月27日 著者:染井 為人

■早朝始発の殺風景 (集英社文庫)
たいして親しくもなかったのになぜか思い出す同級生。私の場合、その同級生と数十年後に再会したと思ったら、しばらくして彼女が亡くなってしまったから、本作を読むと懐かしさと同時に切なさに襲われます。本音が出る瞬間に心を掴まれる。連作風で連作ともいえない短編5つ。ミステリーとは思わずに読みはじめたから、意外としっかり謎解きであることに驚きました。何度か声に出して笑う。特にツボだったのは、「穴があったら埋まりたい」。そうだよねぇ。入るぐらいでは収まらないほど恥ずかしいときってあるよねぇ。青春って、やっぱりいいな。
読了日:02月28日 著者:青崎 有吾

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2022年1月に読んだ本まとめ

2022年02月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2022年1月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3770ページ
ナイス数:955ナイス

■常設展示室 (新潮文庫)
妹・マハよりも兄・宗典を応援したい派です。そのせいかどうかはわからないけど、こんなにも人気作家のマハさんをそこまで好きにはなれません。長編小説の序盤ではいつも引き込まれて涙さえ流してしまうのに、終盤に熱い様相を呈すれば呈するほど、私は冷めてしまうのです。そして気づきました。短編小説ならば熱くなりすぎる前のちょうど良い加減で話が終わる。たぶん私は彼女の短編のほうが好き。表紙に惹かれて買いました。絵についての知識が皆無でも、目の前にこの世界が広がるはず。大阪では再来週までメトロポリタン美術館展開催中。観たい。
読了日:01月02日 著者:原田 マハ

■あなたとなら食べてもいい (新潮文庫)
「あなたと食べたい」じゃなくて「あなたとなら食べてもいい」。どんな上からなんだよと思わなくもないけれど(笑)、素直に「あなたと」と言えない気持ちが込められているように思います。特に1つめの『くろい豆』はそう。男性より女性にお奨めしたくなる話が多いですが、3つめの『居酒屋むじな』は私には「つげ義春の優しい版」みたいなイメージで、こんな居酒屋が本当に存在していたならと可笑しくもあり切なくもあり。2つめの『消えもの』のみミステリータッチで異質です。7つの物語にハズレは無し。知らなかった作家に会えるのもうれしい。
読了日:01月05日 著者:千早 茜

■氷に閉ざされて (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション ハ 7-18)
まったく、二見書房ってどうしてこんな表紙にするのかしら。『そして彼女は消えた』といい、物憂げなブロンド美女が載っていると買いづらいってば。しかし映画なら雪山遭難ものは外せない私は読んでみることに。表紙が思わせぶりなだけかと思ったら、本作に関しては正しい表紙でした(笑)。小型飛行機に乗り込んだ未亡人がマッチョなパイロットと共に墜落。もとは敬遠し合う仲だったのにこの状況下でラブラブに。中盤以降は欲情に駆られるのをどう抑えるかが焦点(笑)。ふたりの死を目論んだ犯人は、そいつじゃなきゃそいつしかおらんっちゅうの。
読了日:01月09日 著者:リンダ・ハワード

■明け方の若者たち (幻冬舎文庫)
映画版の鑑賞後、彼女が既婚者だったという事実、それを彼は最初から知っていた事実が原作ではどう描かれているか知りたくて買いました。衝撃的なのは原作も映画版も同じ。映画版はほぼすべて原作のまま。変更に笑ったのは、原作ではサイゼリヤだったのが、映画版では餃子の王将だったところ。原作を読んでわかった私の勘違いにも笑う。ふたりがあるバンドのアルバムについて言い合うシーンで、私には“Ratt(ラット)”だと聞こえていたのに、原作を読んだら“RADWIMPS(ラッド)”でした(笑)。人生のマジックアワーはいつでしたか。
読了日:01月11日 著者:カツセ マサヒコ

■かなしきデブ猫ちゃん (集英社文庫)
年初だから、まずは薄めの本で冊数を稼いで今年の読書に弾みをつけようという姑息な考えから読みました。ついには絵本まで書きはじめた早見さん。捨てネコカフェから温かい家族にもらわれていったデブ猫ちゃん(♂)。安泰かと思いきや、チビ猫の登場で立場が危うくなります。悲しくて家出した彼が愛媛県内を巡るロードムービー。猫らしく描かれていた第1部から一転、第2部では二足歩行。堤防に腰かけて物思いにふける様子など人間のまんまです。温泉では頭にタオルのせてババンバンバンバン。絵が猛烈に可愛くて、早見さんの本というよりは……。
読了日:01月12日 著者:早見 和真,かのう かりん

■きみはだれかのどうでもいい人 (小学館文庫 い 49-1)
原田マハの『あなたは、誰かの大切な人』の真逆を行くタイトル。凹みますねぇ。だけどそんなもんでしょう。職場でどれだけ「あなたがいないと困る」と言われている人であったとしても、辞めたところで仕事は普通に回る。県税事務所に勤める4人の女性の視点から描かれたこの連作短編集は「あるある」だらけ。ひとつ言えるのは、どんな人にも必ず悩みはあるということ。いかに能天気に見えようが、物事に動じないように見えていようが、生きていれば悩む。あと、映画や本での総務係の扱われ方がいつも不思議。総て務める、なくてはならない係なのに。
読了日:01月16日 著者:伊藤 朱里

■はるか (新潮文庫)
『ルビンの壺が割れた』を読んだとき、失礼な言い方ではありますが、執筆するに当たって特に何の知識も下調べも必要としない物語だと思いました。その点で本作は前作とはまったく違います。AIのいろいろ、へーっ、ほーっの連続。『夏への扉』へのオマージュなのだろうかと思いきや、幸せには終わらないのを見ると、主人公がだんだん取り憑かれたようになって行く『人魚の眠る家』を思い出したりも。映画『レプリカズ』ほどの無茶ぶりにはならずとも、死者を生き返らせようとすれば良いことは起こらない。技術が進歩すれば、こっちが消されるかも。
読了日:01月17日 著者:宿野 かほる

■下町ロケット ゴースト (小学館文庫 い 39-5)
池井戸さんの著作は、たいてい最初から引き込まれて頭に血が上るものなのに、本作はこちらのエンジンがかかりにくい。ちょっと退屈だなぁと思っていたら、半分に差しかかった辺りでいきなり全開に。要はそこまではあからさまに悪い奴が出てこなかったからでした(笑)。ライバルになりそうな中小企業を姑息な手を使って潰そうとするなんてことが普通にあるならばとても寂しい。正義が勝つシーンは恒例のスッキリ、でもその後は少し悲しい。儲かるかどうか以前に、人として正しいかどうかという基準での経営判断。それだけでは駄目なものでしょうか。
読了日:01月21日 著者:池井戸 潤

■桜底 警視庁異能処理班ミカヅチ (講談社タイガ)
新シリーズは幽霊が見える青年が主人公。映画『さんかく窓の外側は夜』志尊淳が演じた青年はその能力を呪っていましたが、この青年・怜はちゃっかりそれで金稼ぎ。そうしないと生活が立ち行かないという事情もあります。そんな彼がスカウトされて警視庁の地下室へ。秘密の捜査班のメンバーはみんな異能者。起こる事件は相変わらずえげつないから、想像力をあまりたくましくはしたくないけれど(笑)、思った以上にコミカルです。しかしやっぱり凄いわ内藤さん。どうして次から次へとこんなにおもろいシリーズを書けるんですか。次巻以降にも期待。
読了日:01月23日 著者:内藤 了

■償いの雪が降る (創元推理文庫)
タイトルと表紙と帯からしみじみとした大人のミステリーを想像していたら、『自由研究には向かない殺人』と似た設定のサスペンスフルな青春ミステリーでした。但し、あっちのピッパは複雑な家庭環境ながらも温かい家族に恵まれ、こっちのジョーの親はアル中DV。大学の課題で身近な年長者の伝記を書くことになったとき、親には近寄りたくないから老人介護施設に入居する余命わずかな他人、しかも元殺人犯から話を聴いて冤罪を確信します。隣人の女子学生やジョーの自閉症の弟との関係性がイイ。ピッパ以上に無謀でハラハラさせられたけど。面白い。
読了日:01月27日 著者:アレン・エスケンス

■殺した夫が帰ってきました (小学館文庫 さ 40-1)
ストーカーに襲いかかられそうになっているときに、殺したはずの夫が現れて助けてくれる。ストーカーと幽霊、いったいどちらがより怖いか真剣に考えてしまいます。ま、幽霊だったらこの物語は成立しないんですけれど。主人公と同じく私が考えつくのは「双子の兄弟」。しかしそんな安直なオチもあり得ない。最終的には「実はこうでした」とあちこちから人が出てきて、ちょっと複雑にしすぎ、しかも都合よすぎの感があります。でもDVに遭っている人の切実な思いは伝わってくる。どうにか逃げて、二度とひっかからないで、安住の地を見つけてほしい。
読了日:01月28日 著者:桜井 美奈

■沈黙のパレード (文春文庫 ひ 13-13)
500頁の厚さも何のその。20頁目に至るまでにすでに面白くなっているからどんどん読めます。ガリレオ湯川教授が謎を解き明かす今回の事件は、絶対犯人に間違いないのに黙秘権を行使する奴が登場。しかも20年以上前にも殺人を犯して逃れることに成功している。遺族や親しかった人たちが鉄拳制裁を加えたいと思うのは当然。私は『オリエント急行殺人事件』よりも映画『親切なクムジャさん』を思い出しました。さすが東野圭吾だけど、やっぱり足りないんですよね、ギューッと胸を絞られるような切なさが。当人たちの気持ちを思えば十分切ないか。
読了日:01月31日 著者:東野 圭吾

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2021年12月に読んだ本まとめ

2022年01月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2021年12月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2242ページ
ナイス数:808ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2021/12

■吃音: 伝えられないもどかしさ (新潮文庫 こ 71-1)
「重松清さんに書評を書いてもらうのが夢だった」、著者がそう話しているというのをどこかで聞いて、読んでみたいと思いました。重松清の『きよしこ』を読んだとき、つっかえながら話す子どもの様子が切なくて、涙がにじんだことを思い出します。吃音だけどステージでなら話せる芸人志望の青年を描く『実りゆく』、歌うことならできる少女を描く『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』、いろんな映画を観ましたが、彼らの苦しみが死を考えるほどだとは思わなかった。吃音ってただのどもりでしょと思っていたことが恥ずかしい。もっともっと知りたい。
読了日:12月01日 著者:近藤 雄生
https://bookmeter.com/books/17861527

■満月と近鉄 (角川文庫)
今どき電車の中で本を読んでいる人は稀ですから、見かけると「何読んでるんですか」と聞きたい衝動に駆られます。もしも私がもうひとりいて、この本を読んでいる私を見かけたら、そのニタニタ具合に「いったい何をお読みで?」とこらえきれずに聞いてしまうと思います。第1章の『佐伯さんと男子たち1993』はそんな感じ。その佐伯さんが再登場する第4章の表題作に再びウキウキ。第2章では法興寺のフットボール大会に笑い、第3章のナラビアンに魅入られる。森見登美彦万城目学をお好きな方にはお薦めできます。それ以外の方はどうでしょ!?
読了日:12月07日 著者:前野 ひろみち
https://bookmeter.com/books/15705527

■七色の毒 刑事犬養隼人 (角川文庫)
映画版『ドクター・デスの遺産』を観たあとにそっちの原作を先に読み、続けてシリーズ1作目を読み終わってから早1年経ってしまいました。犬養のキャラも忘れかけていたところ、綾野剛を想像して思い出す、男には絶対騙されないのに女にはいとも簡単に騙される奴。短編ゆえに読みやすいけれど、さすがの七里センセもこの短さでドンデン返しを繰り返すのは大変とお見受けします。しかしここには裁けない悪が詰まっていて、気分はなかなかに重たい。2つめの物語は東野圭吾の『白鳥とコウモリ』と同様の動機。現実にこんな動機が増えるのは怖すぎる。
読了日:12月10日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/9046078

■高血圧はほっとくのが一番 (講談社+α新書)
白衣高血圧です。そうなったきっかけは明らかで、以降、とにかく血圧計を見れば上がるから、献血すらできません。家で毎日測れば慣れて上がらなくなるなんてウソ。余計に緊張します。私は白衣高血圧なんかじゃなくて、正真正銘の高血圧なのかもしれない、などと思っていたときにこの本を見つけました。読み始めただけで気が楽になって、血圧が下がるのがわかるほど。降圧剤を服用している人には決してお薦めできない本ですが、私と同様に悩む人には太鼓判を押します。大事なのはいっぱい笑うこと。これはできる。あとは「姿勢良く」。気をつけます。
読了日:12月14日 著者:松本 光正
https://bookmeter.com/books/7991999

■やっぱり高血圧はほっとくのが一番 (講談社+α新書)
この手の健康本はほとんど読まないのですが、最近、心配事が多いせいか、このままでは寝ている間に死んでしまうかもと本気で悩み、前作に続いて読みました。前作を読んだだけで血圧が下がったのがわかり、気持ちってこんなにも大事なんだと感心するばかり。前作のみで十分な気はしなくもありません。余りに「何度でも言います」が多すぎて(笑)。いえ、何度でも言ってくださって安心はできるのですが。著者は78歳でまだまだお元気そう。でもこんな本を書き続けていたら、いつか刺されるんじゃないかと心配です。どうぞお気をつけてくださいね。
読了日:12月16日 著者:松本 光正
https://bookmeter.com/books/13755363

■未来 (双葉文庫)
480頁だから、そこそこ以上のボリュームではあるものの、うんざりするほどの厚さではないはず。なのに出てくる大人に鬼畜が多すぎて、心が折れそうになりました。辛い時を過ごしている少女に20年後の自分から届いた手紙。SFかファンタジーかと思ったらこれにはちゃんとタネがある。挟まれた3つのエピソードの語り手が誰かわかるたびに唸る。親を殺したいとか、自らの命を絶ちたいとか、そんなふうに子どもに思わせちゃいけない。あなたを救いたいと思っている大人だっているんだよと伝えたい。「大丈夫」じゃなくて、「助けて」って言って。
読了日:12月19日 著者:湊 かなえ
https://bookmeter.com/books/18224880

■今日は心のおそうじ日和2 心を見せない小説家と自分がわからない私 (メディアワークス文庫)
たとえ本の登場人物であったとしても、人の悪口はあまり言いたくはないけれど、嫌いだなぁ、結菜さん。無邪気と無神経は紙一重。結局すべて計算尽くで、無邪気に見せる無神経もすべて演技だったわけですが。その演技を最初から見抜いていながら涼子に手厳しい先生のこともちょっと嫌いになった(笑)。個人的には涼子のお見合い相手の長内さんが良い感じ。美空の酷い担任が呆然とするところを見たかったのにお預けですね。心が淀んだら家事にいそしむ。有効かもしれないと思いつつ、私の場合は飲酒に走る。でもたまに猛然と掃除したくなるのでした。
読了日:12月24日 著者:成田 名璃子
https://bookmeter.com/books/17445994

■隠温羅 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)
思えば内藤了には本シリーズでハマり、次巻刊行までの繋ぎで“藤堂比奈子”に手を出してとっとと読了。そのロスを埋めるための“堀北恵平”でまたハマり、なんだか私はカモにされているような(笑)。私の中では棟梁は麿赤兒だったのに、若い頃は誰もが振り向くような男前だったとなると麿さんじゃないな(笑)。藤竜也にするか。和尚の短パン姿に笑わされ、仙龍と春菜の抱擁にはこちらが赤面。いつもの私は切なさ重視だけど、本作は思ったほど切ない最後ではなかったおかげでロス度低くて済みそう。で、来月には新シリーズ開始。次も私はカモ決定。
読了日:12月31日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/18953699

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