夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』

2013年03月08日 | 映画(さ行)
『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』
監督:御法川修
出演:柴咲コウ,真木よう子,寺島しのぶ,染谷将太,井浦新,
   木野花,銀粉蝶,風見章子,佐藤めぐみ,上間美緒他

今月も有休の消化は映画の割引がある日にしようと、レディースデーに。
TOHOシネマズ西宮で4本ハシゴつもりだったため、
1本毎に車を出し入れするのはかなり面倒くさすぎると、
西宮ガーデンズ近くの最大料金700円のタイムズへ駐車。

ホントは1日以来、『ジャンゴ』が観たくてたまらないんです。
なのに、前売り券を買ってしまったがために、安い日に使うのが悔しく。
TOHOシネマズ伊丹のレイトショーで観ることも考えましたが、
レイトショーも前売り券より100円安いんですよね。(--;

という、本作と関係ない話はさておき。
先月同劇場へ行ったときからは手湿疹の状態も格段によくなっています。
それでもまだ手袋は放せませんが、怪しさは下がったかと。

すーちゃんとまいちゃんとさわ子さんは、
以前のバイト先で知り合った30代の独身女性。

すーちゃんは料理が得意、カフェに勤務して12年。
マネージャーの中田さんのことをちょっといいな~と思っている。

まいちゃんはOA機器メーカーでばりばり働くキャリアウーマン。
妻子ある男性と不倫中で、ストレスは溜まる一方。

さわ子さんは在宅勤務のWebデザイナー。母と寝たきりの祖母の3人暮らし。
出前を頼んだところ、配達に来たのは昔々の同級生。親の店を継いだと知る。

あらすじとして書くべきこともない、こんな3人の日常です。
わざわざ劇場で観なくてもよかったかなと思わなくもありませんが、
冒頭シーンから聞こえる3人の心の声が可笑しい。

オーナーから叱られたバイトの女の子がスネれば、
内心は「辞めてもいいよ」と思いつつ、声に出して言うのは「辞められたら困る~」。
上司と取引先の偉いさんの話に笑顔で相づちを打ちながら、
内心では「この2人、死んでくれないかなぁ。あ、それは言い過ぎ。
せめて消えてくれないかなぁ」、などなど。
特にまいちゃん(真木よう子)の心の声はサイコーです。

いま職を失えば、ろくに貯金もないのに、一人で生きていけるだろうか。
そんな漠然とした不安を持つのは、やはり女性のほうが多いと思います。
職も貯金もある女性にしても、このままでいいのだろうかと悩み、
お見合い結婚に出産と、いわゆる女の幸せを手に入れたら入れたで、
捨てたほうの人生ももしかしたらありだったんじゃないかと思う。

そうして思い悩んでいるときの、友だちがふと見せてくれる優しさ。
寝たきりの祖母が何もわからないからと言って顔も見せようとしない兄弟に対し、
さわ子さん(寺島しのぶ)宅に招かれたすーちゃん(柴崎コウ)が
当たり前のように「おばあちゃんに挨拶したい」と言うシーンがとても良かったです。

『しあわせのパン』(2011)の“ひとつだけ”、『草原の椅子』の“中央線”、
そして本作の“PRAYER”と、矢野顕子の曲はどれも印象的。
ダントツで心に残っているのは『監督失格』(2011)の“しあわせなバカタレ”ですけれども。

なんちゅうことはない、でもハシゴ1本目には最適の清々しい作品でした。

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