『愛のコリーダ』(原題:'Empire des Sens)
監督:大島渚
出演:藤竜也,松田英子,中島葵,芹明香,阿部マリ子,三星東美,殿山泰司,藤ひろ子,
白石奈緒美,青木真知子,東祐里子,九重京司,野田真吉,小林加奈枝,小山明子他
全館節電のため半ば強制的に有休を取らされる日その2。
前週は心斎橋で4本ハシゴしました。
14時すぎに阪急電車で梅田からまた十三へ戻って3本ハシゴ。
1976年に公開された日本/フランス作品。
芸術か猥褻かで裁判まで起こり、たいそう話題になりました。
このたび2K修復版がリバイバル上映されることに。
当時はまだ子どもでしたから、観る機会なんてあるはずもなく、
大人になってからも「アソコをちょん切られる」というグロさが想像しがたくて敬遠。
でもいま観ないと生涯観ることはなさそうで、思いきって。
シアターセブンは小さい劇場ですが、空席を設けつつ販売されたチケットはほぼ完売。
説明するまでもないことでしょうけれど、モチーフになっているのは阿部定事件。
1936(昭和11)年、仲居の阿部定が愛人関係にあった石田吉蔵を扼殺。
その後、吉蔵の陰茎と睾丸を刃物で切り取って逃走。
といっても逃げたつもりがあったのかどうか知りませんが、
数日後に逮捕されたときも定はこれを持っていて、吉蔵の下着まで身につけていたそうです。
こんな嘘のような本当の話に基づいているのが本作。
大島渚監督が撮り、若松孝二がプロデュース。
若松監督の名前を聞いたからか、私には本作が連合赤軍の実録ものと何ら変わらないように映ります。
いわばずっとヤリ続けている作品だけど、エロかといわれるとわからない。
実際のところ、これを観てムラムラする人がいるのかどうか疑問です。
吉蔵役の藤竜也が定の目の前で68歳の芸者とやるシーンなんて、
アラ古稀の婆様が胸はだけてこんな役せなあかんのか、大変やなと目が点に。
いついつまでも女の部分が残っていることが怖い気もしますね。
藤竜也にしろ、定役の松田英子(松田暎子名義の出演作も他にあり)にしろ、
上記の婆様やその他の吉蔵の相手役の女優陣も、
こうして脱いで絡んで、そのうえちゃんと演技までしないといけないのですから、
そりゃもう現場は大変だったろうと思うのでした。役者魂これに見たり。
日活ロマンポルノを観たときのような、ノスタルジーも感じます。
早世した松田英子、モデルとなった阿部定本人の最期も気になるところ。
幸せでしたかと聞いてみたいのは野暮でしょうか。