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『アイの歌声を聴かせて』

2021年11月16日 | 映画(あ行)
『アイの歌声を聴かせて』
監督:吉浦康裕
声の出演:土屋太鳳,福原遥,工藤阿須加,日野聡,大原さやか,
     浜田賢二,津田健次郎,咲妃みゆ,カズレーザー他
 
観そびれていたアニメ作品が日に一度だけまだ上映中。
イオンシネマ茨木にて。
 
コミックの映画化が多いなか、本作は吉浦康裕監督によるオリジナル。
原作も脚本も監督自身だというのはまぁまぁ珍しいような。
私は観たことがないけれど、『イヴの時間』(2008)の監督です。
 
タイトルの「アイ」は人の名前ではなく、AI(人工知能)のことです。
 
高校生のサトミが暮らしているのは、星間エレクトロニクスという大企業のある実験都市。
この町では星間エレクトロニクスが開発したロボットが農業などに従事している。
サトミの母親は星間エレクトロニクスの研究員で、現在、一大プロジェクトのリーダー。
 
ある日、母親の極秘プロジェクトで試験中の少女型AI“シオン”が
AIであるとは明かさずに転校生として学校に送り込まれることを知ったサトミ。
先生に連れられてやってきたシオンは、サトミを見つけるとなぜか一目散に走り寄る。
 
「サトミ、幸せ?」といきなり尋ねるシオンは急に歌い出し、学校中から変な子認定されるが、
成績優秀、スポーツ万能、変わっている点を除けば明るくて良い子。
皆が友だちになりたがるのに、シオンはサトミを追いかけ回す。
 
シオンがもしもバグなどを起こしてトラブルになれば、母親の立場が危うい。
逆に試験期間の5日間だけシオンが普通に振る舞うことができれば、母親の出世は間違いない。
なんとかシオンを守ろうとするサトミだったが、懸念通りトラブル発生。
偶然その場に居合わせた同級生4名にシオンの正体がバレてしまい……。
 
母親には結構イライラします。
男社会の中でやっかみを受けながらがんばる母親の気持ちは理解したいけれど、
自分が開発したAIを娘の学校で試用するのに、娘に何も知らせない。
娘が母親のためにトラブルを隠そうと必死なのに、上手く行っていると信じて疑いません。
トラブルが明らかになるとヤケ酒を煽って娘に八つ当たり。どうよこれ。
 
サトミが学校の嫌われ者だという設定は新鮮。
優等生だけど、かつて上級生の喫煙を先生にチクったことから、「告げ口姫」と呼ばれています。
そんな彼女には誰も近づこうとしない。シオンだけが近づいてくる。
やがて告げ口をした理由も明らかになり、そこはわりとジワーン。
 
シオンの声を担当するのは土屋太鳳
実写映画でヒロインを演じるときの彼女が声を作っていると揶揄されることがありますが、
本作のシオンにはその声がとても合っています。歌も上手い。
サトミの幼なじみで機械マニアのトウマの声は工藤阿須加が担当。彼も良いですねぇ。
 
このところ、AIが友だちみたいな作品が多くて、大丈夫かなのか子どもたち、と思ったりも。
科学バカの私は、AIがネットに逃げるとか、実際に考え得るのかどうか不明。
そのうちAIは本当に感情を持つようになるのでしょうか。もうなっていたりします?
本作ではそれがよかったけれど、悪用されると怖いなぁ。
科学による発明って、誰がどういう目的を持って使うかでやっぱり変わる。

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