夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ファイター、北からの挑戦者』

2021年11月20日 | 映画(は行)
『ファイター、北からの挑戦者』(英題:Fighter)
監督:ユン・ジェホ
出演:イム・ソンミ,ペク・ソビン,オ・グァンロク,イ・スンヨン他
 
テアトル梅田で『巴里祭』『愛のまなざしを』→これ。
同日に観た3本の中ではこれが圧倒的によかった。
主演のイム・ソンミは『愛の不時着』に出ていた女優とのこと。
顔を見ても何の役だったのか思い出せずに調べてみたら、
北朝鮮の市場で韓国製の化粧品や下着を密売するお姉ちゃんでした。なるほど。
 
北朝鮮から逃れて韓国へとやってきた若い女性ジナ。
ブローカーの世話により、住居と職は得たものの、稼ぎが少なすぎる。
もっと仕事がほしいと頼んで紹介されたのはボクシングジムの清掃係。
 
ジムには女性も通ってくるのを見てジナはびっくり。
興味深い目をしているのを見たジムのスタッフ、テスは、
やってみるかとジナに声をかけるのだが……。
 
クスッと笑える台詞やシーンがいろいろ。
ジナは実は元軍人で、だからボクシングの経験もある。
それをテスに明かしたとき、テスの物言いたげな顔つきに、
北朝鮮の軍人は全員工作員か何かだと思っているのかと怒ります。
それまではほとんど話さなかったジナだから、あまりの憤りぶりにテスは目が点に。
 
脱北者に対する人の目は厳しい。
ジムに通う女性たちの態度は酷いもので、蔑みを露わにしています。
それだけに、ジムのオーナーがジナの才能を買っていることが許せません。
喧嘩を売られるとおとなしく引きさがってはいられないジナですが、
でも、喧嘩をすることには抵抗を感じる。
ボクシングのことも喧嘩の手段のように思えて、なかなかやる気になれないのです。
 
ジナがまだ幼い頃に母親はひとり韓国へ渡ってしまった。
その母親を探し当てて会いに行きますが、母親には新しい家族がいる。
つらい事実です。この母親とその娘の演技もよかったなぁ。
 
恋愛の要素が必要だったかどうか疑問ですけれども、
テスがめちゃくちゃいい奴で、この恋の成就は応援したくなりました。
韓国作品としてはちょっと地味目。でもじゅうぶん泣いた。好きです。

余談ですが、ボクシングジムのオーナーは「館長」なんですか。
なんとなく「会長」かと思っていたので、館長という響きは新鮮。
決まった呼び名があるわけじゃなくてその肩書きによるのかな。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする