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『本心』

2024年11月25日 | 映画(は行)
『本心』
監督:石井裕也
出演:池松壮亮,三吉彩花,水上恒司,仲野太賀,田中泯,綾野剛,妻夫木聡,田中裕子他
 
シアタス心斎橋にて6回目の『JUNG KOOK: I AM STILL』の次に、同じシアターの同じ席で。
私しか客おらんやん。今年13度目の“おひとりさま”
北摂の劇場で客が私ひとりというのは珍しくないけれど、市内の劇場では今までなかったこと。
 
原作は平野啓一郎の同名小説。芥川賞作家の本を私がすんなり読めるとは思えなくて未読。
同賞作家の映画化も良し悪しで、『マチネの終わりに』(2019)なんて私は全然駄目でした。
でも石井裕也監督の作品はもともと好き。この人による映画化ならどうでしょう。
 
2025(令和7)年の日本。石川朔也(池松壮亮)は母親の秋子(田中裕子)と2人暮らし。
このところ秋子に不可解な言動が見られて、朔也は少々心配している。
 
その日、仕事中の朔也に大切な話があると言って秋子が電話をかけてくる。
激しい雨のなか帰途についた朔也は、増水した川の前でたたずむ秋子を見かける。
秋子は川に落ちて死亡、助けようと川に飛び込んだ朔也も大怪我を負い、1年間意識不明のまま入院。
 
ようやく意識を取り戻した朔也は、秋子が「自由死」の選択者だったことを刑事から知らされる
自分の母親に限って自ら命を絶つことはあり得ないと反発したところでどうにもならず。
自由死の選択者が亡くなると、国から補助金が出るらしい。
 
退院すると、1年前とは世界がまるで変わっていた。
仕事はすべてAI(人工知能)に取って代わられ、生身の人間は職探しも大変。
子ども時代からの友人・岸谷(水上恒司)からリアルアバターなる仕事を紹介される。
 
秋子の自由死にどうしても納得できない朔也は、その本心を知りたくなる。
300万円を払って野崎(妻夫木聡)にVF(バーチャルフィギュア)制作を依頼。
本人に関する情報が多ければ多いほど本物に近いVFを作れると聞き、
秋子と親しかったらしい歳の離れた友人・三好彩花(三吉彩花)に連絡を取る。
住むところに困っているという彩花はしばらく朔也宅に身を寄せることになり……。
 
原作ではもっと先の未来に舞台が設定されているそうですが、本作の設定は来年。
コロナの流行で仕事を失った人が多く存在し、AIの活躍が取り沙汰される今にぴったり。
 
彩花は少年時代に朔也が好きだった女子に似ています。
その女子が売春をしているという噂があり、彼女を侮蔑した教師の首を絞めた朔也。
成績優秀だったのに、この事件のせいで前科者の烙印を押されて苦しんでいます。
岸谷は良き友人かと思いきや、ことあるごとに過去を持ち出して朔也を嘲笑う。
社会の底辺にいる自分と朔也を見比べ、朔也のほうが先に行くと面白くないわけです。
 
純粋で真面目な朔也にとってこの世は行きづらい。
彩花と同居しても手を出そうともしないから、彩花は安心して暮らせているけれど、
あることをきっかけにカリスマアバターデザイナーのイフィー(仲野太賀)と出会い、
それをきっかけに朔也と彩花の関係に変化が訪れます。
 
救いのない話を想像していましたが、最後に見える光に落涙。
母親が息子に言いたかったことは、きっとAIの言葉ではなくて、本心。
 
あ、三吉彩花が脱いでます。河合優実といい、みんなシャワーシーンで脱ぐのね。(^^;

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