『靴ひものロンド』(原題:Lacci)
監督:ダニエーレ・ルケッティ
出演:アルバ・ロルヴァケル,ルイジ・ロ・カーショ,ラウラ・モランテ,シルヴィオ・オルランド,
ジョヴァンナ・メッツォジョルノ,アドリアーノ・ジャンニーニ,リンダ・カリーディ他
シネ・リーブル梅田にて。
原作はイタリア・ナポリ出身の作家ドメニコ・スタルノーネの小説。
インド系アメリカ人のジュンパ・ラヒリが翻訳して出版、全米でも大きな話題に。
それを名匠といわれるダニエーレ・ルケッティ監督が映画化。
めっちゃいい話を想定して観に行くと、苦笑いしながら帰るはめに陥ります。(^^;
1980年のナポリ。
夫アルドと妻ヴァンダ、長女アンナと長男サンドロは、平穏な日々を送っている。
ところがある日、アルドが突然ほかの女性と関係を持ったことを告白。
激昂したヴァンダはアルドを家から追い出す。
アルドは勤務地のローマで浮気相手のリディアと同棲している様子。
待っていても帰ってこない夫に業を煮やし、ヴァンダはローマを訪れる。
子どもをダシにしてやり直すことを求めるヴァンダだったが、
どう振る舞おうが駄目出しされるアルドは、妻との暮らしに限界を感じ……。
このころの映像と、途中の映像、現在の映像が行ったり来たり。
老けメイクがないのはいいけれど、昔の夫妻と今の夫妻を別の俳優が演じていて、
あまりにも印象が違うため、ちょっと戸惑います。
家庭を壊すつもりがないのなら、浮気がバレないようにすればいい。
なのに、バレてもいないのに、アルドは突然浮気を告白します。
夫がどういうつもりでそんな告白をしたのかわからないヴァンダは夫を問い詰める。
そりゃまぁそうだ。離婚したいのか。離婚する気がないならなぜ告白するのか。
なんやねん夫、と思ってしまう。
どうしたいのかわからないんだよと言う夫、アホかと思う。
けれどその後のヴァンダの言動には賛成できません。
夫を呼び戻しに行ったくせに、子どもと過ごすアルドに嫌味の嵐。
そりゃもう夫はどうすればいいのかわからなくなるでしょう。
寛容なリディアと一緒に居たくなる。
でもどっちつかずだから、アルドはリディアにも愛想を尽かされて、結局元サヤに。
いきなり何十年か飛んで、まだこの夫婦が一緒に居たことがわかるとき、
幸せのかけらも感じられなくて、何のために結婚生活を続けているのかと問いたくなります。
たぶん、子どものために別れなかったのでしょうが、本当にそれが正解か。
子どもたちがどう思っていたのかを私たちは知ることになり、どうにもやるせない気持ちです。
辛辣なことこのうえない。
ほどけた靴ひもは結び直せても、へんてこな結び方の靴ひもはそのまんま。