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『海の沈黙』

2024年12月05日 | 映画(あ行)
『海の沈黙』
監督:若松節朗
出演:本木雅弘,小泉今日子,清水美砂,仲村トオル,菅野恵,石坂浩二,萩原聖人,
   村田雄浩,佐野史郎,田中健,三船美佳,津嘉山正種,中井貴一他
 
3回目の『ラストマイル』を観た後、同じくTOHOシネマズ伊丹にて。
 
倉本聰の脚本を『空母いぶき』(2019)や『Fukushima 50』(2019)の若松節朗監督が映画化。
倉本聰は東大卒業、ニッポン放送勤務、フリーになって『北の国から』が大ヒット。
脚本家や俳優を志望する人たちのための養成所“富良野塾”を私財を投じて主宰。
凄い経歴の持ち主の彼は元日生まれ。年が明けたら90歳だそうです。
 
高名な画家・田村修三(石坂浩二)の作品を目玉にした展覧会が大々的に開催されるが、
会場に足を運んだ田村は、内1枚は自分の描いたものではない、贋作だと断言。
大騒動に発展すると、作品の所有者だった美術館の館長・村岡(萩原聖人)が責任を感じて自殺する。
 
海外で発見されたゴッホなどの作品の贋作について調べていた清家(仲村トオル)は、
田村の作品の贋作が同じ人物によって描かれたものではないかと考える。
そしておそらくその人物とは、かつて田村をも凌駕する天才画家と称されながら、
ある事件をきっかけにこの世界から姿を消してしまった津山竜次(本木雅弘)ではないかと。
 
その昔、竜次の恋人だった安奈(小泉今日子)は今は田村の妻。
清家から別の贋作を見せられた安奈は、これは竜次の描いたものだと断言する。
竜次の居場所を見つけようとする安奈。
 
一方、北海道の浜辺でクラブのママ・牡丹(清水美沙=清水美砂から改名)の遺体が発見される。
入水自殺した模様で、着物で隠れた全身に刺青が入っていた。
誰も牡丹の素性を知らなかったが、フランスでは知る人ぞ知る人物だったらしく、
彫り師と共に現れる彼女は、刺青を希望する客にカタログとして身体を見せる役目を果たしていたのだ。
 
実は竜次の亡き父親は彫り師で、その血を引く竜次は牡丹をキャンバス代わりに刺青を彫っていた。
竜次の世話をするスイケン(中井貴一)から用済みを言い渡された牡丹が命を絶ち、
新しく竜次のキャンバスとなるのは刺青を希望するバーテンダー・あざみ(菅野恵)で……。
 
まぁまぁ以上に期待して鑑賞に臨みましたが、ずいぶんとっちらかった印象です。
中井貴一は相変わらずシブイけど、スイケンなんて結局何者だったのかさっぱりわからない。
命が途絶えたはずの竜次が現れるところがファンタジー仕立てにされていたりして、
男の人ってこういう展開が好きなんだなぁ、ロマンを感じるのかなぁなどと思いました。
 
そして私はキャストにも疑問を感じます。
キョンキョン、嫌いじゃないです。でもこの役ははたして彼女で合っているのか。
映画でも本でも私がいちばんに願う「切なさ」が彼女からは感じられません。
そりゃ年齢のわりに綺麗だし可愛いけれど、彼女と竜次が若かりし頃に燃えるような恋愛をしたとは思えなくて。
だって刺青彫られそうになって逃げ出したんでしょ。この再会はあんまり切なくない。
 
んー、イマイチ。
白髪でもシワが増えてもモッくんはモッくんだったけど、それだけ。
懐かしい面々を見られた気がするのはよかったです。

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