夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ボーイズ・オン・ザ・ラン』

2010年10月13日 | 映画(は行)
『ボーイズ・オン・ザ・ラン』
監督:三浦大輔
出演:峯田和伸,黒川芽以,松田龍平,YOU,リリー・フランキー,
   小林薫,でんでん,尾上寛之,渋川清彦,岩松了他

キャッチコピーは、
「男はいつも、本気になった時が青春だ」。

花沢健吾の同名コミックの実写版映画化です。
先月末にDVDが発売され、レンタル開始早々に観たのですが、
観終わった直後よりも今のほうが良かったなぁと思えて。

カプセル入りの玩具、ガチャガチャを扱う弱小メーカー、
斉田産業に勤める29歳の営業マン、田西は、
風俗でしか女性経験のない、いわゆる素人童貞。
見た目イケてない、モテない、仕事もできない。
できることと言えば、酔った勢いでAVコレクション自慢をするぐらい。

そんな田西が想いを寄せるのは、後輩社員のちはる。
可愛くて明るくて純情そうなちはるは、
なぜか田西に対してまんざらでもない気持ちを抱いている様子。

田西は、得意先で出くわしたライバルメーカーの優男、青山に、
ちはるのことをなんとなく相談。
すると、青山はダブルデートを即座に計画。
青山とその同僚女性、田西、ちはるの4人で飲みに行く話をさっさとまとめる。

楽しい食事の時間が過ぎ、事態は急展開。
素人童貞卒業かと思いきや、ちはるは焦りたくないと言う。
がっかりしつつも、30歳直前の甘酸っぱい恋の予感にドキドキする田西。

ところが、風邪で寝込んでいるちはるを見舞った帰り、
その隣に住む風俗嬢、しほのところへ寄ったところ、予期せぬことが。
しかもその現場を見たちはるに誤解されてしまい……。

下ネタのオンパレードなので、
それが駄目な人にはまったくもってお薦めできません。
田西役の峯田和伸は、パンクロックバンド“銀杏BOYZ”のボーカリストで、
ライブ中に全裸になって書類送検されたこともある人。
そんな人だからかどうなのか、下ネタに凄いハマりよう。

そのほかのキャストもこれ以上ないハマり具合。
ヒロインの黒川芽以が見せつける可愛らしさと残酷さ。
スカした野郎ぶりが最低で、気持ちいいぐらいの松田龍平。
20代と大ウソをつく、サバサバした風俗嬢を演じるYOU。
会社は小さいけれど器はデカい、斉田産業の社長にリリー・フランキー。
就業中に酒を飲むことが許されている謎の同僚は小林薫。
オマケに、私の好きな映画でよく見かける、適当さがいい感じの渋川清彦

青春まっただ中って、こんなに格好悪い。情けない。
それでも、あったほうがいい。

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『ザ・エッグ ロマノフの秘宝を狙え』

2010年10月07日 | 映画(さ行)
『ザ・エッグ ロマノフの秘宝を狙え』(原題:Thick as Thieves)
監督:ミミ・レダー
出演:モーガン・フリーマン,アントニオ・バンデラス,ラダ・ミッチェル,
   ロバート・フォスター,ラデ・シェルベッジア,マーセル・ユーレス他

アメリカ/ドイツのレンタル新作。
『ピースメーカー』(1997)や『ディープ・インパクト』(1998)など、
名優を起用してアクション大作を撮る女流監督の作品で、
本作も出演陣に惹かれて。

伝説の宝石泥棒キースは、次の大仕事を最後に引退を決意。
生涯最後となる仕事の相棒を探している。

そんな彼のお眼鏡に適ったのは、マイアミからやってきたガブリエル。
ガブリエルは、大胆にも白昼の地下鉄内でダイヤモンドを強奪。
その場に居合わせたキースは、鮮やかに逃走したガブリエルを追い、
仕事の話を持ちかける。

最後の仕事となるのは、ロマノフ王朝の秘宝で、
1個200万ドルと言われるファベルジェのイースターエッグ2個。
実際に目にした者はほとんどいないことから、
ミステリーエッグと呼ばれているらしい。

キースと一緒にいたせいで、ロシアンマフィアに狙われ、
身の危険を感じたガブリエルは断ろうとするが、
キースのペースに巻き込まれて引き受けてしまう。

さらに、ガブリエルは街で見かけたアレクサンドラに一目惚れ。
偶然にもキースは彼女の名付け親だと言い、
彼女には近づくなと警告するのだが、
運命を感じる女性のことをおいそれとはあきらめられない。

キースとガブリエルは、厳重な警備システムに守られた建物内の金庫へ
進入する計画を念入りに立て、やがて決行の日を迎える。

もともとはビデオ映画(日本で言うところのVシネマ)だそうです。
著名な俳優を看板にしつつ、低予算で仕上げられた作品で、
そこそこ派手なアクションだけど、なんだか小粒な印象。
だもんで、劇場で観ればよかったとは思えませんが、DVDなら大満足。
まるで伏線なしのドンデン返しの応酬も笑えて、
私には憎めないなぁ、こういう映画。

余談ですが、モーガン・フリーマンとアントニオ・バンデラスのコンビ、
並んで歩くと身長の差が歴然。
モーガン・フリーマンって、190cm近くあるんですね。でかっ。
容姿からは背が高そうな印象のアントニオ・バンデラスは175cm。

そのバンデラスの色っぽいシーンで、R15+指定。
『悪人』(2010)がPG12指定だったので、
ほー、あっちとこっちではそうなるのねと、妙に納得。

大事なことは嘘じゃない。

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『魍魎の匣』

2010年10月04日 | 映画(ま行)
『魍魎の匣』
監督:原田眞人
出演:堤真一,椎名桔平,阿部寛,宮迫博之,田中麗奈,黒木瞳,
   マギー,寺島咲,谷村美月,宮藤官九郎,柄本明他

京極夏彦、2冊目を読了。
2段組で700ページ近い本でしたが、読み始めたらやめられず。
まさに憑き物に遭ったかのようです(笑)。
2007年末に公開された本作も続けて観ました。

主要キャストは、体調不良で降板した永瀬正敏を除いて、
『姑獲鳥の夏』(2005)とまったく一緒。
けれど、監督が替わって、コミカル&グロテスクなシーンが増えました。

昭和27年。あの『姑獲鳥の夏』の事件が解決し、
京極堂のところへは久しく顔を出していない関口。
京極堂の妹である敦子が勤める出版社から、
これまで掲載してきた小説を書籍化する話を持ち込まれるが、
居合わせた新進作家の久保竣公からは嫌みを言われて内心凹む。

その帰り、別の大衆誌の記者、鳥口から、
少女バラバラ連続殺人事件の原稿執筆を頼まれる。
鳥口は、この事件には新興宗教が絡んでいると睨んでおり、
ちょうど出くわした敦子とはライバル誌ながらも意気投合。
3人はその新興宗教への潜入取材を試みる。

一方、元人気女優の柚木陽子の一人娘、加奈子が失踪し、
私立探偵の榎木津は捜索を依頼される。
加奈子はどうやら同級生の頼子と行動を共にしている様子。
そこへ、加奈子が列車に轢かれたとの連絡が入り、
榎木津も病院へ駆けつける。
加奈子は、陽子が懇意にしている美間坂研究所という施設に移送されるらしい。
陽子の大ファンだった刑事の木場は、担当ではないにもかかわらず、
居ても立ってもいられなくなり……。

これも『姑獲鳥の夏』同様、原作を読んでいないと、
かなりツライのではないかと思われます。
かと言って、『姑獲鳥の夏』ほど原作に忠実ではなく、
映画としてわかりやすいように、人間関係がかなり整理されています。
原作ではとっとと殺されていた人がピンピンしているし、
姿を消したはずの加奈子がずっとキャタピラー状態で美間坂研究所に。
美間坂教授と久保竣公の関係も原作とは若干異なります。

手足を切り落とされても久保に反撃する頼子と、
最後の「箱の中の久保」、加奈子の「ほぅ」の図にはぶったまげました。
娯楽作としては、これぐらいの「壊れかた」のほうが良かったのかな。

次の京極夏彦はさらに分厚く、映画化もされていないので、
手をつけるまでに時間がかかるかも。誰か映画化して。

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