夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『SING/シング:ネクストステージ』〈字幕版〉

2022年03月22日 | 映画(さ行)
『SING/シング:ネクストステージ』(原題:Sing 2)
監督:ガース・ジェニングス
声の出演:マシュー・マコノヒー,リース・ウィザースプーン,スカーレット・ヨハンソン,
     タロン・エガートン,ボビー・カナヴェイル,トリー・ケリー,ニック・クロール,
     ホールジー,チェルシー・ペレッティ,ガース・ジェニングス,ボノ他
 
封切り日だった先週金曜日にイオンシネマ茨木にて鑑賞しました。
 
幼い頃に舞台に魅せられ、夢を叶えて劇場主となったコアラのバスター・ムーン。
前作では取り壊し寸前だった地元の劇場を見事に再生させた。
 
あれから5年経っても連日満席の大盛況となっている今、
バスターと仲間たちが新たな目標として掲げるのは、
エンターテインメントの聖地レッドショアシティで自分たちのショーを開催すること。
 
ある日の客席にショービズ界の大物ジミー・クリスタルのアシスタント、スーキー・レーンの姿が。
スーキーはこうして各地を回ってはめぼしいタレントをスカウトしている。
ジミーはレッドショアシティに自らのクリスタルタワー劇場を所有しており、
スーキーのお眼鏡に適えば、バスターたちはレッドショアシティに行けるかもしれない。
 
はりきってその日のショーに臨んだのに、途中でスーキーが退席。
慌てて追いかけてバスターが退席の理由を尋ねたところ、
所詮田舎の劇団、都会でのショーは無理だと断言されてしまう。
 
あきらめきれないバスターは、答えを出すのはせめてオーディションを受けてからにしてほしいと、
ブタのロジータとグンター、ヤマアラシのアッシュ、ゴリラのジョニー、ゾウのミーナら、
それに劇団の事務を仕切るイグアナの義眼の老婆ミス・グローリーを連れてレッドショアシティへ。
 
アポイントメントなしでジミーに会おうとして門前払い。
応募もしていない状況ではオーディションだって受けられるはずもないが、
奇策に出たバスターたちは、なんとか会場に乗り込んで……。
 
ジミーはとても嫌な奴で、その声を担当するボビー・カナヴェイルの顔がすぐに思い出されて笑う。
どんな劇団もジミーにクソミソに言われますが、
バスターたちがたまたま口に出した伝説のロックシンガー、クレイ・キャロウェイの名前にジミーが反応します。
15年前に妻を亡くしたのをきっかけに表舞台から姿を消したクレイを引っ張り出せるか。
このクレイの声を担当しているのがU2ボノ。なんだ、この色気のある声は。
最後に聴ける彼の歌声がいいのはもちろんのこと、普通に話す台詞の声もめちゃくちゃイイ。
 あとはアッシュ役のスカーレット・ヨハンソンと、
ジミーのワガママ一人娘ポーシャ役のホールジーがよかった。
 
話自体もまぁまぁ面白いけれど、やっぱり歌でしょ、本作で聴くべきは。
 
吹替版は観なくてもいいかなと思っていたのですが、
クレイの声は誰がやるのかと思ったら稲葉浩志ではないですか。こりゃ見なあかん。

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『美しい湖の底』

2022年03月21日 | 映画(あ行)
『美しい湖の底』(原題:Shimmer Lake)
監督:オーレン・ウジエル
出演:ベンジャミン・ウォーカー,レイン・ウィルソン,ステファニー・シグマン,ジョン・マイケル・ヒギンズ,
   ワイアット・ラッセル,アダム・パリー,アンジェラ・ヴィント,ロブ・コードリー,ロン・リヴィングストン他
 
劇場で公開された作品はすでに観ている場合が多いこともあり、
Netflixで映画を視聴するときは今のところNetflixオリジナルかどうかにこだわって観ています。
これは2017年のアメリカ/カナダ作品。Netflixオリジナル作品です。
 
原題は“Shimmer Lake”。シマーという湖のある町が舞台。
金曜日から火曜日に遡る形で数日間の出来事が描かれています。
 
金曜日、ある一軒家の地下室で身づくろいをする男アンディ。
この家の主だというのに身を隠すように潜んでいる。
彼の妻マーサからシリアルを取ってくるように言われたまだ幼い娘サリーが地下室へ。
慌てるアンディは「パパがここにいることはママに内緒だよ」とサリーに口止め。
 
アンディは友人のエドとクリスと共謀して銀行強盗を働いた容疑をかけられており、
彼の実弟で保安官のジークが同僚のリードやFBI捜査官2人と共に捜査中。
アンディが必ず家に戻ってくると張っていたジークだったが、
地下室にいたアンディは隣家の車を盗んで逃走してしまう。
 
その夜、アンディはエドの妻ステファニーと合流するが、
ステファニーが運転する車に同乗していた何者かがアンディを射殺。
犯人の腕には“State Champs”の文字の入れ墨が彫られている。
ステファニーと犯人は金を持って走り去る。
さて、ステファニーとつるんでいた男はいったい誰なのか。
 
っちゅう物語なのですけれど、結構ややこしい。
最初は人物関係がさっぱりわからず、話に入り込むのに苦労しました。
さらになんといっても顔ぶれの地味さ。
まぁまぁよく見かける顔ではありますが、別にイケメンじゃないし、ボンクラだし。
 
アンディは冒頭から出ているけれど、エドとクリスがなかなか出てこないから、
いったいどいつが銀行強盗を働いたのかがなかなかわかりません。
登場人物の名前は簡単なほうがいいと最近は思っていたのに、
アンディとエドとクリスってあまりに簡単すぎて誰が誰かわからなくなる(笑)。
これは作品ではなく私の問題か。(^^;
 
真相はそれなりに面白いのですが、とにかく地味すぎて話全体に華がない。
スリラーなのにボンクラFBI捜査官はコメディにしたいみたいで中途半端。
90分を切る短さにもかかわらず、なんだか長く感じました。凡庸。すんません。

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『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』

2022年03月20日 | 映画(は行)
『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』(原題:The Half of It)
監督:アリス・ウー
出演:リーア・ルイス,ダニエル・ディーマー,アレクシス・ルミール,エンリケ・ムルシアーノ,
   ウォルフガング・ノヴォグラッツ,ベッキー・アン・ベイカー,コリン・チョウ他
 
仕事帰りにシュッと行けるシネコンでは“仮面ライダー”しか観るものがない。
このさい観に行ってもいいのですけれど、いつ行っても割引なしなのは何故だ!?
1,600円出す気にはなれなくてまっすぐ帰宅。Netflix頼みの日々。
 
2020年のアメリカ作品。同年5月に配信が開始されました。
中国系アメリカ人であるアリス・ウー監督が15年ぶりに撮った本作は、
私の好きな作品とのマッチ度が95%を超えているらしい。
だけど、あらすじを読めばありきたりのストーリーで、
モテなくて賢そうな女子の画像にも惹かれるものなくスルーしてきました。
それでもあまりに目につくから観てみたら、なんだよモロ好みじゃあないか(笑)。
 
もとはトライベッカ映画祭で上映される予定だったそうです。
ロバート・デ・ニーロやプロデューサーのジェーン・ローゼンタールが始めた映画祭。
コロナのせいで映画祭自体が無期延期となっています。残念ですねぇ。
 
「ハーフ・オブ・イット(The Half of It)」の意味は冒頭でわかります。
かつて人類はシャム双生児のごとく2人がくっついて生まれたが、
幸せすぎる2人を心配した神が1人ずつに分けた。
人は半身を探し続けている、そんな話だったと思います。
 
スクアハミッシュという小さな町に父親と二人暮らしの高校生エリー・チュウ。
頭脳明晰で、特に文章を書く力が飛び抜けている彼女は、
同級生たちから数十ドルで課題の代筆等を請け負っているが、友人はいない。
地味で冴えない彼女に心ない言葉を投げかける者もいる。
 
ある日、弱小アメフト部の万年補欠部員ポール・マンスキーから呼び止められ、
学校のマドンナであるアスター・フローレスへの手紙を代筆してほしいと言われる。
実はアスターこそエリーの想い人。
彼女に宛てるラブレターの代筆なんてまっぴらごめんだとエリーは思うが、
ポールに懇願されて割増料金で引き受けることになるのだが……。
 
エリーは中国人で、父親の仕事の都合でアメリカにやってきました。
優秀なエンジニアの父親は博士号も持ち、鉄道のシステム設計に関わるはずでした。
しかし英語がどうにも苦手だったことから何もかも上手く行かなくなり、
今は列車の分岐器近くに居を構え、日に2回の切り換えだけが仕事。
母親が亡くなってからはすっかり隠居して、切り換えもエリーが担当。
父親はもっぱらソファに座ってテレビを観ています。
 
そんなエリーのことを意地悪な同級生男子たちは鉄道オタクと馬鹿にし、
女子たちも彼女に近づこうとはしません。宿題の代筆は頼むくせに。
 
でも、少なからず彼女の資質を見抜いている人もいます。
女性教諭のヘゼルスハップは、生徒たちが提出した課題の回答を見て、
エリーが誰の代筆をしたかをきっちり当てる。
「これを読んで5つもの解釈ができるなんて素晴らしいわ」なんて調子。
町を出て一流の大学へ行くことを勧めますが、エリーは父親を残してなんて出て行けない。
「先生だって、結局この町に戻ってきたじゃないですか」と言われて、先生苦笑い。
 
アスターに恋い焦がれるポールも、アスターの恋人で人気者のトリッグも、
どちらもエリーが自分に気があるのではと思うところが阿呆です(笑)。
まさか彼女の片想いの相手がアスターのほうだとは夢にも思わないんですねぇ。
 
自分の想いを抑えて好きな相手にラブレターを書くところは『シラノ』と同じ。
でも現代版シラノともいえる本作は瑞々しくて本当によかった。
エリーのことを純粋に応援したくなります。「山場」は今から来る。

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『パドルトン』

2022年03月19日 | 映画(は行)
『パドルトン』(原題:Paddleton)
監督:アレックス・レーマン
出演:マーク・デュプラス,レイ・ロマノ,クリスティン・ウッズ,
   カディーム・ハーディソン,マーガリート・モロー,デンドリー・テイラー他
 
2019年のアメリカ作品。
Netflixオリジナルで、あらすじに興味を惹かれて視聴しました。
 
マイケルとアンディーは同じアパートメントの上下階に住む親友同士。
体調に異変を感じたマイケルの病院行きにアンディーが付き添ったが、
結果は最悪、マイケルは胃癌余命半年だと判明する。
 
努めてこれまでと同じように過ごそうとするふたり。
しかし死ぬときを自分で決めたいと思うマイケルは、服薬で安楽死すると決める。
医師に処方箋を書いてもらってからそれをアンディーに報告。
 
安楽死は倫理にもとるという観点から、調剤してくれる薬局はそれほどなく、
いちばん近い薬局でも車で6時間かかる。
その薬局に向かってマイケルとアンディーは出発するのだが……。
 
どこの州の話なのでしょうね。
同じ州内で調剤してくれる薬局があったりなかったりするのか。
安楽死に対する考え方はさまざまなんだなぁ。
 
興味を持って観はじめたものの、メインの男がタイプじゃないとツライ。
マイケル役はマーク・デュプラス。彼は髭の似合う紳士風でまぁ良い。
でもアンディー役のレイ・ロマノはちょっとキツイぜ(笑)。
 
このふたりはゲイではなくストレート。
モーテルの女主人から誤解されたりもしますが、恋愛の対象は異性。
男ふたりで宿泊すれば、誰もがゲイだと決めつけて、
そうじゃないとわかった途端に女性から誘われるのは可笑しい。
可笑しいけれども、誘われるのがアンディーのほうだから、えーっ。失礼。(^^;
 
風貌について無理だというのは失礼すぎるからこれぐらいにして、
病を患う本人が「ここで死ぬ」と決めたとき、周囲はどうすべきか悩むところ。
少しでも長く生きていてほしいと思ったとしても、
これからどんどん具合が悪くなっていくかもしれない彼が、
何もかも自分でできる間に死にたいと思う気持ちもわかるようで、
答えは永遠に出ないように思います。
 
ちなみに原題そのままの邦題“パドルトン”とはなんぞやと思ったら、
マイケルとアンディーが編み出したゲームでした。
テニスのラケットで壁打ちし、跳ね返ってきたボールをドラム缶に放り込むらしい。
 
亡くなったマイケルの部屋に引っ越してきた親子にアンディーが話しかけるラストシーンは
心癒やされてとてもよかったけれど、アンディーのこの雰囲気では、
一歩まちがうと要注意の変質者に見えてしまいそうでもあります。(^^;

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『ウェディング・ハイ』

2022年03月18日 | 映画(あ行)
『ウェディング・ハイ』
監督:大九明子
出演:篠原涼子,中村倫也,関水渚,岩田剛典,中尾明慶,浅利陽介,前野朋哉,宮尾俊太郎,
   六角精児,尾美としのり,池田鉄洋,臼田あさ美,片桐はいり,皆川猿時,向井理,高橋克実他
 
109シネマズ箕面にて。
 
韓流アイドルとの不倫が取り沙汰される篠原涼子主演というのが引っかかるところですが
――私は別に不倫否定派じゃないけれど、市村正親がなんだか気の毒で(^^;――、
バカリズムのオリジナル脚本を大九明子監督が映画化したなら絶対面白いでしょ。
 
優秀なウェディングプランナーの中越真帆(篠原涼子)は、
どんな難題であろうと新郎新婦の要望に沿った結婚式を作り上げる腕を持っている。
 
今回真帆が担当するのは石川彰人(中村倫也)と遥(関水渚)の結婚式。
万全の体制でサポートに当たっているというのに、
参列者は曲者揃いのうえに、招かれていないはずの客まで会場に現れて……。
 
キャバクラ嬢との浮気が家庭にも職場にバレて、すっかり威厳失墜、
どこにも居場所を失っている新郎の上司・財津に高橋克実
そうとは知らない彰人に主賓スピーチを頼まれたことで、生き甲斐を見いだします。
とにかくウケるスピーチをすること。そのために本を読み、動画を視聴して学ぶ。
このスピーチが結局スベるのかと思いきや大ウケというのは予想外で◯。
 
そして普段から面白い上司として人気なのが皆川猿時演じる新婦の上司・井上。
財津に対抗心を燃やしつつも貶めることなく、
逆に場が笑える空気で温まっていることに感謝もして、財津と優劣つけがたいスピーチをします。
って、別にスピーチの全容を私たちが聴けるわけではありません。
財津と井上の心情を見ることでウケ具合をはかるだけのことです。
お笑いって、映画で全部見せるとたいてい笑えないから、これも◯。
 
宴が盛り上がるのはいいけれど、盛り上がれば時間が押す。
真帆のほか、同会場でスタッフを務める加藤友梨(臼田あさ美)や司会者も大変。
そもそも披露宴前から余興を希望する人続出なんです。
新郎の父親(尾美としのり)は手品、新婦の父親(六角精児)はマグロの解体ショーをやりたがり、
新郎新婦の友人たちは和太鼓だったりダンスだったりをすることにして、
やりたかったのに断られたのは新郎の叔父(池田鉄洋)の縄抜け。
 
これらの小道具、たとえば使われなかった縄などがちゃんと伏線になっています。
新郎と一面識しかないのに参列することになったバーのマスター(宮尾俊太郎)がワラける。
 
岩田剛典演じる新婦の元カレとその友人たち(浅利陽介前野朋哉)が、
「遙は親が勧めるお見合い相手と望まぬ結婚をする」と決めつけているのが滑稽。
ダスティン・ホフマンの『卒業』(1967)よろしく花嫁を奪いに乗り込んで、はたしてどうなるか。
下ネタに走ったところはいただけないけど、まぁいっか。
 
出番は少ないのにきっちり存在感を示す片桐はいりは新婦の恩師役。さすがです。
向井理の役どころだけは内緒。その目でお確かめください。
 
やっぱり非凡だなぁ、バカリズム。

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