田主丸の酒蔵から、生原酒入荷の案内が届いた。
ふむ。
折角の案内だ。
無碍にも出来ぬ。
仕方がない。
「行くか。」(私)
「素直に買いたいと言え!」(家内)
ついでに吉井の物産館まで足を伸ばし、買い物などをしていると、丁度昼時となった。
すぐ近くにこんな店がある。
『とうはち』と言う。
トンカツが有名な店である。
えーっと、何にしよう。
当然、トンカツを注文すべきだが、ここは敢えて、
「かも重でーす。」
メニューを見ると、鴨料理もこの店の柱の一つのようだ。
具材は鴨肉と葱だけのシンプルさ。
実に痛快である。
ガブ
香ばしく炒められた鴨肉と葱の黄金コンビに、特製の醤油だれが絡まる。
不味かろう筈がない。
ご馳走様でした。
満足気に小上がりを降り、靴を履こうとした時、老女将から声を欠けられた。
「どいうでしたか?かも重は。」
「美味しかったあ。」
「鴨鍋もよかですよ。最後に蕎麦を入れてね。大晦日に、年越しそばってどうです?」
「そりゃいい!」
見事なセールストークである。
鍋から湯気が上がる情景、蕎麦を啜る音。
鮮明に頭に浮かんで来て、生唾が出てきた程だ。
ただね。
今、年末の営業しても、100%忘れてるよ、俺。