今朝のテレビで、夫婦ケンカの末に妻が包丁で夫を傷つけたと報じていた。ことの次第は夫がトイレから出てきたが、「手を洗わないで子どもの頭を撫でた」と怒り、トイレに入ったところ臭かったので、「これでは子どもが使えない」と夫を怒鳴りつけたことにあった。テレビのキャスターは「夫婦ケンカがニュースになるのもネ」と呆れていた。この夫婦はケンカが絶えなくて、怒鳴り合う声は道路を挟んだ向かいまで聞こえたという。
私が雑誌の編集の手伝いをしていた時、30代のお母さんたちの手作りの冊子に出会った。そこにトイレの使い方についてのやり取りが載っていた。結論から言えば、多数の主婦が「夫には便座に座って用を足してもらっている」と言う。「男が立ってすると、周りに飛び散って汚れる」ので、「掃除するのも大変」という理由だった。えっ、若い男たちは便座に座って女性のように用足しをするのかと驚いた。その方が掃除も簡単で合理的かも知れないと思いながら、私は出来ずいる。
恋愛している時は見えなかったことも、一緒に暮らせば見えてしまう。キリスト教徒の内村鑑三も「家庭は幸福なところではなくて、忍耐のところである」と言っている。いつも優しく包んでくれた夫も、ゲップはするしオナラもする。歯磨きしてもブラシの始末もしない。美しい妻もイビキはかくし整理整頓は出来ない。自分と相手も好みは違うし価値観も違う。こうあって欲しいと思うものは相互にあり、一致することはない。相手にばかり求めれば当然どちらかが耐え切れなくなる。
妻の傷害事件について専門家は「産後クライシス」と言う。いわゆる「産後ノイローゼ」である。子どもが生まれて家庭はもっと幸せになるはずなのに、子育ては思ったようにはいかない。そのイライラが「うまくいかないのは夫が悪い。もっと協力してくれていい」と夫へ八つ当たりする。夫も妻が子どもに愛情を注ぎ、放って置かれた気分になる。子どもが3歳くらいになるまでの時期は夫婦間が冷たくなり、営みもなくなりセックスレスになっていくという。
求め過ぎないこと。誰でも完璧には出来ないのだから、口に出す言葉はいつも優しく。そう子どもたちに言ってきたつもりだが、どう伝わっているのかと、テレビを見て思った。我慢しているのは自分だけでなく、相手もと気付いて欲しいが‥。