友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

映画『家族はつらいよ』

2016年03月15日 18時02分49秒 | Weblog

 山田洋次監督の映画『家族は辛いよ』を観た。初めから終わりまで、笑って笑って、笑わせるコメディーでよかった。これがシリアスな映画であったら、とても観ていられなかった。70代の夫婦だから我が家と同じだ。今日が妻の誕生日と分かると、「何がいい。言ってみろ。高いものはダメだぞ」と亭主は威張って言う。妻は引き出しから1枚の紙を出し、「ここに署名し、判を押してくれればいい」と言う。離婚届である。ここから映画は「家族」を展開していく。

 70代の亭主は、高度成長期を我武者羅に働き、横浜にしゃれた家を建てた。今は、長男夫婦とその子ども2人と結婚せずに同居している次男7人で暮らしている。次男が結婚を躊躇していたのは、ピアノ調律師で収入が不安定なこともあるが、何よりも父と兄の関係が悪く、自分が緩衝地帯になっていようと思っているからだが、恋人との新しい生活を初めようと決心する。

 そこに、両親の離婚という考えてもみなかった問題が発生する。なぜ、母は離婚を決意したのかが実に面白い。映画館の観客席はほとんど老人ばかりだったが、そのセリフにあちこちで笑いがこぼれた。「靴下や下着を裏返しのままにする。すぐ『ウルサイ』と言う。食べる時にペチャクチャ音を立てる」など、どこの家庭でも見られる風景への共感の笑いだった。

 長い間我慢してきたというよりも、余り気付かないうちに暮らしてきてしまったが、年を重ねて相手の嫌なところが目に付くようになったのだ。「一緒に暮らそう」と言ってくれる友だちがいて、自分のために使えるお金がある。これが無ければ家を出ていくことなど出来ない。彼女は恵まれている。カミさんのお母さんも「離婚したい」と言っていた。余り言うので、「ウチにくればいい」と言ったが、結局は離婚しなかった。お父さんが亡くなると、「いい人だった」と評価はガラリと変わった。

 亭主は稼ぐことで自己満足しているが、女房はそれだけでは満たされない。働いて家を建て、子どもたちを養い、家族で旅行にも出かけ、正月にはみんなで集まり、どこにでもある典型的な普通の家庭だが、家族であることは難しい。我慢し続けるか、いや、よいところだけ見て、笑って暮らす、それでいいじゃーないか。映画の結末は?「ぜひ映画を観てください」。

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