姜尚中さんを講師に迎えての市民講座は大盛況だった。大ホールは完璧に埋まり、立ち見の人までいた。定員オーバーに備えて玄関ホールでテレビで見るようにセットし、見る人たちが10人ほどいたけれど、苦情が出るほど混雑することはなかった。全体がスムーズにいったのは友だちが綿密な計画を立てて、事前の打ち合わせを充分してくれたおかげだ。
市外から車で来た人が多く、駐車場は全て埋まってしまい、路上駐車もあったけれど、そんなに混乱することもなく幸いだった。こちらも塾生以外の人が駐車場の案内係りを引き受けてくれたおかげである。姜尚中さんの書籍の販売とサイン会も好評で、サインの後で握手を求める人や一緒に写真を撮る人もいたが、姜尚中さんは気安く応じてくれた。
講演もそうだったが、その辺に姜尚中さんの人柄が出ていた。講演の内容そのものは、内田樹氏との対談『世界「最終」戦争論』(集英社新書)に出ていた域を超えるものではなかったので、私自身はちょっと物足りない気がした。上野千鶴子さんにしても姜尚中さんにしても、学者として生き残っていくためのテクニックを心得ているのは仕方がないことで、それが分かるようになったのは「老い」の賜物だろう。
会う人たちが「本当にもう止めてしまうのですか、惜しいですね」と言ってくれる。「さすがですね。ここまでやって本望でしょう」とか「あなたがやりたかったことを本当にやってしまいましたね」とか、声をかけてくれた。「市長にはなれなくても、市長が出来ないことをやりましたね」とまで言われ、それほどではないとしても、自分の人生としてはありがたいことだと思う。
「10年間、よくがんばりました」と花をプレゼントされ、花の香りが部屋に満ちている。そのおかげなのか、今朝からずーと鼻水が止まらない。秋の花粉アレルギーが急に襲ってきたみたいだ。昨日の市民講座には次女夫婦とダンナの両親、そして長女のダンナのお母さんも聞きに来てくれた。私に繋がる多くの人たちが来てくださったことで胸が熱くなった。
また、長女からは小1の孫娘が運動会で大活躍している様子がメールで送られてきた。明日の夜は4人で食事に来るという。運動会の活躍がきっと話題になるだろう。よく頑張ったねと褒めてやろう。