友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

「ドン・キホーテ」を観る

2007年10月26日 23時16分19秒 | Weblog
 名演の係りの人から「感想文を書いて欲しい」と言われた。この前の『最後の恋』の時は、書きたいことがいっぱいあった。初老を迎えた男が「人生の1ページに、燃えるような熱い恋の思い出を残したい」と浮気をする物語で、より身近なものとして関心が高かった。そして、男と女の間では、どこからが清廉でどこからが不純なのか、垣根を越えた関係は成立しないものなのか、と考えさせられた。

 ところが、同じようにユーモアを基調とする作品なのに、『ドン・キホーテ』は余り笑えなかったし、涙も流さなかった。演劇として、余りにうまく作られてしまっているためなのだろうかとも思った。舞台のつくりは素晴らしかったし、俳優たちの声はよく響き、演技も演出も見事だった。それなのに、理由はよくわからなかったけれど、感動が湧き上がってこなかった。

 私は『ドン・キホーテ』を見て、原作者のミゲル・デ・セルバンテスがないが言いたかったのか、わかったような気がした。ただ荒唐無稽の面白おかしい物語を書いたわけではなかった。ミゲルは人間の理想の社会は何かを描きたかったのではないか、そんな気がした。キホーテの仲代達也さんは彼もまたキホーテだったのだろうか。死を迎えた時のキホーテの言葉はとても印象的だったのに、今となっては思い出せない。誠に悲しい限りである。
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