車の定期点検の日。1時間くらいかかるというので、そばの喫茶店で時間をつぶす。「ボックス席に空がないので、真ん中のカウンター席でいいですか」と案内される。朝10時はこんなにも多くの人が喫茶店にいるのかと思うほど満席だ。見渡すと圧倒的に高齢者が多い。飲み物に200円プラスすればかなりボリュウームのある食事ができる。年寄りの男女や女ばかりの客は朝飯か朝昼兼用か、オーダーしている。
私の後ろのボックス席は男の2人組だった。「元気そうじゃーないか」「元気なもんか、ゴルフもできないし、もうすぐあの世行きだ」「それはめでたい。母ちゃんが喜ぶぞ」「母ちゃんばっかり元気で、何にもしないからボケると追い立てられてるよ」「そりゃーあんたのために言っとるのさ、感謝せなあ」「近頃は小言が多くて、電気点ければ、もったいないと消されてしまうし、やることなすこと貶されてばっかりだわ」。
私と変わらない年齢だ。喫茶店で愚痴話とは寂しいと思ったが、会話があるだけでもまだよい方なのかも知れない。男女で入ってきたのに、年老いたカップルは備え付けの週刊誌を読んでいて言葉も交わさないし、若いカップルは座ると同時にスマホを取り出して話もしない。スマホは人間から間を無くしてしまったと私が読んでいた週刊誌にあったが、スマホをつかわない私にはどうして夢中になれるのか分からない。
「お前のところ、どうしてる保険?」と相方が聞いていた。「保険は入ってるがどうなってるのか知らん」「生命保険なんぞ、オレが死んでも300万円しかならんとカミさんが言う。死んでも何の価値も無くなってしまったわ」「宇都宮で爆破事件起こした奴がいただろう。あいつがもう恋もできんのかと遺書に書いたみたいだけど、やっぱりもう無理なのかな」「えっ、まだ恋したいんか?金もないのに無理に決まっとる」。
私はお目当ての『週刊ポスト』を読む。「次の選挙は自民、小池新党、維新の会で400議席 野党潰れる」。そんなものかも知れない。
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