「西和自主夜間中学」という。「中学」と名乗っているが、本来の学校とは全然関係がない。会社勤めを定年で退職した人や、主婦や、自営業や、現役のサラリーマンや、もちろん学校の先生や、色んな人たちがボランティアで、マンツーマンで、教えられることを教えている。そういうところに参加している。
今の私の生徒さんは、難聴であまりよく学べなかった若い男性。感じ練習帳で勉強したり、新聞を読んだり、作文を書いたりしている。
その生徒さんが、太鼓のアマチュアグループに所属していて、今日、その公演があり、聴きに行った。結成10年を記念しての初の単独公演だった。
彼は、いわば“2軍”。全6曲の中の1曲だけ、まだイベントに呼ばれるほどの実力でないメンバーでの演奏に参加していた。
子どものように生真面目で、すぐに失敗を恐れるところのある彼だが、懸命にリズムを合わせながら大太鼓を叩いていた。
“1軍”の、速いリズムで軽やかに、そして力強く演奏される曲とは違い、子どもから中年までの10数人のメンバーが、練習してきたことを、本当に真っ直ぐに出そうとしていた。
演奏が終わり、舞台の前に出た彼の顔を見ていると、柄にもなくウルウルしてしまった。
人が、邪心なく、懸命に何かを為そうとする姿は、本当に美しいものだ。
最新の画像もっと見る
最近の「くらし」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事