走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

周りのサポート

2015年04月11日 | 仕事
サンドラにいつ鬱と不安症を診断されたのですか?と聞くと、人生ずっとそうだったと。診断されて治療が開始されたのは、自殺を図り入院した20代前半の頃。しかしその前から症状に苦しんでいたと。

サンドラは勉強がよくできて16歳で高校を終えそのまま大学へ。大学でもよく出来る生徒だった。しかし人前に立つことが出来ない。子供の頃から「恥ずかしがり屋さんだから」「大人になれば大丈夫」と言われてきた。ダブルメイジャーで大学を終え教師になることを勧められた。しかし実習で生徒の前に立つことが出来ず教師にはなれなかった。16歳で大学へ進んだから、まだ心の準備はできていないのよ。数年すれば成長して大丈夫、機を待って再チャレンジしたらとも言われたが、彼女はもう無理だと道を諦めブックキーパーとして働き出した。

なんだか悲しい話だと思った。彼女が最も苦しんだ10代、20代、40年以上も前の話だ。その頃は不安症や鬱に世間はどれだけ理解があったのだろうか?医療者、学校側、家族による適切なサポートがあればサンドラは教師にはなれなかったかもしれないが、大学で学んだことを生かせる職業に就いていたのではないか?と思ってしまった。

家族を持つこともなく、引きこもりとなり、、、
サンドラは一人ではない。メンタルヘルスを持っている人が社会の陰で静かに苦しんでいる。そういう構図が頭に浮かんだ。

メンタルヘルスセンターに紹介され、私のところにも紹介され、こんなにサポートがあるなんて知らなかった。少し明るさが戻ってきた気がする、と話すサンドラ。そうであってほしい。どんなサポートが有るのかを知らずして、静かに苦しむ。そういう人を減らしていきたいから。




シリーズで出していた写真は2009年にベガス空港から4州にわたり沢山の国立公園、州立公園を2週間でドライブした時のものです。その頃は末娘は4歳でした。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。