恐らくオリンピック前半戦のクライマックスと、日本人の誰もが思っていたことでしょう。ノルディックスキー女子ジャンプのノーマルヒル決勝で、イギリスのブックメーカーも、アメリカのSports Illustrated誌も、金メダル最有力候補と見ていた高梨沙羅ちゃんが4位に終わりました。
何が起こったのか。長野オリンピック金メダリストの船木和喜さんは、先ずは敗因として「風」を挙げ、ゲート(スタート位置)を下げるかどうか判断が難しい状況だったと言い、次にテレマーク(着地の姿勢)を入れられなかったことにも触れた上で、「中途半端に安全に飛んで結果が出なかったより、攻めた結果の失敗」と慰めておられました。
私も、沙羅ちゃんがいたからこそ理解が深まったのですが、ジャンプ競技は「飛距離点」「飛型点」「ウィンド・ファクター」「ゲート・ファクター」のポイント合計で競うものだそうです。「飛距離点」つまり遠くに飛んだ方が圧倒的に有利であるのは間違いなく、「飛型点」つまり飛行中の姿勢がダイナミックで美しいこともポイント加算されることまでは知っていましたが、「ウィンド・ファクター」つまり不利な追い風では加点され、有利な向かい風では減点されるといった微調整が行われることまでは知りませんでしたし、「ゲート・ファクター」に至っては、天候や選手の状況によって、スタート位置を規定よりも下げると(飛距離が落ちることから)加点され、逆に上げると減点される、そんな微調整が加えられることなど知る由もありませんでした。
今回、彼女は不利な追い風のもと、二度のジャンプで合せて5.0点という、出場30選手中2番目に高い加点があったそうです。船木さんに言わせれば、それだけ悪い条件で、しかし高い技術を持つ彼女のジャンプ内容が良かったからこそ(そう、ジャンプ内容は決して悪くなかったのだそうです!)、100メートルも飛ぶことが出来たのだそうです。また船木さんによれば、風向きが刻一刻と変わり、強弱もあって、ゲートを下げるかどうか判断が難しい状況で、結果として2本目で100メートルに届かなかったので、敢えてゲートを下げなくて正解だったとも言います。ゲートを下げると加点されますが、飛距離が出なくなるために却ってポイントを落としていたのではないかと言うわけです。さらに、船木さんは、飛距離を抑えてテレマーク(着地姿勢)を入れると加算される中、入れなかったからこそ、悪条件の中でも100メートルを飛べたのだろうとも言います。こうしてジャンプは複雑な関数のようで、素人には何が良いのかいま一つピンと来ませんが、恐らく選手やコーチは瞬時にベストな組合せを判断しなければならず、一筋縄では行かない微妙なものであるようです。
ワールドカップでは勝ち続け、最多勝を記録した彼女でも、オリンピックでは銅メダルにも手が届かない・・・長い練習の末にほんの短期間に持てる力を全て出し切らなければならないオリンピックには魔物が棲むのか、運に見放されたとしか言いようがないのか。
幸い彼女は17歳、まだ次があるじゃないか・・・とか、オリンピックが全てではない・・・などと言ったところで、本人には慰めにならないでしょうが、多くの日本人がフィギュアに加えてジャンプにここまで注目するに至ったのは、ひとえに小柄な彼女の大きな存在感の為せるワザであり、彼女の評価はオリンピック前と後とで些かも変わるものではありません。
同じ日、メディアは先ずは沙羅ちゃんがメダルを逃したことを報じた後、スノーボード男子ハーフパイプで、15歳の平野歩夢くんが銀メダル、18歳の平岡卓くんが銅メダルを獲得したことを報じました。彼らには気の毒な日程でしたが、沙羅ちゃんと同じように、(私にとっては子供と同世代という若い!)彼らの健闘を称えたいと思います。
何が起こったのか。長野オリンピック金メダリストの船木和喜さんは、先ずは敗因として「風」を挙げ、ゲート(スタート位置)を下げるかどうか判断が難しい状況だったと言い、次にテレマーク(着地の姿勢)を入れられなかったことにも触れた上で、「中途半端に安全に飛んで結果が出なかったより、攻めた結果の失敗」と慰めておられました。
私も、沙羅ちゃんがいたからこそ理解が深まったのですが、ジャンプ競技は「飛距離点」「飛型点」「ウィンド・ファクター」「ゲート・ファクター」のポイント合計で競うものだそうです。「飛距離点」つまり遠くに飛んだ方が圧倒的に有利であるのは間違いなく、「飛型点」つまり飛行中の姿勢がダイナミックで美しいこともポイント加算されることまでは知っていましたが、「ウィンド・ファクター」つまり不利な追い風では加点され、有利な向かい風では減点されるといった微調整が行われることまでは知りませんでしたし、「ゲート・ファクター」に至っては、天候や選手の状況によって、スタート位置を規定よりも下げると(飛距離が落ちることから)加点され、逆に上げると減点される、そんな微調整が加えられることなど知る由もありませんでした。
今回、彼女は不利な追い風のもと、二度のジャンプで合せて5.0点という、出場30選手中2番目に高い加点があったそうです。船木さんに言わせれば、それだけ悪い条件で、しかし高い技術を持つ彼女のジャンプ内容が良かったからこそ(そう、ジャンプ内容は決して悪くなかったのだそうです!)、100メートルも飛ぶことが出来たのだそうです。また船木さんによれば、風向きが刻一刻と変わり、強弱もあって、ゲートを下げるかどうか判断が難しい状況で、結果として2本目で100メートルに届かなかったので、敢えてゲートを下げなくて正解だったとも言います。ゲートを下げると加点されますが、飛距離が出なくなるために却ってポイントを落としていたのではないかと言うわけです。さらに、船木さんは、飛距離を抑えてテレマーク(着地姿勢)を入れると加算される中、入れなかったからこそ、悪条件の中でも100メートルを飛べたのだろうとも言います。こうしてジャンプは複雑な関数のようで、素人には何が良いのかいま一つピンと来ませんが、恐らく選手やコーチは瞬時にベストな組合せを判断しなければならず、一筋縄では行かない微妙なものであるようです。
ワールドカップでは勝ち続け、最多勝を記録した彼女でも、オリンピックでは銅メダルにも手が届かない・・・長い練習の末にほんの短期間に持てる力を全て出し切らなければならないオリンピックには魔物が棲むのか、運に見放されたとしか言いようがないのか。
幸い彼女は17歳、まだ次があるじゃないか・・・とか、オリンピックが全てではない・・・などと言ったところで、本人には慰めにならないでしょうが、多くの日本人がフィギュアに加えてジャンプにここまで注目するに至ったのは、ひとえに小柄な彼女の大きな存在感の為せるワザであり、彼女の評価はオリンピック前と後とで些かも変わるものではありません。
同じ日、メディアは先ずは沙羅ちゃんがメダルを逃したことを報じた後、スノーボード男子ハーフパイプで、15歳の平野歩夢くんが銀メダル、18歳の平岡卓くんが銅メダルを獲得したことを報じました。彼らには気の毒な日程でしたが、沙羅ちゃんと同じように、(私にとっては子供と同世代という若い!)彼らの健闘を称えたいと思います。