風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

衆議院解散と総選挙

2012-11-17 15:24:12 | 時事放談
 昨日、野田さんが「近いうちに」と言ってからちょうど100日目の解散となったようです。長かったですね。右目が腫れぼったく両目とも血走って憔悴し切った野田さんの表情を見ていると、自民党からは「ウソつき」呼ばわりされながら、身内の民主党内に解散反対の抵抗勢力が根強く、党内調整に難航して、ずるずる時期を逸してしまった苦悩が読み取れます。所謂「内憂外患」、さらには、輿石幹事長すら党内融和に心を砕いて必ずしも野田さんと心を通わせていたようにも見えず、厳しい国民の目にも晒され、「四面楚歌」とも言うべき状態だったのではないでしょうか。玄葉外相は「バカ正直解散」と名付け、「党より国家、政局より大局を考えて決断したのだろう」などと持ち上げてくれ、公明党の山口代表は「寄り切り解散」と名付けて、手柄を自画自賛しているようですが、野田さんには野田さんのアジェンダがありました。一票の格差是正に加えて定数削減の条件を突き付けたのは、どのみち民主党が惨敗するのは目に見えているので総枠を減らしてしまえと捨て身だったに他ならず、また解散は時間の問題となった中でも、第三極の準備が整わない内に、そして「ウソつき」イメージが定着する前に、さらに高まる「野田おろし」の機先を制して、といった諸々のタイミングを見計らって、自らの面子を貫いただけではないかと思います。
 それにしても、国会議員のセンセたちは離党や政党替えに慌ただしく、頭の中を割って見ると「選挙」という文字で一杯というのは、驚くべきことです。民主党の政権交代の原動力となった小沢チルドレンは雲散霧消と言われる始末で、政治家って、これほど軽いものだったのかと、あらためて目を見張ります。既に民主党と国民新党を合わせた与党の衆議院会派は実質238議席と、過半数(240)を割り込んだと報道され、予備軍も後を絶たない状況で、さっさと脱出しようにも「政界渡り鳥」などと後ろ指さされるのを覚悟しなければなりませんし、泥船に残ったところで沈むのを待つばかりでは、「進むも地獄、退くも地獄」と言わざるを得ません。他方、雌伏三年の自民党は、まるで政権を取ったかのように、衆議院解散を仲間うちでがっちり握手して喜ぶほど、党勢を回復しているとは思えません。そして第三極は・・・どうなんでしょうね。二大政党が頼りにならないので、一定の受け皿になるのは間違いありませんが、自民党がダメなら民主党、民主党がダメなら第三極と、果たしてそう簡単に人の心は移ろい行くものなのかどうか。もう少し正体を見極めないことには、本当に幽霊なのか枯れ尾花なのか何とも言えないのではないでしょうか。
 この三年間で、日本国民は、清き一票などと軽々しく叫ばれてきたものが如何に重いものかを、身に染みて感じたことと思います。二大政党制を是とするかどうかは別にして、自民党しか政権与党の経験がない、他に選択肢がない、という状況は不幸なことでしたが、それにしても、失敗続きで、授業料としては安くありませんでした。果たして今回、第三極にどれほどの支持が集まるのか、鳩山さん・菅さんといった民主党の重鎮はどう評価されるのか、小沢さんは果たして復権するのか、第三者的に眺めるならば興味は尽きない総選挙ですが、三年前の総選挙では海外からの帰国後三ヶ月以内で選挙権がなかったことを恨めしく思った私は、今回、いざ、選挙人として投票権を行使するとなると、政治にそれほど期待するものではないと思いつつも、その投じ方については実に悩ましく思います。日本の政治はなお混沌としたままです。
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