花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき、と自らの半生を花に託して詠ったのは林芙美子だった。桜島に石碑がある。確かに先週末は満開だった桜は、この季節の気紛れな雨風に晒されて、今週末は葉桜に変わった。花にとっては過酷な季節である。
だからであろう。咲き始めの可憐さ、咲き誇る華麗さ、散り際の潔さは、日本人の美意識を体現して、日本人にこよなく愛されて来た。
そして、いのち短し、恋せよ乙女、とも歌われた(ゴンドラの唄)。紅き唇褪せぬ間に、熱き血潮の冷えぬ間に、明日の月日はないものを、と。人にもそんな季節があることを思い起こさせるかのように、この春もまた、桜は咲いてくれた。桜を眺めながら、人は何を思うのだろう。桜が愛される所以である。
上の写真は先週末のもの。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます