風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

本日の迷演説

2022-05-09 21:34:58 | 時事放談
 今日は二人のリーダーの演説が注目された。
 一つは言わずと知れた対ナチス・ドイツ戦勝記念式典でのプーチン氏のもので、ウクライナ危機について勝利宣言はおろか開戦宣言も出来なかったようで、辛うじて、「ロシアは新たな安全保障の枠組みについて対話を望んだが、欧米は耳を貸さなかった」「(軍事作戦は)唯一の正しい選択だった」と、国内向けに言い訳(自己正当化)するのがやっとだったようだ。最近テレビで引っ張りだこの中村逸郎教授によると、「プーチン大統領は相当早口でした。今までよりも。ですから、逆に言いますと、なぜ戦争宣言をできなかったというところに、プーチン大統領の焦りみたいなものがあると思う」と語っておられて、お説ごもっとも。「もし戦争宣言なら、(西側が)単に兵器を送るだけじゃなくて、兵士も送るんだということが言われていたし、現実味を帯びていたわけです。このメッセージが、かなり今回プーチン大統領が戦争宣言まで踏み込めなかった一つの大きな理由」とまで語っておられたのは、ほんまかいなと、NATOが兵士を送ることについては俄かに信じがたいが、「今回プーチン大統領の演説を見ると、かなり険しい表情であったし、早口になっている。戦果が何も手に入っていないという意味で、私は思った以上に弱気のプーチンという感じを持ちました」と語っておられたあたりは納得する。
 もう一つは、別に事前に注目していたわけではない(そう言えば明日、新・大統領が就任する)韓国・文在寅氏の退任演説で、お騒がせの元慰安婦や元徴用工の問題には言及がなく、成果のなかった北朝鮮問題については、融和政策で「平和と繁栄の希望を育てた」と簡単に触れるのがやっとだったようだ。しかし、「日本の不当な輸出規制による危機を全国民の団結した力で克服したことが決して忘れられない」「(日本の措置が)製造業の競争力強化につながった」と、国内向けに言い訳(自己正当化)したそうで、どうしてこの国では国のトップまでもが真実を語らなくて恥じるところがないのが不思議でならない。あれは輸出管理の運用強化であって、輸出規制ではない。不当でもなんでもなくて、韓国がアヤシイことをしたから国の評価が普通の国並みにダウン・グレードして優遇されなくなったまでで、アヤシイ取引をしない限りは多少手続きに手間と時間がかかっても規制されるわけではない。こうした胡麻化しを正さない韓国メディアのチェック機能の弱さ(イデオロギー的な偏り?)を感じないわけにはいかないし、日本に対して、儒教思想のせいか「(常に韓国の)正義」が先に立って、事実関係などどうでもいいという傍若無人な振舞いには辟易する。
 お二人には共通する問題があるように思う。自画像と現実とのギャップである。プーチン氏は、あるがままの現実(もはや経済規模は韓国並みでしかない)以上の「大国」幻想に囚われて、その(軍事)行動に危うさがある。他方、文在寅氏は、あるがままの現実(もはやGDPも防衛予算も世界トップ10にランクされる)以下の「小国」意識が抜けなくて、国際社会に対する責任の自覚はないし、日本は大国なのだから大目に見るのが当然だろうといった甘えが過ぎる。いずれもロシアと韓国という国家に歴史的に培われた習性なのだろうが、幻想でしかなくて、傍迷惑でしかない。報道や言論の自由が担保されない国では、このあたりの矯正は難しいのだろうか。
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