カナダバンクーバーの工事中の住宅にて
みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。
2008年 11月25日 のブログをご覧なっての相談です。
「造作材の塗装についてなのですが。
現場塗装の造作材について「濃茶色のオイル仕上げで木目を出して」と
いう依頼をしていたのですが、仕上がりイメージがかなり異なるもの
でした。(ちょうど11/25記事の上から2番目くらい、もっと濃い色に
なればと考えていました)
言葉で伝えるのは難しいのですが、こちらのイメージとしては、オイル塗
料が沁み込むことで木の質感のまま濃茶色になるように依頼したつもりで
した。が、実際には表面に塗膜ができているような状態でペンキの質感で
す。
試しに、塗料を落とせるかベンジンで拭いてみたところでは、ムラのある
状態になってしまったということでした。難しいとは思うのですが、ここ
からの修正方法があるのかどうか御助言いただけないでしょうか。
仕上げイメージを伝えただけで、サンプルを作ってもらわなかったことを
かなり後悔しています。」
というものです。
実は、この質問だけでは、状況が全くわかりません。
木の材質が何なのか?
ここでの造作材とはどこの部分で現在どういう状態になっているのか?
塗装屋さんが塗った塗料は、一体何なのか?
この内容の最後で「ベンジンで拭いた」とありますから、
ますます、わからなくなってしまいます。
良い仕事をしてくれる塗装屋さんは、どんどん減ってきています。
塗装の仕事そのものが、非常に少なくなっています。
家の内部で塗装屋さんが、仕事する部分がなっているからです。
ハウスメーカーの注文住宅や建売住宅では、皆無でしょう。
すべて、工場での印刷紙張りや塗装済みの突板ですから。
内部どころか外部を含めても全く無いというケースは、珍しくありません。
なんでも鑑定団の中島誠之助がよく発する「いい仕事してますねぇ~」
という言葉は、造作塗装に関しては、なかなか聞けなくなっています。
そのため、造作材の生地仕上げの正しい塗装方法を知らない、
またはできない塗装屋さんもたくさんいます。
この方の質問内容が良く分かりませんから、
私が状態を想像し、仮定してお答えしましょう。
前提が違っているかもしれませんので、その点はご了解下さい。
ベンジンではなく、シンナーや塗装薄め液を使っても、
塗った塗料が薄くならない場合は、
一番細かいサンドペーパーで表面を磨いて、塗料を磨き落とします。
そのあと、再塗装するのですが、塗装して木目が潰れてしまったら
拭き取ることが必要です。それで色が予定より薄くなったら、
再度塗装することになります。
但し、廻りが仕上がっているなどの状況によっては
これができない場合がありますね。
この方もわかっていらっしゃいますが、こだわりがあるのなら、
試し塗りをすべきでした。
私は、今週の日曜には再度、千葉県の御宿まで、アクアラインを通って
数百キロの道のりを車を飛ばして、現場へ行きます。
何のためかというと、
漆喰のコテ目の付け方を確認に行くのです。
以前頼んだ左官屋さんに、以前と同じ方法で塗るように頼んでいますが、
それでも、試し塗りの確認のためだけに、数百キロの道のりを行くのです。
この現場の設計監理は、ミタス一級建築士事務所としては経費を考えると
完全に赤字です。
でも、そのことはわかった上で、施主の事情を汲んで引き受けた以上は、
現場がどこであれ、手を抜かず設計監理を行います。
他の施主との打ち合わせが午後にはありますから、それまでに戻れるように
朝5時30分に出発します。
本日、言いたかったことは、ふたつです。
「ポイントとなる部分やこだわりの部分は、手間隙がかかる」ということです。
もうひとつは、ミタス一級建築士事務所は、
設計や監理を行いますが工事を請け負っているわけではありませんので、
現場監督の仕事はいたしません。
現場監督以上に現場へ足を運ぶので、逆に誤解する方がいらっしゃるようです。
このことは、いずれ機会を見つけてお話しましょう。
横浜市 住宅 建築家
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