帝釈天と阿修羅の戦い ・ 今昔物語 ( 1 - 30 )
今は昔、
帝釈(タイシャク・帝釈天。もとはバラモン教の最高神インドラで、仏教に組み込まれて忉利天の王となり、梵天と並ぶ仏法の守護神となった)の御妻(ミメ)は舎脂夫人(シャシブニン・絶世の美女とされる)という。ラゴアシュラ王の娘である。
父のアシュラ王は、舎脂夫人を取り返すため、常に帝釈と合戦していた。 (帝釈が侍女たちと池で遊んでいるのに嫉妬した夫人が、父のアシュラに告げたため娘を取り返そうとしたらしい。但し、帝釈とアシュラは常に争っているらしい。)
ある時、帝釈が負けてしまって逃げ返る時、アシュラ王は追いかけて行った。須弥山(シュミセン・仏教的世界観で、宇宙の中核をなす山)の北面より、帝釈は逃げて行った。その道に、多くの蟻が長く連なって這い出て来た。帝釈はその蟻を見て、「私は、今日たとえアシュラに負けて討たれるようなことがあっても、戒律(ここでは殺生戒)を破ることはしない。私がなお逃げて行けば、多くの蟻を踏み殺してしまう。戒律を破れば、善所(地獄などの悪道に対する所)に生まれ変わることが出来ない。ましてや、仏道を成就することなど出来ない」と言って、引き返し始めた。
すると、アシュラ王は攻めてきていたが、帝釈が引き返してくるのを見て、「さては、軍兵を多く加えて、引き返してきて我を責めたてようとしているのだ」と思って、逃げ返って蓮根の穴に籠った。
帝釈は負けて逃げ返ろうとしたが、蟻を殺すまいと思ったが故に、勝って返ることが出来たのである。
されば、「戒律を保つことは、三悪道(地獄・餓鬼・畜生の三道)に堕ちず、緊急の災難を逃れる道である」と仏の説き給うことである、
となむ語り伝へたるとや。
☆ ☆ ☆
今は昔、
帝釈(タイシャク・帝釈天。もとはバラモン教の最高神インドラで、仏教に組み込まれて忉利天の王となり、梵天と並ぶ仏法の守護神となった)の御妻(ミメ)は舎脂夫人(シャシブニン・絶世の美女とされる)という。ラゴアシュラ王の娘である。
父のアシュラ王は、舎脂夫人を取り返すため、常に帝釈と合戦していた。 (帝釈が侍女たちと池で遊んでいるのに嫉妬した夫人が、父のアシュラに告げたため娘を取り返そうとしたらしい。但し、帝釈とアシュラは常に争っているらしい。)
ある時、帝釈が負けてしまって逃げ返る時、アシュラ王は追いかけて行った。須弥山(シュミセン・仏教的世界観で、宇宙の中核をなす山)の北面より、帝釈は逃げて行った。その道に、多くの蟻が長く連なって這い出て来た。帝釈はその蟻を見て、「私は、今日たとえアシュラに負けて討たれるようなことがあっても、戒律(ここでは殺生戒)を破ることはしない。私がなお逃げて行けば、多くの蟻を踏み殺してしまう。戒律を破れば、善所(地獄などの悪道に対する所)に生まれ変わることが出来ない。ましてや、仏道を成就することなど出来ない」と言って、引き返し始めた。
すると、アシュラ王は攻めてきていたが、帝釈が引き返してくるのを見て、「さては、軍兵を多く加えて、引き返してきて我を責めたてようとしているのだ」と思って、逃げ返って蓮根の穴に籠った。
帝釈は負けて逃げ返ろうとしたが、蟻を殺すまいと思ったが故に、勝って返ることが出来たのである。
されば、「戒律を保つことは、三悪道(地獄・餓鬼・畜生の三道)に堕ちず、緊急の災難を逃れる道である」と仏の説き給うことである、
となむ語り伝へたるとや。
☆ ☆ ☆
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます