NHK BS シネマ 2021/02/03
カメラマンのジェフは事故で足を骨折し、車椅子生活を余儀なくされる。そんな彼にできる唯一の楽しみは、カメラの望遠レンズなどを使って裏窓から見る隣のアパートの住人達の人間模様の観察・「覗き」であった。
【監督】アルフレッド・ヒッチコック
【原作】コーネル・ウールリッチ
【脚本】ジョン・マイケル・ヘイズ
【撮影】ロバート・バークス
【音楽】フランツ・ワックスマン
【出演】
カメラマン・ジェフ・・・ジェームス・スチュアート
ジェフの恋人リザ・・・グレース・ケーリー
看護師ステラ・・・セルマ・リッター 他
【原題】REAR WINDOW
【製作国】アメリカ 1954年 カラー 1時間53分
向かいの部屋では、若い女性が下着姿で踊りを踊ったりする。
ただし覗きは大昔は眼をくりぬかれる刑、当時でも6カ月の矯正施設送りだと看護師ステラはジェフに告げる。
主人公も最後には窓から落ち、命は取り留めるものの右足だけだったギブスが両足にはめられることになる。これは、原作者がジェフに対して行ったペナルティーだとか・・・。
また、作曲を行う男の部屋があり、この映画の曲が聞こえてきたりもする。こちらを向いているのはヒチコック監督であるとのこと。
他に、新婚の夫婦や独り者の女性など様々な人間模様が映し出される。
骨折中ジェフの世話をしている看護師ステラは、覗きよりも恋人リザとの結婚を考えるべきだと釘を刺す。ジェフはリザを愛していたが、ライフスタイルの違いから結婚を躊躇していた。
リザ役は、後にモナコ王妃となったグレース・ケーリー。その華麗な美しさが印象的である。果たして、この二人の恋の進展は如何に? それは、この映画のラブロマンスでもある。
【左 ジェフ(ジェームス・スチュアート)、右 リザ(グレース・ケーリー)】
ある日、いつも口喧嘩が絶えなかった向かいのアパートの中年夫婦の妻が突如として姿を消す。セールスマンの夫ラーズの怪しい挙動を観察していたジェフは、数々の状況証拠から殺人事件ではないかと疑惑の目を向ける。
肉切り包丁を新聞紙に包む
トランクをロープで縛る
ジェフ「昨夜から妻の姿が見えないんだ、夫婦げんかや夜中の外出、包丁、のこぎり、ロープで縛ったトランクもな」
始めは懐疑的だった恋人リザも興味を示すようになり、看護師ステラとともに調査に当たる。ジェフは友人の刑事ドイルに電話をして来てもらう。
事件を認めようとしないドイルの調査結果により、ジェフとリザは意気消沈しながらも事件の終わりを受け入れざるを得なかった。
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しかし突然響いた泣き叫ぶ声。アパートの住人が飼っていた子犬が誰かに殺されてしまったらしい。住人がいっせいに顔を出す中、ラーズだけが現れないことに気づいたジェフ。ジェフは庭の花畑を掘っていた子犬を殺害したのはラーズだと確信し、その理由に迫ることに。
事件は急展開し、一歩踏み込み、確たる証拠を掴もうとするジェフとリザ2人に危機が迫る……。
【感想】
人の私生活をのぞいてみたいという人間的な欲求を満たすために、映画に映る建物全体をセットにしたという効果は日常感を出しながらもよく伝わって来る。様々な人間模様を見ることが出来る上に、サスペンスドラマとして作り上げたヒチコック監督の手腕は見事である。
主人公のジェフがギブスを付けており、自由に歩くことが出来ず事件が思うように進展しないイライラも良く計算されていて、それが事件の終盤に向けての緊迫感や速度感・・・そして迫り来る恐怖感を際立たせていると思う。