WOWOW 2020/11/14
第1次世界大戦時のスイスのチロル地方が舞台。 L.ペリーのお茶目でお洒落な演出で物語が活き活きとするラブコメディー。
P.イェンデ演じるマリーは、フランスの連隊で、育てられたお転婆娘で、隊員は、皆パパ、J.カマレナが演じるトニオは仏軍の敵、チロルの青年でマリーに恋しています。二人の圧巻のベルカント歌唱は見どころ。途中、マリーは伯爵夫人にパリに連れて行かれ、不運な恋人達になるのかと思えますが・・・
演奏:
メトロポリタン歌劇場管弦楽団 指揮 エンリケ・マッツォーラ
演出:
ロラン・ペリー
出演:
プレティ・イェンデ・・・マリー
ハヴィエル・カマレナ・・・トニー
マウリツィオ・ムラーロ・・・軍曹シュルピス
ステファニー・ブライズ・・・ベルケンフィールド公爵夫人
上映時間:3時間
MET上演日:2019年3月2日
言語:フランス語
【あらすじ】
第1幕
孤児のマリーはフランス軍21連隊の料理、洗濯などの小間使い。左は軍曹シュルピス
トニーはチロルの青年で、マリー逢いたさに連隊の敷地に入り込んでスパイとして捕らえられる。しかし、マリーの命の恩人として一命を取り留める。そして、21連隊に入隊する。
マリーは「連隊の歌」を歌う。
トニーも「友よなんて楽しい日」ハイCを連発する超難関アリアを歌う。この日は、観客のアンコールに応え、再度歌う。METライブビューイング史上初めてだという。
マリーは、21連隊を離れ、パリの公爵夫人邸宅に連れて行かれる。
第2幕
公爵夫人の家。掃除夫が清掃していると、急にほこりが立つシーン。お茶目な演出だ。
貴族の生活に馴染めないマリーは、伯爵夫人の礼儀作法教育で、立派なドレスを着て、歌「愛の神」のレッスンを受けるが 気乗りがせず、結局シェルビスと連隊の歌を歌うことになる。
21連隊の隊員が邸宅を訪れる。
マリーの結婚の誓約書の調印という時に、トニーは最後は連隊仲間と戦車を仕立てて彼女を取り戻す。
【感想】
ドニゼッティのオペラといえば、「愛の妙薬」(人知れぬ涙)、「ランメルモールのルチア」(19世紀に流行した「狂乱オペラ」で唯一生き残った名作)などが特に有名です。そして今作品の前にイェンデがこれらの2作品をメトロポリタンオペラで歌っているのも特筆されます。
彼は70ものオペラを作ったそうですが、この中で、「連隊の娘」はベスト5くらいに数えられる作品といったところでしょうか。メトロポリタンオペラでも、1972年 ルチアーノ・パバロッティがトニオ役で、2008年に、ナタリー・デセイがマリーをファン・ディエゴ・フローレスがトニー役でと、過去2回上演されています。
このオベラは、なんと言ってもドニゼッティの心に染みる素晴らしい旋律、胸躍るような楽しさがバランス良く組み合わせられているということでしょう。幾つもの素晴らしいアリアがイェンデとカマレナのベルカント歌手によって見事に歌われます。特にイェンデはアドリブを入れたり、舌打ち(彼女の出身の南アフリカ、ズールー民族独自のもの)を曲に挿入するなど縦横無尽の活躍でした。
また、ラブコメディということもあって,ストーリーは素朴なので肩を凝らせずに見ることが出来ます。
ロラン・ペリーの演出は2008年に続き2度目ということですが、前回も絶賛されたというお洒落で上品な演出で、さらに、このオペラを盛り上げていました。