昨日は、県議会一般質問にたちました。
原発問題の部分を紹介します。
■保安院の説明は不十分。再稼働議論はできない
私は、「福島事故から1年がたとうとしておりますが、事故は収束しておりません。日本社会にこれほどのダメージを与えつづけているのは戦争以来ではないでしょうか。知事は「福島のような事故は繰り返さない」といいますが、福島の現状をみれば、再稼働は福井県民ととりわけ関西地域の国民のみなさんにノーリスクではない、ということは明らかです」と指摘しました。
そして、「福井県の原子力安全専門委員会は、経済産業省原子力安全・保安院が東北地方太平洋沖地震と東京電力・福島原発事故を検証し対策に知見を反映させる目的で設けた意見聴取会の中間とりまとめなどの説明を受けました。委員からは、地震・津波対策の不備を指摘する声を無視してきた国や電力事業者の姿勢にふれ、「最新の知見や少数の意見をどう合理的に規制にとり入れる枠組みをつくるかだ」との指摘がありました。とても再稼働についての判断ができる取りまとめではない、と私も感じましたし、委員の先生方も感じられたと思います」として、「とても「福島は繰り返さない」として自信をもって再稼働を判断できる状況にはないのではありませんか」と質問しました。
西川知事は、「福島原発事故の知見を反映した暫定的な安全基準をしめすように国にもとめている」などと従来の答弁を繰り返しました。
■1年程度かけて、県民の意見を県庁としてよく聞くべき
私は「県民の間でも大きく意見が分かれています。その象徴が2月7日の市議会議長会です。敦賀市からだされていた原発の再稼働などをもとめる議案が反対多数で否決されました」と述べて、「有権者の代表者の間で大きな意見の相違がある、つまり原子力行政における県民合意が完全に崩れているわけですから慎重を期さなくてはなりません」と指摘しました。
そして、「一定期間、1年程度かけて県内各地で「今後の福井県の原発をどうするか。県民のご意見を聴く会」を開催し、福井県としてなるべく多くの県民の声に耳を傾ける壮大な取り組みをおこなうべき」と提案しました。
知事は「国や事業者、県も新聞広告やチラシ、広報などで県民に知らせている。今後は、県民の代表である県議会での議論、地元市町の意見を十分聞いていく」と答弁。これでは福島事故以前とまったく変わらない態度です。
■原発現場での違法労働根絶を
私は、「関西電力大飯原発を舞台にした職業安定法違反の事件が起こりました。原発をめぐる問題のなかで、重大な問題のひとつは労働者の権利がないがしろにされている問題です。被曝労働の押し付け、使い捨て、がこれまでも指摘されています。このような労働者の権利を保護していくことは行政機関の重要な課題であります。さらに今回の事件のように原発が反社会的勢力の資金源にもつながっている疑念があるとしたら重大です。警察の取り調べに関係者はこのようなことは日常茶飯事だった、と供述していると報道されています」として抑止策をたずねました。
警察本部長は「今後とも暴力団の介入実態の把握につとめ、法と証拠にもとづき厳しく取り締まっていく」と答弁しました。
■廃炉工事で雇用創出を
私は「県議会厚生常任委員会で浜岡原発と静岡県庁を視察しましたが、原発が全停止していても雇用の悪化はない、との回答に意外な気持ちがしました。その要因は、浜岡原発1,2号機の廃炉工事と、福島原発事故をうけた対策工事としての土木事業などです。
そこで、40年を超える老朽化原発は運転再開が認められない状況があるわけですから、敦賀1号機、美浜1号機については、廃炉工事による雇用創出の観点からも、県として積極的に廃炉を求めていくべき」と提案しました。
知事は「40年運転と20年を超えない範囲で運転延長を認める・・という国の検討状況を見極めていく」とだけ答えました。
■活断層の評価と再稼働の判断は
私は「福島原発事故では津波想定の低さを専門家が指摘していたにもかかわらず東電も国もその指摘を退けて対策を講じなかった過ちを繰り返してはならないと考えます。
そこで、保安院指示をうけた関西電力の調査結果は昨日だされましたが、これまでの評価は変える必要がない、というものでした。今朝の福井新聞には、私が12月の予算特別委員会で紹介した東京大学地震研究所の纐纈一起教授の過去最大、既往最大を考慮すべき、との講演も紹介されています。
関西電力の報告と今後の保安院による検証について、福井県は再稼働などにかかる判断材料とすべきではありませんか」と質問しました。
安全環境部長は「保安院の審議状況を注視していく」と答えました。
原発問題での答弁から感じたことは、県民の声を聴くという点をとってもまったく従来と態度が変わらない、ということです。県民世論はもちろん、市議会議長会での大きな変化など知事がしっかりと受け止めるべきです。原発に頼らない福井県を真剣に考えるべきです。
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本会議後にきゅうきょ各派代表者会議(会長は田中敏幸議長)を開き、「原子力安全・保安院による説明会」を開催することが決められました。5日の開催で調整する、としています。
この説明会は議会開会前の2月22日に開催された各派代表者会議で田中議長から提案されましたが、賛成は自民党県政会だけで、私や民主党会派などが反対したため開催見送りが決められたものです。
この日も私は「いったん見送ったものをなぜ持ち出すのか。状況はまったく変わっていない。どうしても呼びたいのなら自民党の勉強会でやったらいい」と反対。民主党会派も反対しました。
しかし、自民党は「再稼働判断とはまったく別だ。昨年6月以降、保安院の話を聞いていない。勉強会だ。議長が開く全員協議会で」などと主張し、開催が決められました。公明党も賛成にまわりました。
大飯原発の再稼働をめぐり知事も慎重姿勢をとっているなかで、自民党が保安院の議会説明会開催をごり押ししたのは、再稼働圧力への伏線とみられても仕方がありません。これだけ県民の再稼働反対・原発なくして、の声が高まっている時に、県議会はもっと慎重であるべきです。
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以下、一般質問の全文です。
日本共産党の佐藤正雄です。
■原発問題
まず、原発行政について質問いたします。
① 福島事故から1年がたとうといたしておりますが、事故は収束しておりません。日本社会にこれほどのダメージを与えつづけているのは戦争以来ではないでしょうか。知事は「福島のような事故は繰り返さない」といいますが、福島の現状をみれば、再稼働は福井県民ととりわけ関西地域の国民のみなさんにノーリスクではない、ということは明らかです。
北海道電力泊原発は耐震性が不十分などとして、北海道民ら612人が北電を相手取り、同原発1~3号機全ての廃炉などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が2月13日、札幌地裁で開かれました。
北電は提出した答弁書で「原発に絶対的な安全性を求めることは不可能」などと表明しました。弁護団によると、全国の原発をめぐる同種訴訟で、電力事業者など被告側が原発について「絶対安全」との主張を自ら否定する答弁書を提出したのは初めてだといいます。
まさに電力事業者自身が、安全性に自信をもてなくなってきているわけです。
また、私は先日福島大学副学長の清水修二先生の講義をお聞きしました。原発と地方財政論でありましたが、福島県が36年間で受け取った電源3法交付金は2700億円。原発事故での賠償は4兆円、除染費用は5兆円とも推計されるそうです。「ひとたび事故が起これば、受益は吹き飛ぶ」と話されました。
そして、原発のはらむリスクの質と量を考えれば、「地元利益」を云々するレベルではない、と強調されました。
福島の現地からの訴えが、心にしみました。
あらためて、福島を繰り返さない、ということは、原発からの撤退を政治が決断する以外にないと痛感いたしました。
さて、福井県の原子力安全専門委員会は、経済産業省原子力安全・保安院が東北地方太平洋沖地震と東京電力・福島原発事故を検証し対策に知見を反映させる目的で設けた意見聴取会の中間とりまとめなどの説明を受けました。私もその専門委員会を傍聴いたしました。
保安院は「炉の中が高(放射)線量のため現場の奥深くまで行けない限られた状況があるので、そういう部分はまだ十分整理できていない」と前置きして、事故の技術的知見から、外部電源や発電所内電気設備、冷却設備など30項目の対策強化を説明しました。
また、今回のプレート間地震で広範囲の断層連動が生じた知見をふまえ、活断層型地震についても連動性を検討して2月中に報告するよう電力事業者に指示しているとのべました。委員からは、地震・津波対策の不備を指摘する声を無視してきた国や電力事業者の姿勢にふれ、「最新の知見や少数の意見をどう合理的に規制にとり入れる枠組みをつくるかだ」との指摘がありました。とても再稼働についての判断ができる取りまとめではない、と私も感じましたし、委員の先生方も感じられたと思います。
まさにいま、もともと範囲の限られた1次のストレステストで、しかも十分な知見が集約されていないのが現状であり、とても「福島は繰り返さない」として自信をもって再稼働を判断できる状況にはないのではありませんか。知事の答弁を求めます。
② 申し上げましたように福島原発事故は収束せず、被害は拡大しつづけています。このような状況下で県民の間でも大きく意見が分かれています。
その象徴が2月7日の市議会議長会です。
敦賀市からだされていた原発の再稼働などをもとめる議案が反対多数で否決されました。
報道では、市議会で脱原発の意見書を採択した越前市と小浜市を中心に「嶺南で事故が起きると福井県全体が被害にあう。将来の子どものためにも大きな決断をしないといけない」とか「敦賀原発1号機は40年を超えていて安全ではない」などと反対する意見が相次ぎ、議案は議決の結果、反対多数で否決された、といいます。
賛成したのは提出した敦賀市議会と、あわら市議会の2市議会だけで7市議会が反対または棄権しました。民意の反映である市議会の議長会で原発再稼働が圧倒的多数で否決されたのに、知事や県議会が認めるわけにはいかないでしょう。
行政としては、有権者の代表者の間で大きな意見の相違がある、つまり原子力行政における県民合意が完全に崩れているわけですから慎重を期さなくてはなりません。
私は前回の予算特別委員会で県民の民意をつかむために県民アンケートなどを提案しましたが、知事は拒否しました。しかし、このような形で民意がしめされました。
そこで提案しますが、一定期間、1年程度かけて県内各地で「今後の福井県の原発をどうするか。県民のご意見を聴く会」を開催し、福井県としてなるべく多くの県民の声に耳を傾ける壮大な取り組みをおこなうべきと考えますが、知事の所見をおたずねします。
むこう1年という期間はどういう意味をもつでしょうか。
ひとつは、福島原発事故が収まっていくのか、いかないのか、また事故の要因はどうなのか、などさらに解明がすすめられるなかで冷静な議論ができることになります。
二つ目に、予定では新年度から新しい原子力規制庁が発足するなかで、国の新しい原子力行政が国民の信頼にたるものかどうか、明らかになってくるでしょう
3つ目に、福井の原発が全停止したもとで、日本と福井のエネルギーや地方行財政をどうするか、県民を巻き込んでじっくり考える機会となるでしょう。
ぜひ、積極的なご検討をお願いするものです。
③ つぎに、原発労働と雇用の問題について質問します。
報道されていますように、関西電力大飯原発を舞台にした職業安定法違反の事件が起こりました。
代表質問への答弁で県警本部長は、「先般検挙した指定暴力団工藤会の関係企業等による職業安定法違反事件にみられるように、暴力団は、資金獲得を図るために関係企業を通じて様々な経済取引に介入している」現状との認識を示しました。
原発をめぐる問題のなかで、重大な問題のひとつは労働者の権利がないがしろにされている問題です。被曝労働の押し付け、使い捨て、がこれまでも指摘されています。
このような労働者の権利を保護していくことは行政機関の重要な課題であります。
そこで、知事は、原子力発電所で働く労働者の方々の雇用や勤務の実態について、どのように把握しているのか、また、問題がある場合にどのように対処するのか、所見を伺います。
さらに今回の事件のように原発が反社会的勢力の資金源にもつながっている疑念があるとしたら重大です。警察の取り調べに関係者はこのようなことは日常茶飯事だった、と供述していると報道されています。
このような違反事案に対する取り締まりを始めとする抑止策をどのように展開するのか、県警本部長の答弁を求めます。
二つ目に原発政策の大転換期のなかでの雇用確保の問題です。以前の質問でも指摘しましたように原発立地自治体の電力などに偏った雇用構造からの脱却を県も市町も真剣に考えなくてはならない時期が到来しました。
しかし、当面どうするか。県議会厚生常任委員会で浜岡原発と静岡県庁を視察しましたが、原発が全停止していても雇用の悪化はない、との回答に意外な気持ちがしました。
その要因は、浜岡原発1,2号機の廃炉工事と、福島原発事故をうけた対策工事としての土木事業などです。
そこで、40年を超える老朽化原発は運転再開が認められない状況があるわけですから、敦賀1号機、美浜1号機については、廃炉工事による雇用創出の観点からも、県として積極的に廃炉を求めていくべきであると考えますが、知事の見解を伺います。
④ 原発問題の最後に活断層の評価と再稼働の判断についておたずねします。私は先日、東京大学で開催された防災研究フォーラムに参加しました。
文部科学省地震・防災研究課の北川貞之氏は、地震調査研究推進本部について、陸域の主要な活断層と海域で発生する地震について、長期評価をおこなっている。海底地形調査、津波堆積物調査、海域活断層調査、海底堆積物調査など長期評価の高度化について述べました。
私も質問し、「福井県の原発について、福島事故のようなことになれば関西地域もふくめて被害は甚大となる。事業者まかせではなく、国が責任をもって調査すべきでないか」と質問しました。
北川氏は「特定のところではなく、全国的な評価をしている。日本海プレートと津波、沿岸活断層調査などはしている」などと答えました。
しかし、現実的には日本海側の調査と観測体制は太平洋側と比べると不十分です。
とくに、大飯原発についていえばFOーBとFO-A断層の連動は想定していますが、これに加えて熊川断層との連動は考慮されておりません。
わたしたちは関西電力本社をたずね、原発土木の担当者にもお聞きしましたが「保安院もそれでいいと言っている」との無責任な回答でした。
この関西電力や保安院の活断層評価については、専門家のみなさんからは異議がだされています。そうなれば、基準地震動がまったく変わるからであります。
このような情勢をうけて、1月27日に保安院はようやく「活断層間の離隔距離が約5キロメートルを超える活断層等その連動性を否定していたものに関し、・・連動の可能性について検討すること」を指示しました。
福島原発事故では津波想定の低さを専門家が指摘していたにもかかわらず東電も国もその指摘を退けて対策を講じなかった過ちを繰り返してはならないと考えます。
そこで、この保安院指示をうけた関西電力の調査結果は昨日だされましたが、これまでの評価は変える必要がない、というものでした。今朝の福井新聞には、私が12月の予算特別委員会で紹介した東京大学地震研究所の纐纈一起教授の過去最大、既往最大を考慮すべき、との講演も紹介されています。
関西電力の報告について今後、保安院がチェックをおこなうわけですが、関西電力の報告と今後の保安院による検証について、福井県は再稼働などにかかる判断材料とすべきではありませんか。おたずねします。
フォーラムではまた、高知県の取り組みについて、高知県庁の担当者から大震災以降の補正予算と事業の取り組み、新年度の計画などについて説明がありました。
驚いたのは、南海地震と津波での浸水予測が2757ha、13万人が被災、との想定にたって、庁内では住民の高台移転についてかんかんがくがくの議論をはじめているというのです。
そういう議論が県民に伝わることが積極防災にもつながるのではないか、と思いました。
巨大地震による津波襲来は防ぐことはできません。したがって、地域移転もふくめた「命がけ」の防災対策が議論されているのです。巨大地震・津波による原発の過酷事故は防ぐことができます。それは、自然に謙虚に向き合い、原発から撤退することは政治の意志で決めることができるからです。あらためて、その決断を知事に求めておきます。
■つぎに、新幹線とそれに伴う並行在来線の経営分離問題について質問します。
① 北海道、九州、北陸の各新幹線計画のなかで、一番費用対効果がぎりぎりなのが北陸新幹線であるということが国土交通省の委員会資料でしめされました。B/Cが1.0とぎりぎりなわけです。仮にトンネル工事などで事業費が増高したり、利用者が予想通りでなかったら、アウトになる事業なわけです。
日経新聞でも「国や自治体も応分の負担をするうえ、肝心の採算性がはっきりしない。
需要はどの程度あるのか、営業開始から何年で黒字になるのか。それらを徹底的に詰めずに着工を認めるのでは、後々JRや国に大きな負担を強いる懸念がある。本州四国連絡橋や関西国際空港のように、綿密な収支計画抜きに着工し、赤字経営を続けた過去の教訓を忘れるべきではない。」と批判しています。
費用対効果の課題のひとつが、わたしたちが指摘してきた現行のサンダーバードやしらさぎの利便性が福井駅や敦賀駅で乗り換えの必要性がうまれることによって損なわれる問題です。下手をすると費用対効果が1倍を下回り、公共事業計画として成立しない恐れがあるなかで、苦肉の策として国は乗り換え不要のフリーゲージ案をだし、現行のサンダーバードの利便性は確保できる、としようとしている面もあるのだと思います。
そこで質問しますが、福井県の場合、今後人口が急激に80万人台から2015年には70万人台、2035年には60万人台まで減少し、しかも経験のない高齢化福井となるわけです。そういう人口構成の大きな変化が新幹線需要予測にどのように考慮されているか、おたずねします。
② さらに重大な問題は、並行在来線のJRからの経営分離問題です。
これまで福井県は新幹線のPRには懸命でありましたが、並行在来線の第三セクター化についてはほとんど県民にはPRしてきませんでした。私が議会で質問しても、「まだ認可されていないので、認可後の話だ」という答弁ばかりでした。
であるならば、これから並行在来線のあり方について県民、とりわけ沿線自治体住民対象に説明会を開き、現行のJRからの経営分離・第三セクター化のスキームについて説明し、理解を求めるべきではありませんか。
ところが、もう今月はじめには県と関係自治体の会議を開催して決めてしまおうとしています。こんな県民の生活に重大な影響を及ぼす問題で、県民への説明責任を果たさない野蛮なやり方は福井県政史上もあまり例がないと思います。
いったいどのくらい県民や市民の税金が投入されるのかも明らかにされていません。
JRの経営と比べて、ダイヤはどうなるのか、運賃はどうなるのか、もその見通しすら利用者にはしめされておりません。
なにひとつ、県民には知らされていないではありませんか。こんな目隠し状態で、とにかく「ハンコだけ押す」などというのは巷の悪徳商法と変わりません。
県議会や関係する市議会でもJRからの経営分離のスキームについて十分な議論がされていないし、県民・利用者にはまったくと言っていいほど情報提供がされていないなかで、知事や沿線自治体の首長が勝手に決めることは断じて許されることではありません。
きちんと県民に情報提供をおこない、意見を聞くとか、パブリックコメントをおこなって当然ではありませんか。拙速な「並行在来線のJRからの経営分離決定」をおこなわないように求めます。知事の責任ある答弁を求めます。
■第三に県民の生活と暮らしに関する問題で何点か質問します。
①まず消費税増税計画についてです。
いま、国民の支持率が3割をきり危険水域に突入した民主党・野田内閣は「社会保障と税の一体改革」と称して国民と中小企業の営業を破壊するブルドーザー増税を推し進めようとしています。
これまで政府は、消費税を5%引き上げて10%にしたら「社会保障の充実に1%、安定に4%使う」などと説明してきました。しかし、「安定」というのは国民に戻ってくるものではありません。赤字の穴埋めなどに使われる部分です。では「充実」とされる1%分つまり2.7兆円は、返ってくるのでしょうか。これもどうなるか分かりません。
仮に返ってきたとしても、年金削減や子ども手当減額、医療と介護の自己負担増で2.7兆円の社会保障の削減になり、それだけで「充実」部分は、吹き飛んでしまいます。そのうえ、年金の支給開始年齢が68~70歳に引き上げられればさらに6兆~10兆円の削減になるのです。
野田総理はいろいろ弁明していますが、「負担が増え、給付が減る」ことは否定できません。「充実」をはるかに上回る「切り捨て」がおこなわれるのです。
かかる大増税を地方の力もあわせてなんとしても食い止めなくてはなりません。
そこで質問します。
仮に、10パーセントに消費税が増税されると、福井県民や県内企業の負担増試算はどうなりますか。また、福井県庁や県内市町の事業・調達にかかる増税はどうなりますか、おたずねします。
②また、社会保障のなかで先日もNHKで国保の危機が紹介されていました。福井市などをはじめ、県内自治体でも新年度からの国保税や介護保険料の大幅値上げ計画が目白押しであります。これでは国による年金削減や増税とあいまって県民生活の底が抜けかねません。
ここは福井県として緊急の財政出動もおこない、県民の生活の底をささえるべきであります。
県内で増え続ける低所得者層への国保税増税と、滞納の増加、保険証の取り上げ、医療機関へ受診できない、という悪循環に歯止めをかける人情味ある決断を知事に求めます。各自治体は一般会計からの繰り入れもおこない、必死で県民の医療を支えようとしています。県としても緊急の法定外の繰り入れ助成を各自治体の国保会計に対して行い、県民の命綱を守るべきと考えますが、所見を伺います。
③火災・救急件数と到着時間
さて、高齢化社会の急激な進行にともない、消防・救急の役割はますます大きくなります。資料によりますと、平成18年度と22年度との比較では、火災件数は254件から224件に減少していますが、現場到着までの所要時間は7.3分から8.2分と時間が伸びています。救急では、出場件数が23456件から25092件と増加傾向にあります。現場到着までの所要時間は5.9分から7.0分へと到着に要する時間の増加傾向がみられます。近年の災害多発と高齢化の進展のなかで消防救急体制強化は重要です。
県として、現場到着に要する時間が伸びていることをどう分析しているか、おたずねします。また、地元住民や消防救急現場がのぞまない広域化計画、すなわち現在の9つの消防本部体制を嶺北北部、丹南、嶺南の3本部体制とする無謀な計画をすすめるのではなく、地域密着の消防救急体制こそ強化すべきではありませんか。見解をおたずねします。
④最後に狂犬病対策について質問します。
狂犬病予防法は狂犬病の発生を予防し、撲滅し、公衆衛生の向上をめざす強力な法律であります。
しかし、先日、福井県獣医師会の柴田会長にお話をうかがいましたが、現状は対策が後退していると感じざるをえません。
柴田先生からは、「狂犬病は中国では1000人、世界全体では五万人が死亡している。狂犬病予防法があるが、国としての危機感がない。国民県民の危機意識も薄れている。自治体でも優先順位が低い。アメリカなどでは野生動物への対応や、免疫チェックなど厳格に対応されている」とのお話でした。重要な問題で政治に盲点が生まれているのではないか、と感じました。
実際、県内の予防注射率は、一番高いのが、おおい町の90.18%、一番低いのがあわら市の53.31%。福井市は63.24%で、全県は67.32%です。全国平均が73.2%ですから、全国と比べてもかなり低い状況です。
狂犬病は致死率が高い病気なだけに強力な法律がつくられています。福井県のように注射率が低いところに外国などから狂犬病がもちこまれれば、防疫上、県民の命を脅かす大変な問題となりかねません。
県として市町や獣医師会におまかせ体制ではなく、法律にもとづき、危機管理意識をつよめ、県民の命と安全に責任をもつ体制をつくるべきではありませんか。どのように予防注射率を引き上げるのか、おたずねします。