昨日は、日本共産党福井県委員会として福井県に予算と施策の要望をおこないました。南委員長、金元書記長、山田参院候補と私が参加し、山田副知事が応対しました。
やりとりは、消費税増税中止、新幹線敦賀開業時の特急存続、原発使用ずみ核燃料と再稼働、国保の子どもの均等割の負担軽減、こども医療費無償化の拡大、教員の労働条件の改善、獣害対策などでおこないました。
山田副知事は消費税増税について「万全を期すよう国に求めている」、住宅リフォームでは「多世帯同居、子育て世帯などを支援している」、住宅耐震化について「補助率をあげている。命守るために寝室だけの耐震化も応援している」、特急存続では「利便性の確保が必要であり、なにができるか協議している。JR西ともテーブルについている」、教員の問題では「業務の見直しと必要な人員確保をすすめる」、農業については「規模拡大しなくても応援する。集落、コミュニケーション守るためにも必要」、獣害対策では「県単独の柵など更新の予算ももっている」などと応じました。
2月議会はもちろん、4月の選挙で勝利をかちとりひきつづき県民各分野の切実な要望実現のために全力を尽くす決意です。
また、昨日は「全国知事会の 米軍基地負担に関する提言 の実行を求める意見書提出に関する請願」がだされ、紹介議員として同席しました。鈴木県労連議長、沖縄と連帯する会の屋敷氏、平和委員会の南条氏、新婦人の藤岡事務局長、民医連の佐々木事務局長が参加し、県議会事務局の小林次長が応対しました。
福井新聞より
■要望書です。
2019年2月7日
福井県知事 西川一誠様
日本共産党福井県委員会
委員長 南秀一
県議会議員 佐藤正雄
予算と施策についての申し入れ
福井県の予算と施策について以下の点を要望いたしますのでよろしくお願いいたします。
一、消費税増税中止を国に求め、県民生活と中小企業の営業をまもること。公共事業のあり方を県民本位に転換を
1、消費税10%への増税では福井県の小売業などの廃業が加速し、県民生活にも大打撃となります。年金削減や実質賃金低下のなかでの消費税増税は経済の大本を揺るがしかねません。そもそも偽装統計で、賃金の伸び率がかさ上げされていたなど増税する環境にないことは明らかです。県として政府につよく中止を求めてください。
経済界も反対し、懸念を表明しているインボイスや商品券の問題点を県としても関係団体からヒアリングし、政府に伝えてください。
2、県が発注する公共事業や指定管理者制度で下請けや孫請けの従事者が一定水準の賃金が保証されることなどを盛り込んだ公契約条例の制定や要綱をつくり、下請け企業の賃金や社会保障費を確保してください。国にたいして、公契約法の制定を求めてください。また、指定管理者制度についても同様のチェックをおこなってください。
3、県内市町にも広がっている住宅リフォーム助成制度を県としてもつくり、地域の仕事起こしや活性化を図ってください。この場合の要件は県内業者の活用など限定的なものとし、「気軽に」活用できる制度としてください。
4、停滞している個人住宅の耐震補強に関する工事促進のために広報などとともに、助成金額を引き上げ、内装や畳など助成の対象を広げ、県内住宅の耐震化をいっそう推進してください。たとえば、「診断・設計・改修工事」をパッケージ化し、たとえば「あなたの負担は最大100万円で耐震化」など安価な耐震技法の活用などもおこない促進をはかってください。
5、公共事業は不要不急の大型工事ではなく、整備後数十年を経過した既存インフラの老朽化・長寿命化対策や河川・山林などの防災対策を重点化しておこなってください。
6、昨年の大雪でも県や市町に住民からの多数の要望苦情がとどきました。除雪体制が年々弱まっている問題として、請負業者である建設業の経営悪化が一つの大きな要因です。除雪機械の車検費用など維持費、修繕費などの助成を県からも行い支援してください。
また除雪経費への国補助が少なく、市町の大きな負担になっており、県の補助新設をおこなってください。とくに、除雪出動が少ない年は業者の収入減少が除雪機械などの維持費用負担と「つりあわない」ケースもでてくることが想定されますので、支援策の強化をおこなうことが大雪時への備えとなります。
狭い道路の除雪に必要な小型除雪機の購入に県も補助することや、屋根雪おろし、隣家や通行人に被害をおよぼす恐れのある空家・空工場の処理についての補助制度をつくるなど、新しいニーズに応えた除雪へのきめこまかい支援策を拡充してください。
道路延長にふさわしい除雪体制の整備をすすめてください。
7、地震災害などでは上水道の復旧に多くの月日を要しています。消雪用井戸を災害被災時に供給できるように施設の整備をおこなってください。各地の大震災の実態をふまえて、活用策の具体化を県としてリードしてください。
8、県と県警は高齢者の交通事故抑止策として「夜間は自動車、自転車に乗らないように」などと広報しています。地域の公民館や学校などでの夜間の会合などの際に徒歩で往復することが必要になりますが、県道の歩道側の照明がほとんどなく、車のライトで照らされないと真っ暗、という状況が少なからずあります。県道の管理は県の責任ですから、高齢者増大と夜間歩行の安全を確保する歩道照明の設置などを市町とも相談協力しながら推進してください。
9、福井駅前市街地再開発事業の総事業費が200億なのか、300億なのか、いくらになるのかの見込みや県や市による税金投入の具体像も不明瞭なままです。福井市民にも明らかになっていない状況での見切り発車は見直すべきです。
10、県発注のトンネル工事について、じん肺対策をきちんと強化すること。国のいろいろなガイドラインはあるが、切り刃のところで粉じん測定をするなど、災害防止、労働安全衛生強化のためにこれからさらに県として独自に対策を講じてください。
二、新幹線、第三セクター化の問題点を県民に明らかにするとともに、スキームの必要な見直しを国に求めてください。公共交通の確保充実を。
1、平成34年度末の新幹線敦賀開業と長大な北陸本線の第三セクター化がいよいよ目前にせまってきました。
知事とJR西日本社長のトップ交渉を早くおこない、北陸本線の買取価格について県民有利な交渉、県民利便性確保のため特急存続をかちとるという、大事な点での道筋をつけてください。
2、敦賀以西ルートは小浜市付近を通るルートとなり、事業費は大阪までで2兆1千億円といわれ、福井県など地元自治体の負担も巨額であり、このような不要不急の計画はおこなわないでください。
3、第三セクターなどに関して
先行する富山、石川は各県ごとの第三セクターで、またがる区間の運賃の大幅値上げなどデメリットが指摘されている。当面は自治体などの拠出基金などにより大幅な値上げ抑制はしているがそれも限界がきます。また、JR西日本は並行在来線ではない地方鉄道路線の扱いについても県と話し合いたい、などと将来の経営からの撤退ととられる発言をおこないました。
県として利用料金値上げ抑制策についてきちんと計画してください。また、並行在来線でない鉄道路線切り捨てはやめるように、北陸3県がJR西に強力な要請活動をおこない、また、国にたいしてもJRを指導するように求めてください。 また、そもそも地方自治体に鉄道経営を押し付ける政府与党合意のスキームそのものが大きな重荷です。スキームの見直しを政府に求めてください。
4、今後、自動車保有全国トップの県で自動車が運転できなくなる大量の県民がうまれることは、他県以上に県民「移動」に深刻な困難をもたらすことが想定され、「買い物難民」「医療難民」がうまれます。この分野で全国の先進となるような仕組みづくり――電車・バス・福祉タクシー・乗り合いタクシーなど多様な交通手段の充実確保と対策をすすめてください。
また、高齢者が車を手放せない事情もあります。高齢者交通事故を抑止するためにも、車の免許証を返還した高齢者にはJR,電車、バスなどの無料チケットを給付するなど、その後の交通権を保障する施策を全県的に創設してください。民間事業者の自主的取り組みを県としても支援する制度を創設してください。
各自治体が取り組むバス利用券を支給する取り組みなどに財政支援を創設してください。
三、福島原発事故を忘れず、原発推進の見直しを
1、使用済み核燃料と原発再稼働について
関西電力の使用済み核燃料中間貯蔵施設予定地が昨年末までに明らかにならなかったにもかかわらず、知事は関西電力へのペナルティーをかけませんでした。約束があいまいなままで原子力行政がすすむことに県民は不安と怒りをおぼえています。再稼働了解取り消しなどをおこなってください。
そもそも本州で再稼働しているのは福井県だけです。原発稼働なくても首都圏も中部圏も電力不足はありません。むしろ、動かしている福井県に核のごみ・使用済み核燃料が増え続けています。
中間貯蔵の県外、県内を問題にする以前に、そのような使用済み核燃料を増やし続ける再稼働停止を求めてください。
2、危険なプルサーマルの大飯原発への拡大には反対してください。
3、美浜1,2、大飯1,2を廃炉にする一方で、高浜1,2号機の老朽原発再稼働推進は関電の利益追求のためです。そこに県民安全と労働者安全の姿勢の欠如がうまれています。
地元の音海区からも運転延長反対の意見書がだされました。
県として、老朽原発再稼働に反対し、廃炉にすることを関電に要請してください。
4、もんじゅ廃止についての総括と反省が国から語られないまま、実証炉開発、核燃料サイクルはすすめる、ではまったくブラックボックスであり国民理解は得られません。
県として文科省など関係機関に福井県内での県民説明会の開催をもとめてください。また、破たんした核燃料サイクル政策の中止を政府に求めてください。
5、廃炉計画のなかに雇用計画をきちんと位置付けて、地域経済への影響緩和をすべきです。安全第一にしながら、一定数の雇用を維持するためには、廃炉作業と雇用計画をきちんとしめすようにすべきです。
また、廃炉期間中の雇用継続と地方自治体財政確保のスキームを明確にするよう国に求めてください。
6、原子力防災計画は、福島原発事故の実態に照らせば、福井県全域を対象とし、30キロ、50キロ圏の住民の避難計画策定と訓練をおこなうようにすべきです。
7、知事は原発のテロ対策を強調し、自衛隊の配備をもとめています。しかし、ここには根本的な矛盾があります。
つまり、テロ事案の国民保護事態の時には自衛隊の第一任務は住民避難・誘導ではないからです。県民の安全に責任をもてなくなるような自衛隊活用をすすめるべきではありません。
8、原発事故の被害は、立地地元や福井県内に止まらず、広範囲に及ぶ。せめて30km圏内の自治体や被害の及ぶ隣県に同意権を与えて、広範囲の同意を必要とするような制度にしていかなければ、民主的な合意形成を得たということにはなりません。 避難先でも、民主的な合意を積み重ねていった上でないと、避難先での理解は進みません。従来の方針を見直し、民主的な合意形成をすすめてください。
四、県民が安心できる国保・社会保障制度に
1、国民健康保険
①こどもの数が増えれば増えるほど増税となる矛盾の解消にのりだしてください。具体的には県と市町が協力して高校卒業までのこどもについて頭割りでかかる保険税負担を実質的に軽減する制度を導入してください。
②負担率をみて減免規定を講じてください。国保はいまでも高すぎて、払いたくて払えない状況が広範にあります。たとえば、給与年収400万の父母とこども2人の4人世帯での保険料のざっくりした計算では、東京で41万7700円、名古屋で34万7500円、ところが福井市では43万6100円、坂井市で36万400円。福井市は大都会よりも高く、住みにくくなっているのです。ちなみに福井県の協会けんぽの本人負担分では20万3800円で国保の半額程度の負担です。同じ収入でも20万と43万の負担では倍以上違うわけで払えない方が増える大きな原因です。
県がリーダーシップを担っている新制度をいかして、もっと住みやすい福井県にする制度改定をすすめてください。
③国保税滞納者への「資格証明書」等の発行について、県民の医療が奪われることがないよう市町に改善をもとめてください。また、命綱である国保の税滞納については、県の滞納整理機構で扱わずに、各市町での対応としてください。
2、生活保護受給にいたらない方などが無料低額診療を活用する際に薬局が対象となっていないのは制度の現状にあわない。診療しても薬を受け取らないケースもでており、治療効果と生活改善マイナスであり、薬局も制度対象とするよう国に求めてください。県独自での支援策を講じてください。
また、県立病院でも無料低額診療を実施してください。
3、生活保護の申請書類を市町窓口におき、また申請書をインターネットでダウンロードできるようにするなどして保護申請をする権利を保障、拡大してください。
制度改悪で削られた生活扶助費は、食費、光熱費、衣類などに充てられる生活費そのものであり、生活を切り詰める貧困世帯をさらに追い詰めることになります。県として、国に回復を求めるとともに、実態を調査し貧困対策を強化してください。
4、子ども医療費の無料化を拡充し、県の制度として高校卒業まで、「窓口無料」を実施してください。
5、介護保険。低所得者でも入所できる多床室特養の介護報酬引き下げはやめて、地域にもどることができない高齢者の入所を支えることを国に求めてください。
また、在宅の方は訪問介護が命綱です。在宅に対する専門性の訪問介護を維持していくことについて、県としても市町とともに責任ある体制をつくってください。
6、社会問題化している「孤独死」について、地域まかせではなく、実態を県としても責任をもって把握分析する体制をつくり、予防施策を具体化してください。
五、9条改憲に反対し、平和憲法を守りいかす立場を
1、安倍政権がすすめる9条改憲で戦争する国づくりに反対してください。また、アメリカ言いなりで戦闘機などの爆買いで27兆円もの中期防衛計画の見直しを求めてください。
2、県内中学生の自衛隊での職場体験について、県は「自衛隊は国の組織であり問題ない」との見解です。しかし、戦争法制定により、自衛隊の性格も海外で戦争する組織として大きく変貌しようとしています。全国では自衛隊への適齢者名簿の提供を中止する自治体も増えています。県としてもいま福井市などでおこなわれている名簿の作成と提供を見直すよう関係市町と協議してください。
「ふたたび県民の戦死者はださない。教え子を戦場におくらない」の立場で、自衛隊への職場体験は中止を求めてください。
3、日ロ領土交渉は、従来の自民党の方針すら転換し、日本固有の領土を放棄する売国的な交渉となっています。当時のソ連による「領土不拡大」の原則をふみにじった不公正な戦後処理をただすこともふくめ領土を守りぬく交渉を政府に求めてください。
六、教育の主人公はこども、との行政を。深刻な過労状態の教員の労働条件の改善を
1、10年間で県教育委員会での自殺者が10名ということが明らかにされました。希望に燃えて赴任された中学教師が自死し、公務災害認定される痛ましい事件も起こっています。
教員定数を増やし、給特法によって残業代が支払われない教員の制度の改定が必要です。まず、県教委として県独自テストなど新たな現場教員の負担になる新規事業は見直すこと。出退勤時間の記録を各学校に義務付け、労働時間の把握と改善をおこなってください。
検討している変形労働時間の導入はおこなわないでください。
また、知事も最賃1000円を提言しましたが、入試業務などの際の県の最低賃金(803円)を大幅に下回る異常な手当額は改善してください。
2、産休とそれにひきつづく育休代用教員は、正規教員をあててください。育休を3年~5年とる教員の補充を臨時任用でおこなうことは、県がめざす「人口減少対策」と「ゆきとどいた教育」の方針にてらしても是正がもとめられています。教員が安心して出産・子育てできる環境整備と、「子供の教育に臨時はない」との立場で正規教員の拡充をもとめます。
3、退職教員がそのキャリアをいかして再雇用の現場で働くことができる環境づくりは福井県の教育にとっても重要なことです。しかし、現状は長時間労働のためにそういう方々の気持ちも活かせていません。週に20時間程度の勤務形態も導入し、心も能力もある退職教員の力をいかす方策をとってください。
4、ひとり親世帯の貧困率は5割を超えています。高校授業料免除とともに、県独自で制服代や運動着代、教材費を支援するための「一時金支給」を創設してください。
また、高校授業料全面無償化復活を国に求めてください。
憲法26条を尊重し、教材費や通学費、学校給食費等を公的負担とするよう市町を指導するとともに、県としても財政支援を行ってください。働く若い世帯の収入が伸びないなか、消費税転嫁で家計負担が重い学校給食の無償化にむけて、県としてもイニシアチブを発揮してください。現在は就学援助対象など1割が事実上無償化されているとのことですが、こどもの貧困率16パーセントに照らしても改善の余地があります。たとえば親1人300万のラインをもうけて両親と子どもの家庭なら世帯年収600万以下なら無償化対応するなどの県独自の支援策を検討してください。
5、県立高校の通学バスを運行してください。特に、4年前に統合・新設された坂井高校は、規模が大きく、また、坂井地区全域から通学しており、家庭の負担になっていますので早急に改善してください。
6、特別支援学校寄宿舎指導員の定年退職に正規採用が追い付いていません。系統的に定年退職以上の正規採用をおこない、寄宿舎教育の保障をしてください。
七、家族農業支援の強化を
1、 自由貿易協定FTA交渉は、食糧主権・経済主権を売り渡すものであり、反対してください。
2、安倍政権の農業・農協解体では、日本と福井の農家と農業は衰退です。
国連でも強調されているように家族農業を支援する農業行政に転換してください。
「収入保険」は農家の経営安定には程遠いものです。県として農業者個別所得補償制度の復活を求め、農協改革押し付けに反対してください。
3、イノシシ、シカなどの被害はますます増えるばかりです。ワイヤーメッシュ、電気柵、ネット設置等への助成を拡大・継続してください。生息数を減らすために捕獲を強化し、食肉として流通させることが必要です。食肉として流通させるためには、解体、加工、冷凍保管施設を建設するとともに、技術者の養成等が必要であり、抜本的な対策強化を求めます。
狩猟免許保持者を増やしてください。適正な数の獣が住める山林の環境整備に力を入れてください。
4、林業を地域経済と低炭素社会実現に不可欠な産業として位置づけ、利用拡大と森林整備をすすめてください。木質バイオマスなど再生可能エネルギーの取り組みを林業支援とあわせて抜本的に強化してください。地籍調査促進に県としてもバックアップを強化してください。
5、漁業について、価格安定・省エネ対策など経営支援をおこなうなど漁業・漁村の振興をはかってください。若者の就業支援金を創設してください。学校給食での地場の海産物の利活用をいっそう促進してください。未利用魚について付加価値をつけた製品化と販路開拓などの事業を促進してください。