福田隆浩 著
えがしらみちこ 装画
講談社
秋田県の小学6年生の穂乃香は、長崎の小学6年生、吉野耕治に(学校宛にして)手紙を出した。面識のない相手だった。しかし、穂乃香には、亡くなったお母さんのことで調べてほしいことがあった。
お母さんは、穂乃香が、小学校に入る頃離婚していて、病気がちな人であった。お母さんの人生って、いったいなんだったのだろう…。うれしいことあったのかなあ。そんなことを思う穂乃香の中にひとつ、お母さんが楽しそうに話していたことがありました。それは、高校時代の修学旅行でのこと。グループで、いろんなところを回っていた途中、お母さんは1人で、みんなと、はぐれてしまった。みんなをさがそうとしたが、ぜんぜんちがうところにいた。すると、想像もしていなかった、とても素敵なことがあった。奇跡みたいな出来事で、一生の思い出ができたのだという。でも、それは大事な秘密で、詳しいことは話してくれませんでした。
穂乃香は、その出来事がどんなことなのか、知りたくて、インターネットでみつけた長崎の小学生、耕ニに手紙に書いたのだった。
2人の手紙のやりとりは、日常や、悩みがよく書かれていて、その生活がとても生き生きと伝わってきます。お互いを励ますことで、それぞれの家族や、友達との関係も、一歩一歩良い方に進んでいきます。勇気のある穂乃香の行動に涙があふれる瞬間もありました。