マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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横田町の苗代飾り

2014年11月22日 08時22分33秒 | 大和郡山市へ
辰巳城(たつんじょ)・西・市場・中・南垣内の五垣内からなる大和郡山市の横田町は古来より春日大社神領。

春日大社で行われる御田祭で奉られた松苗を苗代に立てているが、場によって祭り方が異なる。

辰巳城(たつんじょ)・西・市場・中垣内は本村。

南垣内は出屋敷とも呼ばれる柳生垣内だ。

八幡神社が鎮座する本村では2月4日に行われる春祭りで授かった竹の幣に挟んだ「八幡神社」のお札とともに苗代に立てる。

一方、柳生垣内に鎮座する素盞嗚神社には春祭りはなく、春日大社の松苗だけだ。

付近にはイロバナとともに立てる苗代の水口祭が多く見られる。

そのなかにあった「産土大神」のお札を巻きつけた松苗。立てるのではなく水平にしている。

特徴的な在り方は柳生垣内より南側の天理市南六条の北方。

2月末に行われた三十八神社の御田植祭で授かった松苗である。

同じ苗代田に混ざっていた。

柳生垣内・南六条の北方はかつて柳生の地と呼ばれていた。

古字は楊生(やぎう)荘園。

今でも元柳生の名で呼ぶこともある地域だ。

一方、南六条の南方の氏神さんは杵築神社。

1月初めに行われる御田祭のお札である。

氏神さんとの関連性がある地域の水口祭は、その祭り方を知るとともに行事の在り方も知ることにある。

先日にお会いした柳生垣内の水利組合長の話しによれば、春日大社の御田植祭でたばった松苗は本村を入れて合計81本もあったと云う。

一つずつ村に配られた松苗は苗代に立てる家がある。

その場を探してみた。

集落を入ってすぐに見つかったイロバナ。

そこには松苗を立てていた。

車を停めていた場に二人の男性がおられた。

総代と前トーヤである。

この日の目的はもう一つある。

柳生垣内で行われる日待ちがある。

日程は固定でなく変動する。

そういうわけで予め聞いた日待ちの行事日である。

立ち話はあれやこれやで長時間になりそうだった。

日暮れが近くなる時間帯。

他所の在り方も調べなくてはならないから失礼した。

その場を離れて北上する。

僅かな距離である。

そこは西名阪国道をかかるようにあった葛上池。

西側にあった苗代田にイロバナがあった。



柳生垣内の集落は南側に建っている。

お札もなくイロバナに春日大社の松苗である。

足元にも数か所あった。

手前のイロバナにはお札があった。



よくよく見れば「産神」の文字が見えた。

「産神」のお札は柳生垣内でもなく、八幡神社でもない。

天理市南六条北方に鎮座する三十八神社のお札である。

御田植祭も拝見していたからひと目で判った。

松苗を包んだ「産神」のお札は水平に立てる。

それが南六条北方の特徴である。

その場からさらに北上して、西名阪国道の側面農道を行く。

正田川に沿って探して見た苗代田。

葛上池北側になる地にあったイロバナに松苗が立ててあった。



「八幡神社」と書かれたお札もあった。

陽が落ちて逆光に輝いていた。

その地から東に向かえば櫟枝町になる。

距離的にはそれほど離れていない。

(H26. 5. 4 EOS40D撮影)