マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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切幡の田植え

2014年11月27日 09時18分15秒 | 民俗あれこれ(四季耕作編)
T家の植え初めを撮っていたときのことだ。

苗箱を乗せた軽トラが走っていた。

運転手は見覚えのある男性。

切幡の年中行事で度々お会いするHさんだ。

今から我が家の田植えをすると開けた窓から話してくれた。



大型車輪で駆動する田植え機は奈良市の大原農機製の4条植え。

鉄製の苗箱も特殊である。



二枚の苗箱を両方からがっちりと支える道具の名は「キョウリツ」である。

片手で二枚の苗箱をたやすく運ぶ道具である。

軽トラに積みこんで運び、田植え機に一枚、一枚載せる。

田植え機はあまり見られない形である。



大型車輪で移動する姿はユニークでメカニカル。

特徴的な田植え機に「共立」のプレートがある。

「共立」ブランドは大原農機の製品である。

苗箱の大きさは田植え機にぴったりはまる。

サイズが一致している寸法の規格品は他のメーカーの田植え機では使えない。

切幡で「共立」を使って田植えをしているのはHさんとTさんの2軒しかないと云う。

H家の田植え作業を応援している2家族。

娘さんが嫁入りした先は都祁の針。

春日神社の氏子になる。

Hさんの弟は天理市福住の下入田。

氷室神社の氏子さんである。

それぞれの地で行事取材をしたことがある。

「共立」製の苗箱を手渡して、田植えを作業を進める。

田植え機が戻ってくるまではサラエ道具で泥田を均しておく。



「共立」の田植え機は前方から見ても、後方であっても田植えの様子が判らない。

運転席下になる処から苗が降りてくるのである。

山々に囲まれた切幡の田んぼに苗を植え付ける。



戻ってくれば苗箱を供給する。



空になった苗箱を受け取った婦人は奇麗な山の水で洗っておく。

空箱を受け取る。

苗箱を積む。



空箱を運んで洗う。

田植え作業は体力も時間も要る。

一人でする場合よりも、家族の応援があるからこそスムーズに作業が進む。

それを繰り返した田植え作業はおよそ1時間。

山間田園を背景に何枚か撮らせてもらった。



横位置もあれば縦位置も。

ご主人の姿が頼もしく見える。

H家の田んぼはすべてを合わせると一町田。

できるだけこの日で終わらせたいが、街道筋にも田んぼがあるから二日間もかかると云う。

この日の田植えの品種はアキタコマチ。

一枚の田植えを終えて一服する。

田植え機を田んぼから上げるにも協力が要る。

金属製の梯子を伸ばしてぐいぐいと登る田植え機。

急な角度をあがるには倒れないように援助する。



お茶とお菓子でひとときを過ごしてからは上の田んぼに移った。

かつてはH家も植え初めをしていたと話す。

植え初めはしなくなったが社日のミトマツリはしていると云う。

(H26. 5. 6 EOS40D撮影)