お渡りは歩いていきたいと願っていたトウヤ。
健康上の理由から無理だと判断されて数台の車に相乗りして出発した。
峰寺の六所神社に向かうが、まずは松尾の神社など5カ所を遥拝する。
始めに参った地は松尾の氏神さんを祀る遠瀛(おおつ)神社だ。
かつては弁天さんとも呼ばれていた神社下の鳥居の前に横一列になる。
列の順は決まっていないようだが、「ピ、ピ、ヒゥ」の合図にササラ役、太鼓役、笛吹き役、小鼓役が三回鳴らした。
トウヤと長老はそれに合せてヒワヒワと呼ぶ弓をくにゃくにゃする。
もちろん音はでない。
前回の平成23年は神社拝殿に並ばれたがこの年は鳥居下。
おそらくトウヤの体調を考慮されたようだ。
次に向う先は神社から下った途中の道沿いである。
山の方に向かって同じくジンパイをする。
そこは八ケ峰忠魂碑の方向。
カヤの木の石を拝んでいると云う。
さらに下って流れる小川(松尾川)の堤防辺り。
ワショ川(ハセ川とも)と呼ばれる水神さんに向かってジンパイをする。
かつてはそこに祠(現在は遠瀛神社の末社)があったそうだ。
ここからは車に乗らず本来の渡りの姿になる。
数十メートル下って道路手前の辻に着く。
ここでもかつてあったカシの木のほうに向かってジンパイをする。
またもや車に乗ってのお渡りだ。
大字桐山の大君垣内で車を降りて歩きだす。
お渡りをする場合は笛、太鼓、鼓は音を鳴らす。
ガシャガシャもヒワヒワも所作をするのだ。
「ピーピーホーヘッ」の音色になってきた笛の音。
「ドン ドン ドン」と打つ。
大字桐山もそうであったが、笛がいちばん難しいのである。
そして大字津越の大橋の信号を渡って布目ダムに架かる橋の中央辺りで立ち止まる。
その場に並んで布目川の上流に向かってジンパイをする。
上流数百メートル先の森の中にある水神社だ。
松尾の遥拝地は5カ所。
水神さんなどに遥拝されるのは峰寺や的野では見られない。
大橋を渡りきって再び車に乗り込む渡り衆。
大字峰寺に鎮座する六所神社に向かう。
急坂を登って神社手前数百メートルの場で車を降りる。
そこからは列になって「ピーピーホーヘッ」、「ドン ドン ドン」を楽奏しながらお渡りをする。
後続に家族や親戚筋もついてきた。
六所神社に到着すれは朱塗りの鳥居下に並ぶ。
「ピーピーホーヘッ」、「ドン ドン ドン」を楽奏してから手水で清める。
再び整列して三回楽奏する。
拝殿の前で拝礼をするとともに楽奏をする。
その拝殿には毎年交替されるトウヤが寄進した鈴に下げる布が垂れさがっていた。
この年にトウヤを勤める松尾の当主の名前もある。
場は移って境内西側に建つ参籠所に上がる。
参進するときも楽奏をする渡り衆だ。
参籠所はかつてお堂とも呼ばれていた長屋である。
その場には三カ大字の氏子総代らが集まっていた。
「ごくろうさまでございます」とねぎらいの言葉をかける総代に対して「お参りさせていただきました」と挨拶し口上を述べるトウヤ。
これより始まるのは渡り衆への摂待である。
カラアゲ、カマボコ、コーヤドーフ、コンブ巻きに大きな豆の五種を盛った肴をつまみに注がれた酒をいただく。
しばらくの時間は渡り衆を慰労する宴である。
宴が終われば一同は立って整列する。
「ご馳走さまでした これよりジンパイ(神拝)をさせていただきます」と述べて披露する。
これもまたヨイミヤ神事における一連の儀式であるが神職は登場しない。
接待が終われば下駄を履いて境内に下りる。
その際にも楽奏をした渡り衆は拝殿に上がってジンパイを奉納される。
上がる前には先ほどと同じように一列に並んで楽奏をする。
拝殿に座る位置は決まっている。
向かって左側にトウヤ、ヒワヒワ、2名のガシャガシャ。
右側は締太鼓、2名の笛、小鼓である。
ジンパイはヒワヒワ、ガシャガシャ、小鼓の3役が順次所作をする。
「ピーピーホーヘッ」、「ドン ドン ドン」と鳴らせば拝殿中央にでる。
ヒワヒワと扇を置いて着座する。
一礼されて「ピーピーホーヘッ」、「ドン ドン ドン」を鳴らしたら立舞になる。
右手に扇を持って立ちあがる。
左手に持ったヒワヒワは右脇の袂へ挟みこむようにした。
扇を上から下へと右から左へ掻きだすようにして時計回りに三周する。
その際には笛が奏でる「ピロピロピロ」にドンドンドンと連続して打ち鳴らす締太鼓や小鼓の楽奏だ。
一度、着座されてヒワヒワを手前に置く。
再び「ピーピーホーヘッ」、「ドン ドン ドン」で立ちあがる。
次の所作は反時計回りだ。
同じように扇を上から下へと右から左へヒワヒワを中心に入れ込むように三周する。
一回目は邪悪を吐き出す。
二回目は福を招き入れる所作である。
演者はガシャガシャ、小鼓に替るがすべての所作は同じである。
こうして三役が行った奉納ジンパイが終われば拝殿を降りて一列に並ぶ。
一同揃って楽奏し宵宮の奉納を終えた渡り衆はトウヤ家に戻っていく。
役目を終えてほっとする渡り衆はトウヤ家でねぎらいの慰労会。
心を込めてもてなす直会の会食に移る。
酒を配るのは当家の親戚筋。
お酒もはいって歓談は盛り上がる。
もてなす宴は下支えのトウヤ家族や親戚筋。
笑顔が満ち溢れていた。
(H26.10.14 EOS40D撮影)
健康上の理由から無理だと判断されて数台の車に相乗りして出発した。
峰寺の六所神社に向かうが、まずは松尾の神社など5カ所を遥拝する。
始めに参った地は松尾の氏神さんを祀る遠瀛(おおつ)神社だ。
かつては弁天さんとも呼ばれていた神社下の鳥居の前に横一列になる。
列の順は決まっていないようだが、「ピ、ピ、ヒゥ」の合図にササラ役、太鼓役、笛吹き役、小鼓役が三回鳴らした。
トウヤと長老はそれに合せてヒワヒワと呼ぶ弓をくにゃくにゃする。
もちろん音はでない。
前回の平成23年は神社拝殿に並ばれたがこの年は鳥居下。
おそらくトウヤの体調を考慮されたようだ。
次に向う先は神社から下った途中の道沿いである。
山の方に向かって同じくジンパイをする。
そこは八ケ峰忠魂碑の方向。
カヤの木の石を拝んでいると云う。
さらに下って流れる小川(松尾川)の堤防辺り。
ワショ川(ハセ川とも)と呼ばれる水神さんに向かってジンパイをする。
かつてはそこに祠(現在は遠瀛神社の末社)があったそうだ。
ここからは車に乗らず本来の渡りの姿になる。
数十メートル下って道路手前の辻に着く。
ここでもかつてあったカシの木のほうに向かってジンパイをする。
またもや車に乗ってのお渡りだ。
大字桐山の大君垣内で車を降りて歩きだす。
お渡りをする場合は笛、太鼓、鼓は音を鳴らす。
ガシャガシャもヒワヒワも所作をするのだ。
「ピーピーホーヘッ」の音色になってきた笛の音。
「ドン ドン ドン」と打つ。
大字桐山もそうであったが、笛がいちばん難しいのである。
そして大字津越の大橋の信号を渡って布目ダムに架かる橋の中央辺りで立ち止まる。
その場に並んで布目川の上流に向かってジンパイをする。
上流数百メートル先の森の中にある水神社だ。
松尾の遥拝地は5カ所。
水神さんなどに遥拝されるのは峰寺や的野では見られない。
大橋を渡りきって再び車に乗り込む渡り衆。
大字峰寺に鎮座する六所神社に向かう。
急坂を登って神社手前数百メートルの場で車を降りる。
そこからは列になって「ピーピーホーヘッ」、「ドン ドン ドン」を楽奏しながらお渡りをする。
後続に家族や親戚筋もついてきた。
六所神社に到着すれは朱塗りの鳥居下に並ぶ。
「ピーピーホーヘッ」、「ドン ドン ドン」を楽奏してから手水で清める。
再び整列して三回楽奏する。
拝殿の前で拝礼をするとともに楽奏をする。
その拝殿には毎年交替されるトウヤが寄進した鈴に下げる布が垂れさがっていた。
この年にトウヤを勤める松尾の当主の名前もある。
場は移って境内西側に建つ参籠所に上がる。
参進するときも楽奏をする渡り衆だ。
参籠所はかつてお堂とも呼ばれていた長屋である。
その場には三カ大字の氏子総代らが集まっていた。
「ごくろうさまでございます」とねぎらいの言葉をかける総代に対して「お参りさせていただきました」と挨拶し口上を述べるトウヤ。
これより始まるのは渡り衆への摂待である。
カラアゲ、カマボコ、コーヤドーフ、コンブ巻きに大きな豆の五種を盛った肴をつまみに注がれた酒をいただく。
しばらくの時間は渡り衆を慰労する宴である。
宴が終われば一同は立って整列する。
「ご馳走さまでした これよりジンパイ(神拝)をさせていただきます」と述べて披露する。
これもまたヨイミヤ神事における一連の儀式であるが神職は登場しない。
接待が終われば下駄を履いて境内に下りる。
その際にも楽奏をした渡り衆は拝殿に上がってジンパイを奉納される。
上がる前には先ほどと同じように一列に並んで楽奏をする。
拝殿に座る位置は決まっている。
向かって左側にトウヤ、ヒワヒワ、2名のガシャガシャ。
右側は締太鼓、2名の笛、小鼓である。
ジンパイはヒワヒワ、ガシャガシャ、小鼓の3役が順次所作をする。
「ピーピーホーヘッ」、「ドン ドン ドン」と鳴らせば拝殿中央にでる。
ヒワヒワと扇を置いて着座する。
一礼されて「ピーピーホーヘッ」、「ドン ドン ドン」を鳴らしたら立舞になる。
右手に扇を持って立ちあがる。
左手に持ったヒワヒワは右脇の袂へ挟みこむようにした。
扇を上から下へと右から左へ掻きだすようにして時計回りに三周する。
その際には笛が奏でる「ピロピロピロ」にドンドンドンと連続して打ち鳴らす締太鼓や小鼓の楽奏だ。
一度、着座されてヒワヒワを手前に置く。
再び「ピーピーホーヘッ」、「ドン ドン ドン」で立ちあがる。
次の所作は反時計回りだ。
同じように扇を上から下へと右から左へヒワヒワを中心に入れ込むように三周する。
一回目は邪悪を吐き出す。
二回目は福を招き入れる所作である。
演者はガシャガシャ、小鼓に替るがすべての所作は同じである。
こうして三役が行った奉納ジンパイが終われば拝殿を降りて一列に並ぶ。
一同揃って楽奏し宵宮の奉納を終えた渡り衆はトウヤ家に戻っていく。
役目を終えてほっとする渡り衆はトウヤ家でねぎらいの慰労会。
心を込めてもてなす直会の会食に移る。
酒を配るのは当家の親戚筋。
お酒もはいって歓談は盛り上がる。
もてなす宴は下支えのトウヤ家族や親戚筋。
笑顔が満ち溢れていた。
(H26.10.14 EOS40D撮影)