マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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出合町で念願の祝い杉穂のコイノボリ

2016年02月23日 09時00分19秒 | 橿原市へ
知人のMさんから連絡があった。

「橿原のほうに杉の葉があるコイノボリを見た」というのだ。

これは行かねばと思って急行する。

だいたいの地を教えてもらったが判るだろうか。

たしかパン屋の近くだったと云っていた。

ひとまず駐車してみようと思って辺りを見渡せばコイノボリが泳いでいる。

てっぺんは確かに杉の葉っぱがある。

ここはどこだろうか。

もっと近づいてみようと思うが近くに寄れない。

ぐるぐる細い道を通り抜けたら広い敷地。

真新しい支柱は間違いなく杉の木。

話しを伺いたく呼び鈴をピンポーン。

出てこられた奥さんは35歳。

取材目的を伝えて伺う。

これまでマンション住まいだったと話す奥さん。

生まれたときは団地サイズのミニコイノボリを揚げていた。

旦那さんの仕事先の関係もあって広い敷地がある当地に移った。

子供は5歳、2歳の男児に成長していたが、新築した機会に念願の杉穂をつけたコイノボリを揚げることにした。

奈良では誕生祝いに実家が贈る風習がある。

奥さんは長男初誕生に杉穂つきの支柱を立ててコイノボリを揚げる風習を知っていた。

母親に頼んで贈ってもらった。

憧れだったという。

「長年の思いがやっと叶いました」と話す。



コイノボリは真鯉に緋鯉、紺色の長男鯉に緑色の次男鯉も青空に泳いでいる。

丸字にミツガシワは家紋。

コイノボリを製作するお店で作ってもらった吹き流しは親の真鯉とともに大空を泳ぐ。

「広重名所江戸百景」に描かれているコイノボリは真鯉が一尾。

江戸時代はそれだけであったようだとテレビのニュース映像が伝えていた。

子供は成長して幼稚園児になっていたが、念願のコイノボリは彼岸が明けた「いい日(大安)」に揚げたという。



広い敷地に立てたコイノボリ。

距離を離してみても、どこからでも見られる。

幼稚園児らはこの下にゴザを敷いてママ友たちが作ったお弁当を食べていた。

みなが喜んでいたのが嬉しかったという。

コイノボリの支柱の杉葉は時期が終われば降ろして伐りとる。

そして来年は矢車に替えて揚げる。

奈良県内で度々耳にするこれもまた風習だ。

ちなみに奥さんが云うには三重県には子供の名前を記した武者絵のノボリが見られると話していた。

(H27. 4.26 EOS40D撮影)