マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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高山の月見どろぼう

2011年10月09日 06時06分41秒 | 生駒市へ
「お月さんが出ている間に、こっそりだまって供えものをいただくんや」という風習がある生駒市高山町。

秋の七草の一つであるオミナエシが咲く里山である。

仲秋の名月にあたる十五夜。

この日は家ごとにススキやハギなどの花を添えて月見だんごを供える。

十五夜は芋名月とも呼ばれているサトイモの収穫日。

栽培が簡単で保存がきく。それをお月さまに供えて収穫に感謝する。

イモを包丁で皮を剥けば白い肌をだす。

月に見立てて丸いイモを供える。

月見だんごの原形はここにある。

秋の恵みを縁側に供えて、月の神さんが舞い降りるように目印のススキを立てる。

真っ暗な夜。こそこそとやってくる子供たち。

長い竹などでだんごを挿して盗っていく。

大人たちは懐かしいと口々にいう北田の人たち。



村公認の月見どろぼうであるが、昨今はだんごに変わってお菓子やジュースになっている。

各戸まちまちだが、お月見のお供えはほどんどの家が縁側や玄関口などに供えている。

いずれの場所であっても月の神さんを見上げる位置にある。

子供は男の子、女の子だが小学生までと決まっている月見どろぼう。



中学生になれば、お菓子は一人一つずつだという自然発生的なルールを指導する立場になるそうだ。

昔は黙って盗るのが当然であったが現在では日暮れ前。

里山に薄れゆく空の青さが残る時間帯に開始されるだけに「こんばんは」と声をかけるようになった。

小さな子供は親も付き添いでついて回る。

御供はなにもお菓子だけとは限らない。

その家の夕食にだされるものもある。

ドロイモを煮たものやおでんも出したそうだ。

「タマゴを串に挿して盗っていった子もいたなー」と回顧される婦人もいる。

御供は足らんようになれば家人がそれを補う。

「出てきたらあかんでー、どろぼうやから」と口走って走り去っていく子供たち。



数時間をかけて大北地区を駆け巡る。

その戸数はおよそ200軒だそうだ。

西の地区から富雄川向こうの東へ行くころには真っ暗だ。

このような月見どろぼうは同地区だけでなく庄田(しょうだ)や久保でもあるらしい。



ところで、大和郡山市丹後庄町に住むMさんの家では、その夜はお月さんが見えるように家中の「カド」にススキにハギなどのお花を添えて、お神酒、おせんまい(米)、塩を供えている。

「カド」とは家中にある庭先のことだといい、稲藁などを干した場所であることからこれを「カドボシ」と呼んでいた。

また、額田部に住むYさんの話によれば名月の夜は猿沢池に行って足を浸けたそうだ。

シモヤケにならないというまじないらしい。

お月見は15個ほどの白玉ダンゴを供える。

家の観音さんにも供える。

それは今でも変わらない家の風習だそうだ。

後日に後述するオカリヤも「カド」に祭っていた。

このように大和郡山市旧村では「カド」が祭りの場となることを付け加えておこう。

(H23. 9.12 EOS40D撮影)


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