マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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丹生町の十六夜山荘

2017年12月24日 09時32分44秒 | 奈良市(東部)へ
平成27年9月、奈良市丹生町にお住まいのFさんから封書が届いた。

消印日付けは9月9日。

五節句のひとつである重陽の節句の日でもある。

封書に「十六夜山荘(いざよいさんそう)はお住まいと同じ番地だ。

封書に同封していた通知文に、県芸術祭参加イベントに2企画の催しをしているとあった。

しかもだ。

恒例になった十六夜山荘の観月会・お茶会もしていると書いてあった。

結びに「奈良の隠れ里 丹生の秋を満喫していただければ・・」とあった。

十六夜山荘は農家民宿。

平成27年の2月に農家民宿の許可を取得した。

四季を通じた農業体験、これまで続けてこられたお茶事に、日本の伝統文化を伝える宿としてお待ちしておりますとある。

婦人と初めてお会いしたのはずいぶん前のことになる。

平成22年の7月7日。

奇しくも五節句のひとつである七夕の日だった。

その日に取材した丹生町の行事は「三日地蔵」の風習。

F家でしばらく滞在していたお地蔵さんは隣家に運ばれる。

孫を連れた娘さんが送る情景を撮らせていただいたことがある。

ご縁をいただいたF家が話してくれた正月の膳もありがたく取材を受けてくださった平成23年の1月1日の正月。

元日の朝、家族揃って元日の朝を迎えて正月の膳をする様子を撮らせてもらった。

F家のイタダキの膳はミカヅキサンにツキノモチ、ホシノモチがあった。

でっかいカシライモの雑煮もご厚意によばれることになった。

その年の3月27日は孫さんの1歳の誕生日祝い。

滅多に拝見することのない初誕生の習俗までも取材させてもらった。

なにかと世話になったF家。

当時はいつもにこやかな旦那さんがおられた。

旦那さんは蜂捕り名人。

この日は保存していた蜂の料理までいただくことになった。

平成24年は丹生神社の宵宮行事にも訪れていた。

参拝に来られていた娘さん家族にお会いした。

ご両親は家で孫の面倒をみてもらっていると話していた。

元気で孫さんと遊んでいる姿が目に浮かんだが、立ち寄ることはなかった。

それから月日が経った。

風のたよりに旦那さんが亡くなった知らせが届いた。

なんということだ。

「十六夜山荘」の案内状が届いたのは、平成27年9月10日。

携帯電話に架けてみたが、不在で留守電になった。

その夜である。

Fさんが架けた電話が私の携帯電話にかかった。

あれから旦那は亡くすし、家族状況も大きな変化があった。

負けてられない、と一念発起したのが「十六夜山荘」の設立だった。

ご近所に食事ができる処ができた。

心地いいお宿は自宅を若干の改造をして立ち上げた。

お気に入りの自宅は特徴ある田の字型の座敷

早く来てもらって写真を撮ってね、と云われるが・・。

食事処に御宿。

二人のオーナーが協力し合って丹生町の発展寄与、また、大和茶の応援に立ち上がった、Fさん。

ガンバッている声に発奮したいが、そのころの私は、心臓手術で退院したばかり。

当分は経過措置の治療、リハビリの身。

身体あってのこともあり、お互いボチボチやねと言葉を交わしていた。

この日の午前中は月ヶ瀬桃香野八幡神社の祈年祭を取材していた。

ここからさほど遠くない地に丹生町がある。

いい機会に立ち寄って元気になった姿をみせたい。

それもあるが、十六夜山荘を知りたくて表敬訪問した。

不在である可能性もあるが、とにかく出かけてみる。

確かにあった「十六夜山荘」の立て看板。

門屋にある呼び鈴を押した。

在室していたFさんとお会いするのは、実に6年ぶり。

料理に使う陶器を整理している最中にお邪魔して、盛況ぶりを聞かせていただく。



今年の2月15日で3年目を迎えた十六夜山荘。

口コミで固定客も増えた。

リピーター利用者も多く、しかも外国の方々が来られるようになった、という。

ヨーロッパや台湾にマレーシアなどの国々の人たちもあれば、奈良市内に住まれるある若夫婦の人たちからは、私たちの故郷になってください、といわれるまでに愛されるようになったそうだ。

来客は大人だけでなく、奈良市小学校の在校生徒が利用する農家民宿体験もある。

町住まいの子どもたちにとっては、貴重な体験にたいへん喜んでもらっている、と話しながらもお茶で接待してくださった。



えーことずくめの盛況ぶりにエールを贈られたのは私の方だった。

明日か明後日ぐらいになれば、廻り地蔵が十六夜山荘にやってくる。

だいたいが、1年に2度は廻ってくるというお地蔵さん。

あれから7年。

大きく育った孫の女の子は中学生。

娘の代わりに地蔵さんを背負えるぐらいに成長した、と目を細めていた。

(H29. 2.17 SB932SH撮影)


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