島のホテルでのバイトでは、休みのシフトを派遣会社の人が組んでたわけですが、休日の間隔が開き過ぎてることがあって文句言ったことがあるんです。
みんな全く平等にシフト組むなんて無理なんでしょうけどね。
その時は不満に思ってゴネたんです。「これはおかしいでしょう」っていう感じで。
そしたらそのシフト組んでくれた派遣会社の人、組みなおしてくれたんですよ。
その時、私(わたくし)のワガママであるにもかかわらずその人、申し訳なさそうに詫びてくるんですよ。
そして、同じ洗い場で働いてる人も「どうぞ休んでください」ってすごく気遣ってくれて、すごく有難く、そして申し訳ない気持ちに少しなりました。
シフト制では、たまにキツいシフトになってしまうことが当然あります。
私(わたくし)がなぜゴネたか。それは私(わたくし)のバイト期間が僅か一ヶ月ちょっとの短期だったことが影響したのかもしれません。
島にバイトに来る人は、だいたい三ヶ月以上の期間設定だったんですが、私(わたくし)は都合で「一ヶ月でも可能ですか」と問い合わせたところ、それでもオッケーということで決めたんです。
派遣先は、新潟や長野など3つの候補があって、特にどこでもよかったんですが最終的に派遣会社に指定されましたね。
バイトの目的は、色々経験したいということで、お金を稼ぎたいという目的ではなかったんです。
だからキツいシフトより、色んなところに行ける休日の方が大事だったりするんですよ。
バイト期間が長かったらチャンスもそれだけありますが、短期はすぐオサラバですから。
お金を少しでもたくさん稼ぎたいって思ってたら当然、休みについてゴネたりしません。
”行きたいところに、行けるチャンスに行っておく”
それで私(わたくし)は箱根にある「ユネッサン」というメガ温泉に行くことができました。
これも私(わたくし)のワガママを聞き入れて下さった派遣会社の担当さん、そして同じ洗い場の人たちの温かい心遣いのおかげです。
ありがとうございました。
島のリゾートホテルでのバイトでは私(わたくし)は和食の厨房で食器を洗ってました。
洗い場の雰囲気は、食器が次々にさげられてきて忙しくなると少しバタバタするくらいで、いつもだいたい同じような感じなんですが、板場や揚げ場、焼き場などの調理場の雰囲気は日によって違ったりします。
それがはっきりわかるのは料理長が厨房におられる日です。
料理長はみんなから「おやっさん」と呼ばれてました。
おやっさんが厨房にいない時は、多少緩んだ空気の中、和気あいあいといった感じになることさえあったりしましたが、おやっさんがいるときは張り詰めた空気の中、みんな緊張感をもって仕事してるといった感じでした。
そして、絶えずおやっさんのゲキが厨房に響き渡ります。
「味見は必ずしろ!」「ケチケチするな!」といった言葉は今でも覚えてます。ケチケチするなっていうのは、盛り付けが少なかったりすると言われるんです。
しかし、どんなにゲキを飛ばそうと手を上げることはなく、若い者にも言い聞かせるような指導をされてましたね。
世間一般の料亭の厨房なんかだったら明らかに拳(こぶし)が飛んでくるような粗相でも、叱られはしますが手を上げられることはなく、私(わたくし)はそれがこの世界にしては意外だと感じてました。
あと一つ甘いと思ったことは、みんなタバコを吸ってたことですね。料理人たるもの、舌は命ですから、しかもタバコを吸えば体に臭いが付きます。私(わたくし)が料理人だったら当然吸いません。
そう言えば一人だけ吸ってない人がいて、その人は煮方で立場的にも上の方だったんですが、常にある種の緊張感をもって仕事されてたように思います。
プロ意識がある人というのは、常に緊張感を持って仕事されてると思います。
富士山はとても雄大で、スケールの大きいものが好きな私(わたくし)にはとても魅力のあるものです。
そんな富士山を見たくて毎日その方向を見るわけですが、思った以上になかなか現れてくれませんでした。
島にいる間に見る事ができたのは、おそらく3~5回くらいだったかもしれません。
ある日、昼の中抜けの時に、港のあたりをブラブラしてると携帯が鳴りました。なかじい君からです。
「おしるこ食べに行きませんか?」
と、いうことで小高いところに建っている一軒の食堂に行きました。
その時、確かおしるこは食べられなかったと思うんですが、だがしかし窓に面した席に着くと見事に晴れた空に映える富士山を見る事ができたのです。
その時の富士山は、季節的にまだ雪で真っ白でした。
着いた席には双眼鏡が置いてあって、それでウォッチングしたりですね、それはもう飽くことなく眺めてましたね。
しかしホント大きいですね。日本一の山です。
私(わたくし)が島のリゾートホテルでのバイトを終えるまで
残り2週間くらいでのことだったと思います。
その日も、仕事の終わりにいつものように厨房でみんなと
まかないを食べていたんですね。
すると、どういう流れからその話になったのかは知りませんが、
「あの部屋、今だれが住んでるの?」という話が聞こえてきました。
「あの部屋はヤバイ」とか、「あそこには行きたくない」とか、「もう、入ったと同時に嫌な感じがする」みたいに話してるんです。
私(わたくし)たちが住んでた寮は、私(わたくし)が入る前には「よく出た」という話が頻繁にあったということは聞いていました。
その、まかない食べてる時に話してた人たちは、私(わたくし)たちのような派遣ではなくホテルの正規の従業員なので、私(わたくし)たちとは別の寮に住んでる人たちだったんですが、どうやら問題の部屋は私(わたくし)たちの寮のようです。
しかも話が進むにつれ、それが私(わたくし)自身が寝てる部屋だということが判明しました。
その時話していた人たちは私(わたくし)が使ってる事は知らず、その人たちと私(わたくし)とは、からかったりからかわれたりするような間柄でもありません。
私(わたくし)が寮に帰るなり同居人に確認しましたところ、やはり問題の部屋は私(わたくし)が寝てる部屋ということでした。
少しはその部屋についての過去の話は聞いてましたが、数人の人が口をそろえて「ヤバイ」と言うのを聞くと、ホントにヤバイと思わざるを得ません。
しかも私(わたくし)に直接言ってるワケではなく、普通の会話でそう言ってるのです。冗談っぽくないでしょう。
ずっと前からいる同居人の話によれば、私(わたくし)が入る以前まで霊感の強い人が一人いたらしく、その人がいた時にはすごく頻繁に「出た」らしいです。
結局、私(わたくし)は最後までその部屋を使う事になるのですが、幸い何事もなく過ごす事ができました。
7つほど年上の人がいたんです。
この人には2~3歳の息子さんがいたんですが、ワケあって離れて暮らしてるようでした。
まあこの人には、色々な話をしてもらいました。
本人曰く「叩けばどんどんホコリが出てくる」ということで、それだけ過去に色んな事を経験されてました。
妹さんがおられて、その妹さんに苦労させまいとキツイ仕事も結構されてたようで、腕っぷしも良かったです。
ある日、その妹さんがその人の息子さんを連れて島にやってくるということで、私(わたくし)が寝室にしてた部屋をその日一日、貸してほしいと頼まれました。
もちろん、親子の再開に水が入らないようにするためにはそれが一番の方法だったので快諾しました。
島にバイトに来る人はそれぞれ色んな事情を持ってます。
私(わたくし)はその日まで、その人がなぜ我が子と離れて暮らしてるのかなどと、あまり気にしていませんでした。
その日の晩、部屋に戻るとその人は陽気に酒を飲んでました。
いつもに比べて様子が変だと思ったのは、酔ってるせいだったからでしょうか。私(わたくし)はその人が酔ってるところをその時初めて見ました。
本当のところは分かりませんが、私(わたくし)には悲しみをまぎらわせてるように見えました。
久々の我が子との対面。僅かな時間とはいえ嬉しかったに違いない。
しかしそれは同時に別れる時の辛さに比例する、と私(わたくし)は思います。
だがしかし、そういうんじゃないような、なんかもっと深い事情があるように感じました。
その時私(わたくし)はそう感じて、その人になんかしてあげたいと思うんですが、でもどうしていいやら分からず、切ない気持ちになりました。
島にバイトに来る人はそれぞれ色んな事情を持ってます。
それに踏み込めない、踏み込むべきではない時もあります。
私(わたくし)は、ただその場にいて気の紛れる話を聞いてあげることしかできませんでした。
今思えば、それで良かったんだと思いますけどね。
島のリゾートホテルでのバイトの時に、同じ派遣会社から派遣されてるこづえさんという人がいました。
こづえさんは、ハツラツとしたお姉さんという感じの人で
曲がり角の向こうから”カッ、カッ、カッ”という足音が聴こえただけで
「あ、こづえさん・・・」って判るような、そんな感じの人です。
こづえさんは私(わたくし)のことを「イタさん」と呼んでました。
それは私(わたくし)が働く和食の厨房で、食器洗浄を担当しているにもかかわらず、私(わたくし)が一番板前っぽい(または演歌歌手)と言われてたくらい、当時の風貌がそうだったからです。
こづえさんとは特に親しかったわけではなかったんですが、
たまたま休日に島を出る時、同じ船に乗り合わせて、少し話することができました。
島にバイトに来てた人たちは、それぞれ色んな事情をもっていました。
こづえさんの場合は、「アクセサリーを作るため」ということでした。
アクセサリーを作って、知人のお店に置いてもらったり、
自身も身に付けておられました。
こづえさん曰く、「新作を作ってても、出来上がったと同時にそれはもう古いもの」というようなことを言っておられました。
うーむ、なるほど・・・。
量産して売ればお仕事として成り立つんじゃないんですか?
と、ぶしつけな質問をしたら
工期やらその他色々な事に縛られてしまうのが嫌だって言ってたかな。
今も作っておられるんでしょうか。
島のリゾートバイトでのイベントの一つに、
「うみ会」というのがありました。
どんなことかと言えば、まかないの残り物などの食べ物と、ビールを持ち寄って、海岸でやる飲み会のような感じです。
この島は、海岸といっても岩場ばかりで、私(わたくし)たちが飲んでいたのはその岩場から少し高いところにある防波堤のような場所でした。
しかし「夜遊び」っていうのは、なんでこう、ワクワクするんでしょうね。
防波堤から岩場に降りていくと、岩場に何か光の粒が動いてるじゃーないですか!
ホタルの光よりさらに小さいその光の正体とは・・・?。
何だったんでしょうねー。誰も知りませんでした。
ちなみに私(わたくし)が点々と光る岩場を見て
「飛行石!・・・」とつぶやくと見事にウケました。
ちなみに「飛行石」とは、スタジオジ○リの
「天○の城ラ○ュタ」という作品に出てくる光る石です。
島のホテルでのバイトでは、和食レストランの洗い場で食器洗浄をしてました。
朝食の場合、お一人様につき一つのお盆に、
ごはん、味噌汁、お新香、魚の干物、海苔、温泉玉子、デザートなど、10種類ほどのものが乗ってて
お客様の食事が終わったら次々にホール係の人がそのお盆をさげてくるんです。
それを休む間もなく(日によっては余裕がある時もありますが)洗って食器の種類ごとに仕分けして、所定の位置にしまうんです。
それでですね、”手付かず”の状態でさがってきたものを、
残飯入れではなく口に入れたりしておりました(朝の場合は温泉玉子をよく食べてました)。
私(わたくし)たちは洗い場の仕事以外に、調理補助もやってました。
厨房が忙しい時や、私(わたくし)たちが余裕がある時などにはフキのスジ取りや味噌汁のお椀の準備、生シラスを器に盛ったり、お新香を小皿に分けたりしましたね。
夕食のデザートで出すアイスクリームを、一つずつ器に盛るんですが、これが冷凍庫の中での作業なんです。
ジャンパー羽織ってアイスの容器からくり抜くようにすくって
器に見栄えよく盛り付ける。
ここでも、このアイスがあまりにもおいしいので口の中に・・・。
午前はそんな感じで11時半くらいに終わって、中抜け(昼休憩)が5時間ほどで、
その中抜けで散歩したり、島内の食堂に何か食べに行ったり、寝たりしたのち、「夜の部」が始まります。
夜の部はさらに食器が増え(基本は3種類のコースなんですが、単品を注文する人がいるので)6~7時間の労働時間も過ぎるのが早く感じられます。
それで、最後に「まかない」の時間がやってきます。
夕方にごはん食べてから食器洗いで動き回って、終わった頃にはまた空腹になってるので、けっこう楽しみです。
和食の厨房なので、やはりまかないも和食がほとんどでした。
筍(たけのこ)ごはんや、卵かけご飯にちょっとしたおかずとか、おかずなんかはやっぱり料理人が作ったものですからおいしいんですよ。
余ったものは持ち帰って部屋の住人(他の住人は洋食や中華の洗い場)へのおみやげです。
私(わたくし)がバイトしていた島はダイビングのスポットで、
ダイビング以外では釣りをしに来る人が多いようでした。
人口は380人くらいだったかな。
それに犬が二匹。島には犬がその二匹しかいないということでした。
ネコは、野良なんですがやたらと多くて港の近辺には多い時には20匹くらいがたむろしてました。
二匹の犬のうちの一匹がパグで、飼い主がソフトクリーム屋のおばさんでした。
そこのソフトクリーム屋さんは、フラッペなんかも売ってて、私(わたくし)たちのようにホテルで働いてる者には割引きしてくれるとても良心的なお店でした。
ある日、仲間5人くらいでそのお店に行ったんです。
みんなそれぞれ注文して、割り引いてもらって、そこで食べてたんですが、フラッペを注文した「なかじい」君が
”髪の毛が入ってる”とか言ったら、おばさんが料金半分返してくださったんですよ。
入ってたのが髪の毛かどうかわからなかったんですが、疑いがあるということで。
更に、新しいフラッペを作って下さったんですが、なかじいは新しいのをもらっておきながら元々のフラッペを返さずそのまま食べ続け、
更に、半額の値段から割り引いてもらおうとした(つまり、半額返してもらってるけど、半額分のお金は払ってるわけで、その払ったお金に対して割引を求めようとしたと考えられる)恐るべし男でした。
さすがにそれはダメでしたけど・・・。
他にも彼は、島内の食堂で「ホットカルピス」を注文し、
「すいませーん、氷ください!」と言ってました。
彼も気さくでじつに楽しい奴でした。
見知らぬ土地での見知らぬ人たちとの生活に対する期待と、ほんの少しの不安に胸を膨らませておりました。
寮はハイツのようなアパートのような感じで、その一室(和室1・洋室1にダイニングキッチン)に5人が寝起きするのです。
派遣会社の担当者に案内され部屋に入ると、大根をむく人・寝てる人・絵を書いてる人・・・などなど。
しかも女の子が2人おられます(この2人、専門学校の研修生でホール係として働いてました)。
この時は遊びにきてたようです(女子寮はちゃんとあります)。
初日、夕方から部屋のみんなは仕事に出たので部屋に一人のところ、女の子の一人「さっちー」が休みで一緒にいてくれました。
初日から気さくに話してくれて、さっちーのおかげで早く雰囲気になじむ事ができました。
ありがとうm(__)m。
午後11時くらいにみんなが仕事から帰ってきて、
歓迎会をしてくれました。
そこで私(わたくし)、初めて「王様ゲーム」というのを
やったんです。
女の子が混じってると、やっぱりあるんですねー(服を脱いでバスタオル一枚になるとか、ダイレクトに胸にタッチとか)。
私(わたくし)こういうノリが苦手なのですが、自分の歓迎会をしてもらってるので楽しむことにしました。
だがしかし、翌日から仕事だったので早めに切り上げて寝させてもらうことにしました。
まだ働いてもいないのに、あまりハメはずす訳にいきませんからね。
島にいる間に、もう一度「王様ゲーム」をすることがあったのですが、その時は言い訳をして途中で抜けさせて頂きました。
ごめんなさいm(__)m。
王様ゲームはそんな感じでしたが、みんなと過ごす時間は楽しかったです。