今回の研究では、アルマ望遠鏡を用いて、近傍宇宙に位置するコンパス座銀河を約1光年という非常に高い解像度で観測。
その結果、超巨大ブラックホール周辺わずか数光年の空間スケールでのガス流とその構造を、プラズマ・原子・分子のすべての相において定量的に測定することに世界で初めて成功しています。
さらに、超巨大ブラックホールへ向かう降着流を明確にとらえ、降着流が“重力不安定”と呼ばれる物理機構により生じていることをも明らかにしています。
一方で、降着流の大半はブラックホールの成長には使われず、原子ガスか分子ガスとして一度ブラックホール付近から噴き出た後に、ガス円盤に舞い戻って再びブラックホールへの降着流となる、あたかも噴水のようなガスの循環が起きていることも分かりました。
これらは、超巨大ブラックホールの成長メカニズムの包括的な理解に向けた重要な成果になります。
この超巨大ブラックホールは、どのようにして作られるのでしょうか?
これまでの研究から提案されている重要な成長機構に、ブラックホールへの“ガス降着”があります。
これは、銀河に存在するガスが、銀河中心のブラックホールへ落ち込むことを指しています。
ブラックホールへ落下する物質は角運動を持つため、降着円盤と呼ばれるへんぺいな円盤をブラックホールの周囲に作ります。
降着円盤内のガスの摩擦熱によって落下するガスは電離してプラズマ状態へ。
この電離したガスは回転することで強力な磁場が作られ、降着円盤からは荷電粒子のジェットが噴射し降着円盤の半径に応じて、可視光線、紫外線、X線と幅広い電磁波が観測されることになります。
これは活動銀河核と呼ばれる天体現象で、その光は時に銀河の星の光の総量を凌駕するにまで至ります。
興味深いことは、ブラックホールめがけて落ち込んでいったガス(降着流)の一部が、この活動銀河核の膨大なエネルギーをあびて吹き飛んでしまう(噴出流)と考えられていることです。
これまでの理論・観測の双方の研究から、10万光年におよぶ銀河スケールから中心の数百光年程度までのガス降着機構については、詳しく理解されています。
でも、そのさらに内側、特に銀河中心数十光年以内でのガス降着に関しては、領域のあまりの小ささから詳細は謎に包まれていました。
たとえば、ブラックホールの成長を定量的に理解するには、降着流の流量(どれくらいの量のガスが流入しているのか)を測定することや、噴出流としてどういうタイプのガス(プラズマガス・原子ガス・分子ガス)が、どれだけの量で流出しているかを測定することが必要です。
でも、その観測的理解は進んでいませんでした。
観測したのはコンパス座銀河という、近傍宇宙の代表的な活動銀河核天体です。
達成した解像度は約1光年。
これは、活動銀河核に対する多相ガス観測として、これまでで最高の解像度でした。
研究では、銀河中心から数光年にわたって存在する高密度分子ガス円盤(図1の緑)において、超巨大ブラックホールへ向かう降着流を初めてとらえることに成功しています。
銀河中心部は、領域の小ささに加えてガスの運動が複雑で、これまで降着流を特定することが困難な場所でした。
それでもアルマ望遠鏡の高解像度観測により、明るく輝く活動銀河核の光を手前の分子ガスが吸収して影になっている現場を特定。
詳しい解析からは、この吸収体が地球から遠ざかる方向に動いていることが分かりました。
吸収体は、必ず活動銀河核と地球との間に存在していたので、これは活動銀河核めがけて落ちていく降着流をとらえたことを意味していました。
さらに、この銀河中心部でのガス降着を引き起こす物理機構も解明。
観測されたガス円盤自身の重力は、ガス円盤の運動から計算された圧力では支えきれないほど大きいものでした。
この状態に陥ると、ガス円盤は自重で潰れて複雑な構造となり、銀河中心部で安定して運動することができなくなります。
そうすると、ガスは一気に中心ブラックホールめがけて落ちていくことになります。
この“重力不安定”と呼ばれる物理現象が起きていることが、アルマ望遠鏡により明らかになりました。
また、この研究で活動銀河核周りのガス流の定量的な理解も大きく進むことになります。
観測されたガスの密度と降着流の速度から分かったのは、ブラックホールへ供給されるガスの流量でした。
その量は、この活動銀河核の活動性を支えるのに必要な量よりも、なんと30倍も大きな値。
これは、銀河中心1光年スケールでのブラックホール降着流のほとんどは、ブラックホールの成長に寄与していなかったことを意味していました。
では、余ったガスはどこに行ったのでしょうか?
研究チームでは、この謎も解明しています。
アルマ望遠鏡の高感度観測により、中密度分子ガス・原子ガス・プラズマガスのすべてのガス相(それぞれ図1の赤色、青色、ピンク色の分布に相当)において、活動銀河核からの噴出が検出されました。
定量的な解析の結果、ブラックホールへ流入したガスの大半は分子か原子として噴出するものの、速度が遅いのでブラックホールの重力圏から脱出できずにガス円盤に舞い戻り、再度ブラックホールへの降着流となり、あたかも噴水のようなガスの循環が起きていることも分かりました。(図2)
現在成長中の超巨大ブラックホール周辺のわずか数光年スケールの領域で、ブラックホール降着流や噴出流を多相ガスで検出し、さらにブラックホールへの降着機構も解明することができたことは、超巨大ブラックホール研究の歴史における一つの記念碑的な成果と言えます。
さらに、宇宙史における超巨大ブラックホールの成長を包括的に理解するには、より遠くにある様々な性質を持った超巨大ブラックホールを、多角的に調べる必要があります。
それには、高解像度・高感度の観測が必須です。
アルマ望遠鏡を駆使した観測や、次世代の大型電波干渉計計画にも期待したいですね。
本研究成果は、Izumi et al. “Supermassive black hole feeding and feedback observed on sub-parsec scales”として、アメリカ学術雑誌“Science”に2023年11月3日付で掲載されました(DOI: 10.1126/science.adf0569)。
こちらの記事もどうぞ
その結果、超巨大ブラックホール周辺わずか数光年の空間スケールでのガス流とその構造を、プラズマ・原子・分子のすべての相において定量的に測定することに世界で初めて成功しています。
さらに、超巨大ブラックホールへ向かう降着流を明確にとらえ、降着流が“重力不安定”と呼ばれる物理機構により生じていることをも明らかにしています。
一方で、降着流の大半はブラックホールの成長には使われず、原子ガスか分子ガスとして一度ブラックホール付近から噴き出た後に、ガス円盤に舞い戻って再びブラックホールへの降着流となる、あたかも噴水のようなガスの循環が起きていることも分かりました。
これらは、超巨大ブラックホールの成長メカニズムの包括的な理解に向けた重要な成果になります。
この研究は、国立天文台の泉拓磨助教を中心とする国際研究チームが進めています。
ブラックホールへ落ち込むガス流
多くの大質量銀河の中心には、その質量が太陽の100万倍以上に達する“超巨大ブラックホール”が存在しています。この超巨大ブラックホールは、どのようにして作られるのでしょうか?
これまでの研究から提案されている重要な成長機構に、ブラックホールへの“ガス降着”があります。
これは、銀河に存在するガスが、銀河中心のブラックホールへ落ち込むことを指しています。
ブラックホールへ落下する物質は角運動を持つため、降着円盤と呼ばれるへんぺいな円盤をブラックホールの周囲に作ります。
降着円盤内のガスの摩擦熱によって落下するガスは電離してプラズマ状態へ。
この電離したガスは回転することで強力な磁場が作られ、降着円盤からは荷電粒子のジェットが噴射し降着円盤の半径に応じて、可視光線、紫外線、X線と幅広い電磁波が観測されることになります。
これは活動銀河核と呼ばれる天体現象で、その光は時に銀河の星の光の総量を凌駕するにまで至ります。
興味深いことは、ブラックホールめがけて落ち込んでいったガス(降着流)の一部が、この活動銀河核の膨大なエネルギーをあびて吹き飛んでしまう(噴出流)と考えられていることです。
これまでの理論・観測の双方の研究から、10万光年におよぶ銀河スケールから中心の数百光年程度までのガス降着機構については、詳しく理解されています。
でも、そのさらに内側、特に銀河中心数十光年以内でのガス降着に関しては、領域のあまりの小ささから詳細は謎に包まれていました。
たとえば、ブラックホールの成長を定量的に理解するには、降着流の流量(どれくらいの量のガスが流入しているのか)を測定することや、噴出流としてどういうタイプのガス(プラズマガス・原子ガス・分子ガス)が、どれだけの量で流出しているかを測定することが必要です。
でも、その観測的理解は進んでいませんでした。
降着流のほとんどはブラックホールの成長に寄与していない
今回の研究では、アルマ望遠鏡(※1)を用いて、超巨大ブラックホール周辺わずか数光年という非常に小さな空間スケールでのガス流とその機構を、プラズマ・原子・分子のすべての相において定量的に測定することに世界で初めて成功しています。※1.日本を含む22の国と地域が協力して、南米チリのアタカマ砂漠(標高5000メートル)に建設されたのが、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array = ALMA:アルマ望遠鏡)。人間の目には見えない波長数ミリメートルの“ミリ波”やそれより波長の短い“サブミリ波”の電波を観測する。高精度パラボラアンテナを合計66台設置し、それら全体をひとつの電波望遠鏡として観測することができる。
多相ガスを観測することで、ブラックホール周りの物質の分布や運動に関する、より包括で正確な理解を得ることができる訳です。観測したのはコンパス座銀河という、近傍宇宙の代表的な活動銀河核天体です。
達成した解像度は約1光年。
これは、活動銀河核に対する多相ガス観測として、これまでで最高の解像度でした。
研究では、銀河中心から数光年にわたって存在する高密度分子ガス円盤(図1の緑)において、超巨大ブラックホールへ向かう降着流を初めてとらえることに成功しています。
銀河中心部は、領域の小ささに加えてガスの運動が複雑で、これまで降着流を特定することが困難な場所でした。
それでもアルマ望遠鏡の高解像度観測により、明るく輝く活動銀河核の光を手前の分子ガスが吸収して影になっている現場を特定。
詳しい解析からは、この吸収体が地球から遠ざかる方向に動いていることが分かりました。
吸収体は、必ず活動銀河核と地球との間に存在していたので、これは活動銀河核めがけて落ちていく降着流をとらえたことを意味していました。
さらに、この銀河中心部でのガス降着を引き起こす物理機構も解明。
観測されたガス円盤自身の重力は、ガス円盤の運動から計算された圧力では支えきれないほど大きいものでした。
この状態に陥ると、ガス円盤は自重で潰れて複雑な構造となり、銀河中心部で安定して運動することができなくなります。
そうすると、ガスは一気に中心ブラックホールめがけて落ちていくことになります。
この“重力不安定”と呼ばれる物理現象が起きていることが、アルマ望遠鏡により明らかになりました。
また、この研究で活動銀河核周りのガス流の定量的な理解も大きく進むことになります。
観測されたガスの密度と降着流の速度から分かったのは、ブラックホールへ供給されるガスの流量でした。
その量は、この活動銀河核の活動性を支えるのに必要な量よりも、なんと30倍も大きな値。
これは、銀河中心1光年スケールでのブラックホール降着流のほとんどは、ブラックホールの成長に寄与していなかったことを意味していました。
では、余ったガスはどこに行ったのでしょうか?
研究チームでは、この謎も解明しています。
アルマ望遠鏡の高感度観測により、中密度分子ガス・原子ガス・プラズマガスのすべてのガス相(それぞれ図1の赤色、青色、ピンク色の分布に相当)において、活動銀河核からの噴出が検出されました。
定量的な解析の結果、ブラックホールへ流入したガスの大半は分子か原子として噴出するものの、速度が遅いのでブラックホールの重力圏から脱出できずにガス円盤に舞い戻り、再度ブラックホールへの降着流となり、あたかも噴水のようなガスの循環が起きていることも分かりました。(図2)
現在成長中の超巨大ブラックホール周辺のわずか数光年スケールの領域で、ブラックホール降着流や噴出流を多相ガスで検出し、さらにブラックホールへの降着機構も解明することができたことは、超巨大ブラックホール研究の歴史における一つの記念碑的な成果と言えます。
さらに、宇宙史における超巨大ブラックホールの成長を包括的に理解するには、より遠くにある様々な性質を持った超巨大ブラックホールを、多角的に調べる必要があります。
それには、高解像度・高感度の観測が必須です。
アルマ望遠鏡を駆使した観測や、次世代の大型電波干渉計計画にも期待したいですね。
本研究成果は、Izumi et al. “Supermassive black hole feeding and feedback observed on sub-parsec scales”として、アメリカ学術雑誌“Science”に2023年11月3日付で掲載されました(DOI: 10.1126/science.adf0569)。
こちらの記事もどうぞ
今や報道は無法国の代弁者となり、日本の国益は悪に印象操作し妨害、反日帰化の多い野党や中韓の悪事は報じない自由で日本人の知る権利を阻む異常な状態です。
世論誘導が生んだ民主党政権、中韓を利す為の超円高誘導で日本企業や経済は衰退する中、技術を韓国に渡さぬJAXAを恫喝し予算削減、3万もの機密漏洩など数知れぬ韓国への利益誘導の為に働きました。
メディアに踊らされあの反日政権を生み、当時の売国法や“身を切る改革”に未だ後遺症を残している事、今も隣国上げや文化破壊等、
日本弱体と利益誘導に励む勢力に二度と国を売らぬ様、各党の方向性を見極め、改憲始め国の成長と強化が重要で、しかし必要なのは、
日本人として誇りを取り戻し、世界一長く続く自国を守る意識だと多くの方に伝わる事を願います。