超小型深宇宙探査機“PROCYON”が、
目標としていた小惑星“2000 DP107”の接近観測(フライバイ)を断念するそうです。
原因は、イオン・スラスターに生じていた問題が解決できず、
加速できないことでした…
2014年12月3日に、
小惑星探査機“はやぶさ2”などと共にH-IIAロケットで打ち上げられたのが、
超小型の深宇宙探査機“PROCYON”です。
“PROCYON”の開発は東京大学とJAXAが手掛け、
機体は1辺が約60センチの立方体で、質量は約65キロという小柄な機体。
でも、小型のイオン・スラスターや深宇宙用の通信装置、カメラなどを搭載していて、
立派な小惑星探査機と言えるんですねー
打ち上げ後の状態は正常で、今年4月6日には、
「深宇宙での発電、熱制御、姿勢制御、通信、軌道決定に成功すること」
「超小型電気推進系の深宇宙での動作に成功すること」
「超小型電気推進系が所定の性能で一定の増速量を達成すること」
という3つの項目からなる“ルミナル・ミッション”を達成。
また、“アドバンスト・ミッション”に位置づけらている、
「GaNを用いた高校率X帯パワーアンプによる通信」にも成功し、
「超長基線電波干渉法(VLBI)による航法」も実施されました。
そして“PROCYON”は究極の目標として、
2つの小惑星から成る二重小惑星“2000 DP107”のフライバイを目指していました。
でも、今年3月10日の運用終了数時間後に、
イオン・スラスターの内部で金属ゴミ(フレーク)による、
スクリーン・グリッドとアクセル・グリッド間の導通(短絡)と思われる事象が発生…
イオン・スラスターには、イオンを引き出して加速するための、
直径0.4ミリの孔が数百個開いています。
1つ1つの孔は電極になっていて、これをグリッドと呼びます。
イオン・スラスターの放電室でプラズマ化された推進剤は、
まず、スクリーン電源から高い電圧を与えられたスクリーン・グリッドによって、
放電室から引き出されます。
そして次に、アクセル電源から負の電圧を与えられたアクセル・グリッドによって、
加速され噴射されることになります。
でも、両グリッドが短絡していることで、高電圧を与えられず、
“PROCYON”は加速が出来ない状態になったんですねー
その後、“PROCYON”チームは、
様々な手段を使って復旧に当たったのですが、まだ回復にはいたっていません。
このまま飛行を続けると、地球との最接近距離は300万キロ弱。
地球の重力を使って探査機の軌道を変更する“地球スイングバイ”によって、
小惑星“2000 DP107”にフライバイするために必要な最接近距離、
“地球から約50万キロ以内”まで地球に近づくことができず…
また今後、仮にイオン・スラスターが回復したとしても、
残された期間では、小惑星に向かうための地球スイングバイ条件を、
整えることができない状況なんですねー
なので“PROCYON”チームは、
小惑星“2000 DP107”へのフライバイを実施しないことを決定…
さらに、小惑星“2000 DP107”よりも容易に、
かつ、科学的成果が得られる距離まで接近できる小惑星は、
今のところ見つかっていません。
このことから、“PROCYON”による小惑星の接近観測に関しては、
厳しい状況にあると言わざるを得ません。
まぁー ジオコロナ観測装置“LAICA”による観測や、
その他の工学実証実験の継続など、
今後の“PROCYON”運用については、協議をする価値はあるようですよ。
こちらの記事もどうぞ ⇒ 超小型衛星でイオンエンジンの作動に成功!
目標としていた小惑星“2000 DP107”の接近観測(フライバイ)を断念するそうです。
原因は、イオン・スラスターに生じていた問題が解決できず、
加速できないことでした…
2014年12月3日に、
小惑星探査機“はやぶさ2”などと共にH-IIAロケットで打ち上げられたのが、
超小型の深宇宙探査機“PROCYON”です。
“PROCYON”の開発は東京大学とJAXAが手掛け、
機体は1辺が約60センチの立方体で、質量は約65キロという小柄な機体。
でも、小型のイオン・スラスターや深宇宙用の通信装置、カメラなどを搭載していて、
立派な小惑星探査機と言えるんですねー
打ち上げ後の状態は正常で、今年4月6日には、
「深宇宙での発電、熱制御、姿勢制御、通信、軌道決定に成功すること」
「超小型電気推進系の深宇宙での動作に成功すること」
「超小型電気推進系が所定の性能で一定の増速量を達成すること」
という3つの項目からなる“ルミナル・ミッション”を達成。
また、“アドバンスト・ミッション”に位置づけらている、
「GaNを用いた高校率X帯パワーアンプによる通信」にも成功し、
「超長基線電波干渉法(VLBI)による航法」も実施されました。
そして“PROCYON”は究極の目標として、
2つの小惑星から成る二重小惑星“2000 DP107”のフライバイを目指していました。
でも、今年3月10日の運用終了数時間後に、
イオン・スラスターの内部で金属ゴミ(フレーク)による、
スクリーン・グリッドとアクセル・グリッド間の導通(短絡)と思われる事象が発生…
イオン・スラスターには、イオンを引き出して加速するための、
直径0.4ミリの孔が数百個開いています。
1つ1つの孔は電極になっていて、これをグリッドと呼びます。
イオン・スラスターの放電室でプラズマ化された推進剤は、
まず、スクリーン電源から高い電圧を与えられたスクリーン・グリッドによって、
放電室から引き出されます。
そして次に、アクセル電源から負の電圧を与えられたアクセル・グリッドによって、
加速され噴射されることになります。
でも、両グリッドが短絡していることで、高電圧を与えられず、
“PROCYON”は加速が出来ない状態になったんですねー
その後、“PROCYON”チームは、
様々な手段を使って復旧に当たったのですが、まだ回復にはいたっていません。
このまま飛行を続けると、地球との最接近距離は300万キロ弱。
地球の重力を使って探査機の軌道を変更する“地球スイングバイ”によって、
小惑星“2000 DP107”にフライバイするために必要な最接近距離、
“地球から約50万キロ以内”まで地球に近づくことができず…
また今後、仮にイオン・スラスターが回復したとしても、
残された期間では、小惑星に向かうための地球スイングバイ条件を、
整えることができない状況なんですねー
なので“PROCYON”チームは、
小惑星“2000 DP107”へのフライバイを実施しないことを決定…
さらに、小惑星“2000 DP107”よりも容易に、
かつ、科学的成果が得られる距離まで接近できる小惑星は、
今のところ見つかっていません。
このことから、“PROCYON”による小惑星の接近観測に関しては、
厳しい状況にあると言わざるを得ません。
まぁー ジオコロナ観測装置“LAICA”による観測や、
その他の工学実証実験の継続など、
今後の“PROCYON”運用については、協議をする価値はあるようですよ。
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