一生を終えつつある大質量星から定期的に放出されるガス。
このガスに伴う衝撃波が、星のごく近くに形成されている様子が初めて観測されたんですねー
このことは、高い波長分解能を持つ最新の近赤外線分光装置を用いて分かったこと。
星の周囲に放出されたガスの空間構造と速度構造を詳細に調べた結果でした。
大質量星がどのように一生を終えるのか? 星の一生についての謎が解明されるかもしれません。
大質量星の影響は銀河全体の進化にも及んでいる
星雲のようなガスの濃い領域。
ここで、ガスが互いの重力によって引かれあって集まると星が生まれるんですねー
生まれたての星が、さらにガスを得ると核融合反応を起こし主系列の星になり、一生のほとんどを主系列の星として過ごし、この先の晩年期の姿は星の質量によって大きく異なっていきます。
質量が太陽の8倍以上もある大質量星だと、核融合反応が進むにつれ星内部からの輻射圧が非常に強くなり、星は膨張していくことに…
輻射圧が星表面での重力よりも強くなってしまうと、星表面のガスは宇宙空間に放出されてしまい、星は“高光度青色変光星”と呼ばれる段階に移ります。
そして、ガスの放出を続けて質量を失った大質量星は、やがて超新星爆発を起こしてその一生を終えるていきます。
このように大質量星は、晩年期に多量のガスを回りの空間にバラ撒き星間物質の形態や性質に決定的な影響を与え、超新星爆発では重元素を生成するので、星間空間の化学組成を決定する役割も担います。
さらに、大質量星は非常に明るく輝くので、星間空間の分子や原子を壊す働きもしています。
こうした影響は銀河全体の進化にも及ぶので、大質量星を知ることは宇宙を理解することにもつながるんですねー
不明な点が多い天体“高光度青色変光星”
星の一生を解明する上で非常に重要な段階が、大質量星が一生を終える準備を始めた時の姿といえる“高光度青色変光星”です。
でも、およそ1000万年といわれる大質量星の寿命に対して、“高光度青色変光星”として存在する期間はわずか1万年程度…
非常にまれな存在なので、“高光度青色変光星”の詳細については詳しく分かっていませんでした。
特に“高光度青色変光星”がどのようなガス放出を起こすのかについては、恒星進化を調べるうえで非常に大切なカギなのに不明な点が多く残されたままです。
今回の研究では、太陽の80倍程度の質量を持つ高光度青色変光星“はくちょう座P星”を赤外線で観測。
この星は5500光年彼方に位置していて、“高光度青色変光星”としては地球から最も近い天体になります。
“はくちょう座P星”は1600年に大規模な爆発を起こしていて、その際に放出された大量のガスによって、周囲には半径約2兆キロの衝撃波が作られています。
この衝撃波の存在は以前から知られていたことなんですが、今回の観測では星の近くに半径7000万キロの別の衝撃波の存在が明らかになったんですねー
星の近くの衝撃波についてさらに詳しく調べて分かったことは、突発的なガス放出で作られた外側の衝撃波とは異なり、星からの定期的なガス放出によって作られたということ。
このような衝撃波が“はくちょう座P星”に存在することは理論的には予測されていたことなんですが、観測で存在が示されたのは今回が初めてのことでした。
また、この星から放射されている一回電離した鉄イオンの輝線のほとんどが、新しく発見された内側の衝撃波によって作られていることも分かります。
今回の研究により、“高光度青色変光星”からの定期的なガス放出によって作られる衝撃波の存在と、その大きさが観測で初めて明らかになりました。
このサイズは理論モデルとよく一致していたので、理論モデルの正しさを立証する結果にもなっています。
大質量星はどれだけの速さで質量を失って一生を終えるのでしょうか?
定期的なガス放出に伴う質量損失率が正確に求められるようになったことで、大質量星の進化過程の理解が進みそうですね。
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超新星爆発の総エネルギーは?
このガスに伴う衝撃波が、星のごく近くに形成されている様子が初めて観測されたんですねー
このことは、高い波長分解能を持つ最新の近赤外線分光装置を用いて分かったこと。
星の周囲に放出されたガスの空間構造と速度構造を詳細に調べた結果でした。
大質量星がどのように一生を終えるのか? 星の一生についての謎が解明されるかもしれません。
大質量星の影響は銀河全体の進化にも及んでいる
星雲のようなガスの濃い領域。
ここで、ガスが互いの重力によって引かれあって集まると星が生まれるんですねー
生まれたての星が、さらにガスを得ると核融合反応を起こし主系列の星になり、一生のほとんどを主系列の星として過ごし、この先の晩年期の姿は星の質量によって大きく異なっていきます。
安定した核融合を行っている時期の恒星を主系列星と呼ぶ。恒星の進化の中で最も長い期間を占め、太陽をはじめとする多くの恒星が主系列星に分類される。
質量が太陽の8倍以上もある大質量星だと、核融合反応が進むにつれ星内部からの輻射圧が非常に強くなり、星は膨張していくことに…
光の輻射によって物質の表面が受ける圧力のこと。
高原が明るいほど物質が受ける輻射圧は強くなる。
高原が明るいほど物質が受ける輻射圧は強くなる。
輻射圧が星表面での重力よりも強くなってしまうと、星表面のガスは宇宙空間に放出されてしまい、星は“高光度青色変光星”と呼ばれる段階に移ります。
そして、ガスの放出を続けて質量を失った大質量星は、やがて超新星爆発を起こしてその一生を終えるていきます。
このように大質量星は、晩年期に多量のガスを回りの空間にバラ撒き星間物質の形態や性質に決定的な影響を与え、超新星爆発では重元素を生成するので、星間空間の化学組成を決定する役割も担います。
さらに、大質量星は非常に明るく輝くので、星間空間の分子や原子を壊す働きもしています。
こうした影響は銀河全体の進化にも及ぶので、大質量星を知ることは宇宙を理解することにもつながるんですねー
不明な点が多い天体“高光度青色変光星”
星の一生を解明する上で非常に重要な段階が、大質量星が一生を終える準備を始めた時の姿といえる“高光度青色変光星”です。
でも、およそ1000万年といわれる大質量星の寿命に対して、“高光度青色変光星”として存在する期間はわずか1万年程度…
非常にまれな存在なので、“高光度青色変光星”の詳細については詳しく分かっていませんでした。
特に“高光度青色変光星”がどのようなガス放出を起こすのかについては、恒星進化を調べるうえで非常に大切なカギなのに不明な点が多く残されたままです。
今回の研究では、太陽の80倍程度の質量を持つ高光度青色変光星“はくちょう座P星”を赤外線で観測。
この星は5500光年彼方に位置していて、“高光度青色変光星”としては地球から最も近い天体になります。
観測には、京都産業大学神山天文台の荒木1.3メートル望遠鏡と近赤外線高分散分光装置“WINEED”を用いている。
“はくちょう座P星”周辺の赤外線画像。 中心の星は明るすぎるので、その影響を除くためマスク処理されている。 着色された領域は1600年の大規模爆発に伴うガス放出の領域。 |
この衝撃波の存在は以前から知られていたことなんですが、今回の観測では星の近くに半径7000万キロの別の衝撃波の存在が明らかになったんですねー
星の近くの衝撃波についてさらに詳しく調べて分かったことは、突発的なガス放出で作られた外側の衝撃波とは異なり、星からの定期的なガス放出によって作られたということ。
このような衝撃波が“はくちょう座P星”に存在することは理論的には予測されていたことなんですが、観測で存在が示されたのは今回が初めてのことでした。
また、この星から放射されている一回電離した鉄イオンの輝線のほとんどが、新しく発見された内側の衝撃波によって作られていることも分かります。
“はくちょう座P星”の周辺ガス(イメージ図)。 中心の星から放出されたガスが周りのガスにぶつかり、内側の衝撃波を作っている。 外側の球殻は1600年の爆発に伴う衝撃波。 |
このサイズは理論モデルとよく一致していたので、理論モデルの正しさを立証する結果にもなっています。
大質量星はどれだけの速さで質量を失って一生を終えるのでしょうか?
定期的なガス放出に伴う質量損失率が正確に求められるようになったことで、大質量星の進化過程の理解が進みそうですね。
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