しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

七月七日 ②なぬかび

2023年07月06日 | 暮らし

牛が一年で仕事をするのは、一度(田植え時)しかなかった。
しかも牛は大飯食い。
エサをあたえるのは農家の大仕事、
それでも牛は大切にされていた。
その極めが七夕の水浴だった。
茂平では”とんま”の浜で牛を洗っていた。
牛が何頭も波打ち際で、体全体をゴシゴシ洗うさまは子供がみていても興味深い風景だった。

 

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井戸掃除は、井戸が深くなく、はんぶん遊びだった。
朝からバケツで井戸水を汲みだし井戸を空にしていた。
空になる頃、父が井戸の底に降りて、底に溜まった枯葉などを取り除いておしまい。
すぐ終わり、すぐに地下水が井戸に溜まっていった。

 

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井戸掃除 (母の話し)

何処のうちでもボニの前、七夕の頃。・・昔ぁ、旧じゃが。
井戸掃除をしょうた。
毎年じゃ。
井戸の水を全部出して、底をこさぎょうた。

ウチのは浅いのでワケはないが、(実家の)賀山にゃぁきょうていくれいじゃった。
縄をつとうて下まで降りていきょうた。
上から見ようてきょうとかった。しまいにゃおじいさんも、「もうようおりん」ゆうてようた。
底にたまった泥を取りょうた。

共同井戸のところにゃ、共同で掃除をしょうた。

2001/1/1

 

 

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「福山市引野町誌」  引野町誌編纂委員会 ぎょうせい 昭和61年発行

この日七度水浴びをすれば病気にかからないといわれ、多くの者が水(海)浴をし、
牛や馬も洗ってやる。
特に海で牛を洗えば元気になるといわれていた。

またこの日、
井戸替えをすれば、一年中きれいな水がわき出るとの言い伝えがあり、
井戸さらいをする

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「美星町史」 美星町 昭和51年発行

ナヌカビ

七月七日をナヌカビといい、一般に井戸かえやノミカワのカワカエをし、水神様を祀る。
またナヌカビには墓掃除にも行く。
この日、牛を飼っている家では牛を川へつれていき、川入れをして「一年中の風呂入りじゃ」と洗ってやる。
一般にナヌカビから、僧侶が各檀家をまわってタナギョウをする。

 

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「金光町史・民俗編」 金光町 平成10年発行

七日をナノカビといい、
子どもは七回水浴すれば丈夫に育つという。
女性は髪を洗うと髪がきれいになるとか、黒い髪になるという。
また洗濯をして七竿干すのだともいう。

この日は必ず井戸替えをする日とされている。

 

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「岡山県史・民俗編Ⅱ」 岡山県  昭和58年発行
七夕
七日に井戸替えをして水神様を祀る例は非常に多い。
このほか牛を川へつれてゆき、タデの葉で洗ってやると牛が達者で災難にあわないという。


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七月七日 ①たなばた

2023年07月06日 | 暮らし

七夕飾りは楽しかった。
ナスビやスイカを書いた絵を買ってきて、
藪から竹を一本持って帰り、
こよりを作りながら、
竹に飾った。
家の庭に立てたまま1週間ほど経つと「七夕」の日となり、
庭から海に、ひこずって持ち運び、流した。
毎年の夏休みに一度ある、朝の行事だった。

 

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「福山市引野町誌」  引野町誌編纂委員会 ぎょうせい 昭和61年発行


七月七日

七夕の節句、たなばたさん、星祭りともわれている。
六日の夜に主に行う。
二三日前の早朝に、
稲の葉の上にある露を集めて硯に入れ墨をすり、
五色の紙を短冊に切ったものに七夕の歌、星の名、俳句、和歌などを書き、
これを竹の葉枝につるして庭前に立てて牽牛、織女の二星に供える。
六日の夜は、
うり、なすの各一個を七つに切ってこれを稲の葉で通し、かしわの葉に盛り、
酒、もち(だんご)とともに星に供え、技芸が上達するよう祈願する。
七日の早朝になると、供物などを川や海に流す。
これは「天の川」へ流すという意味から。

 

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「金光町史・民俗編」 金光町 平成10年発行
七夕とナノカビ

七夕
七月六日は子供の祭り、
子供たちは早朝、ハスや里芋の葉に溜まった朝露を集めてきて、
墨をすり、短冊に願い事を書いて笹竹に吊るす。
笹竹は縁側に立て、団子や西瓜、瓜、大豆、ササゲ、栗などを供える。
ナスやキュウリで牛や馬、鶏などを作って供える。
笹竹の下枝にナスを輪切りにして二つずつ刺す。
夜は満天の星をあおぎ、願い事を祈る。

翌七日朝七夕を川に流す。


 

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「岡山県史・民俗編Ⅱ」 岡山県  昭和58年発行

七夕

七夕はタナバタと読み、旧暦七月七日の行事とされているが、
六日夜行われる神祭である。
女の子が機織りが上手になるようにと願って布切れを供えたり、
この夜の星明りで針に穴を通すと、裁縫の手が上るとか乞巧奠(きこうでん)の名残である。

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