物部の森

日常感じたこと、趣味のこと、仕事のこと・・・等々
日記風に書いてます。

【エッセイ】クーペ・スタイル その2.

2009年03月25日 | Weblog
 東京の友人Oさんから送ってもらった「クーペ・スタイル」の原稿ファイルをすべて読んだ。色々と面白いテーマがあったが、特に印象深かったのは「Title:和装業界」。日本の伝統産業である和装業界の今後のあり方に対しての考察である。
 氏の分析によると、トレンドが衰退していくのには3つのパターンがあるという。

①技術の進歩の過程で生まれたものが、次の新しい技術が生まれることで不便となってしまう(⇒これはいずれ衰退・消滅していく)。
②例えばファッションの流行のように、脈絡もなく風のようにやってきて風のように去っていく(⇒また「風が吹く」ことがあるかもしれない)。
③モノが溢れ個人の好みが多様化することによってマーケットサイズが小さくなる。

 和装産業含め日本の伝統産業の多くはパターン③で苦しんでいる。ところが③については、
「現行のマーケットサイズに応じた供給体制をしき、マーケットが求めている嗜好を外すことなく戦略的に商品を提供すれば、実は、以前より一層の安泰を掴むことができる」
パターン①でいうような、和服が技術進化して洋服となりそれにとって変わられた、すなわち今後衰退あるのみ、ということではないのだ。和服にも一定のマーケットがきっちり存在する。

 「そこで重要なのは洋服ではなく和服を選択した動機を把握すること、そしてその動機を誘発する仕掛けを練ることだ。ターゲットは動機の生まれる瞬間、和服を着たいと思うときだ。そこには年齢は関係ない。マーケットを拡大することは、若者をターゲットに入れることではない。和服を着たいと思わせる瞬間を増やすことである」
年齢や性別といったデモグラフィックなセグメンテーションではないのだ。「和服を着るシーン」を“想像”し、「和服を着たいというニーズ」を“創造”することなのである。そしてもちろんそれを行っていくのは和装業界に従事する者たちの責務なのである。

 普段はクールタッチの氏の文章だが、珍しく本テーマは末尾を、
「まだなんとかなるぞ、和装業界!がんばれ、日本の伝統産業!」
と熱のこもったエールで締められている。幼少期を過ごした丹後半島の和装産業の衰退を目の当たりにして本テーマを書いたらしいので、余計に思いが入っている。

 実家が和装関係の企業を営んでいる私には非常に熱く響いた。社長、必読です。
コメント
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