『銃・病原菌・鉄』(ジャレド・ダイアモンド著、倉骨彰訳、草思社文庫)を読む。
本書は、1998年度ピューリッツァー賞を受賞したり、識者が選ぶ朝日新聞“ゼロ年代の50冊”(2000年から2009年の10年間に出版された本)の第1位に選ばれたりと、出版当初から高く評価されており、以前から読みたかった。この度、文庫化されたのをきっかけに購入する。
なぜ人類は五つの大陸で異なる発展をとげたのか。分子生物学から言語学に至るまでの最新の知見を編み上げて、人類史の壮大な謎に挑む。
著者のダイアモンド氏は、生理学科に所属する医学部の教授であると同時に、著名な生物学者である。その他、分子生物学、遺伝子学、生物地理学、環境地理学、考古学、人類学、言語学についても詳しい。本書のテーマにはうってつけの人物であろう。
非常にパースペクティブで面白い。人類の発展に鉄と銃が大きな役割を果たしてきたのは理解できるが、病原菌が影響しているというのは、思いもよらなかった。
しかし、なにぶん量が膨大。上下巻で800ページにも及ぶ。一般書だが、調査したことや考察したことは全部記録している感じだし、同じような記述が何回も繰り返されている。もう少しすっきりと整理させることができたんじゃないか。編集サイドも大学者に遠慮していたところがあるのかな。
まず先に上巻の「プロローグ」と下巻の「エピローグ」を読み、概要を頭に入れる。その後、中身へと進んでいく、あるいは、全19章のうち興味のあるところだけ拾い読みする。そんな読み方でも十分である。