物部の森

日常感じたこと、趣味のこと、仕事のこと・・・等々
日記風に書いてます。

M-1グランプリ2018評

2018年12月03日 | Weblog
“平成最後”の漫才日本一を決める『M-1グランプリ2018』。最年少かつ初出場の霜降り明星が優勝し、14代目王者に決定。
いつものようにいつものように決勝出場全組をネタ順に評価したい。

■見取り図
優勝候補のコンビではなく、無名な彼らがトップバッターということで、ある意味きれいな滑り出しだった。やりとりは面白いし、わりと安定していた。適当な人物名をネタの途中に放り込んで、かなり後になって「◯◯って誰え?」というお得意の時差ギャグは、会場にも受け入れられていた。ただもっとネタに世界観が欲しい。

■スーパーマラドーナ
ラストチャンスということで緊張と気合が画面から見て取れた。「隣人が怪しい人だったら」という設定で、武智扮する隣人が部屋に入った瞬間、田中がドアを思いっきり閉めるところで、観客が「そっちかい!」と大ウケ。その後の展開を期待する空気になった。残念ながら、大して面白く発展しなかった。暫定シートで待ってる時の武智の真面目なコメントと、田中の徹底的にボケるところが対照的だった。

■かまいたち
さすが実力コンビ。息の合った漫才は、過去に遡ってポイントカードを作るという単純な設定にもかかわらず、序盤から笑いを取っていた。二人がやりとりをしながら、観客に聞いたり賛同を求めたりする。舞台を横方向(二人のボケ・ツッコミ)と縦方向(観客とのやりとり)で空間を上手く使っていた。後半はバタバタしたやりとりで少し聞き取りにくかった。最終決戦3組に残れるほどの爆発力はなかった。

■ジャルジャル
一本目も最終決戦の二本目も、いかにもジャルジャルらしいネタ。少しでも噛んだりリズムを崩したら台無しになってしまうという高度な作りであった。「ゼンチン」「ドネシア」「トラリア」などのバズワードが耳に残ってしまっている。審査員のサンドの富澤が彼らの漫才を「マシーンを見るような」という表現をしていたが同感。いずれAIが発達して漫才をやるようになったときに、取って代わられるネタである(面白いかどうかは別として)。

■ギャロップ
安定感のある漫才をするコンビ。事前のM1関係のネット番組でジャルジャルが「本番、はまったときのギャロップさんが一番怖い」と言ってたいた。しゃべくり漫才の真骨頂。ただ林が自分のハゲを自虐的に扱うのが昔からもったいないと思っていた。トレンディエンジェルの斉藤さんのように、それを逆手にとって、かっこいいと思っている体や、ブラマヨの小杉のように、「そんなハゲてないわ」とあくまで抵抗するスタンスの方がネタとしては広がると思う。

■ゆにばーす
バラエティ番組で川瀬名人がピンで出ていたり、原ちゃんが変身メイクで話題になったりとかなり露出が増えてきた。今回も個人的に期待していたが、導入からフワフワした感じで、挙句の果てに川瀬が噛んでしまう。そうなると、会場もまた嚙んでしまわないか、という雑念が入り込んで、集中力が削がれてしまう。少し可哀想な結果になってしまった。最後審査のところでも原ちゃんが言葉が出てこず、ちくはぐなやりとりをになってしまった。今後二人にとってトラウマにならないことを祈る。

■ミキ
最初から決勝に居ててもおかしくないコンビなので、敗者復活は妥当。ネタはスピーディで面白かったが、結局はジャニーズに「入れる」「入られへん」のやりとりの一辺倒。もう少し転がってほしかった。上沼恵美子が98点を入れたのはやりすぎだと思う。昴生も、ギャロップ林同様、自分のルックスを卑下した感じで振舞うが、上沼いわく「昴生の場合は突き抜けてキャラになってるからええねん」と言ってたがどうなんかんあ。

■トム・ブラウン
今回の10組の中では、初めてネタを観たコンビ。二人とも見た目がお世辞にも良いとは言えないので、それほどスマートなネタではないだろうと思ってたが、想像以上だった。「ナカジマックス」から始まって、芸能人5人が合体していくネタは、最初「なんじゃこりゃ?」と思ったが、中盤から後半にかけてどんどん引き込まれていった。会場もざわめくは、どよめくは。アホくささやナンセンスさは赤塚不二夫の世界を彷彿とさせるものだ。今回の掘り出し物。

■霜降り明星
去年のR-1グランプリで、せいやも粗品もどちらもピンで決勝に残った実力派若手芸人。いずれM-1を優勝するだろうと思っていたが、スターダムに駆け上がるの早かったなあ。せいやの連続で行うギャグはある意味幼稚くさいのだが、それに対して粗品が抜群のワードセンスで力強い一言突っ込みを入れる。それで楔が撃ち込まれることにより、ネタの流れが荒れないのだ。漫才の構成や完成度では和牛の方が上だと思ったが、スタートから最後まで全力で飛ばすことで、4分間で稼ぐ笑いの量は、霜降りの方が多かったということである。おめでとう。

■和牛
一本目は、序盤に「殺す」という言葉が連発してて「日曜日のゴールデンのネタとしてはふさわしくないな」と思っていた。後半のゾンビの寸劇は明るくまとめて、しっかりと最終決戦に残った。二本目のネタは、息子自らがオレオレ詐欺を仕掛けるという新しい切り口だった。仕掛けられた母親も負けじと仕掛け返して、それに息子がさらに…、という畳かけは非常に面白かったし、ネタとしてよくできていた。会場も笑いと感心が入り混じった「おお~」みたいな笑い声が響いた。私の中では、最終決戦3組の中では文句なしに和牛だった。審査員の投票結果は霜降り4票、和牛3票の大接戦。僅差だし、あとは評価するポイントの違いだと思う。個人的には優勝させてやりたかった。

以上、51歳になってもこんなことを真面目に書いている自分がつくづく情けなく、かつ、わりと好きだったりする。
コメント (2)
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