“自国の兵士に犠牲拡大” ウクライナ政府高官の発言相次ぐ
ウクライナのメディアによりますと、ウクライナ大統領府の顧問を務めるアレストビッチ氏は11日、ウクライナ軍の被害について「攻撃が始まってから一日の平均で100人が亡くなっている」と発言したということです。
そして、これまでに合わせて1万人ほどの兵士が犠牲になった可能性に言及しました。
大統領府顧問のポドリャク氏も9日、BBCの取材に対して「前線では毎日、100人から200人の兵士が殺害されている」としたうえで「われわれが兵器を要求するのは、戦場の状況から客観的に必要だからだ」と述べました。
ウクライナ政府は、これまで自国の軍が受けた犠牲について積極的に明らかにしてきたわけではありませんが、現状をあえて公表することで、兵器のさらなる供与など欧米側に軍事支援を急ぐよう迫る思惑があるとみられます。
ウクライナ国防相 欧米各国に迅速な兵器供与を呼びかけ
ウクライナのレズニコフ国防相は12日、イギリスの有力経済誌「エコノミスト」とのインタビューの中で「一部の戦闘地域では、ロシア軍がウクライナ軍の10倍の火力がある」と述べました。
そのうえで「道具さえもらえれば任務を遂行する」と述べ、欧米各国に対して迅速に兵器の供与をするよう呼びかけました。
また、ウクライナ国防省は13日、ザルズニー総司令官がアメリカのミリー統合参謀本部議長と電話会談したことを発表しました。
この中で「ロシア軍が毎日10発以上の巡航ミサイルでウクライナの民間のインフラ施設に攻撃を加えているが、ウクライナ軍は士気を失っていない」と伝えたとしています。
さらに、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は13日、ツイッターに「りゅう弾砲1000門、戦車500台、ドローン1000機などが必要だ」と投稿し、今月15日にブリュッセルで開かれるウクライナを支援する関係国を集めた会合での各国の決断に期待感を示しました。
ロシア軍が破壊したセベロドネツクの橋 衛星画像を公開
人工衛星を運用するアメリカの企業「マクサー・テクノロジーズ」は、ロシア軍が破壊したウクライナ東部ルハンシク州、セベロドネツクの橋の衛星画像を公開しました。
このうち、セベロドネツクの西部で今月11日に撮影された画像には、森林地帯を流れる川に架けられた橋が河川敷を通る部分で広い範囲にわたり破壊されている様子が映されています。
親ロシア派武装勢力の幹部「ウクライナ軍の部隊は降伏か死だ」
ウクライナ東部でロシア軍と連携する親ロシア派の武装勢力の幹部が13日、東部ドネツク州でメディアの取材に応じました。
この幹部は、激しい攻防が続く東部ルハンシク州のセベロドネツクについて、「きのう隣接するリシチャンシクとつながっていた最後の橋が爆破され、通れなくなっている」と述べました。
そのうえで「ウクライナ軍の部隊は永遠にセベロドネツクにとどまることになる。彼らに残されているのは2つの選択肢で、仲間の例にならって降伏するか、死ぬかだ」と述べ、降伏以外に生きる道はないと迫りました。
AP通信によりますと、セベロドネツクには1万人以上の人が、いまだ残っているということです。
国際的な人権団体「ロシア軍はクラスター爆弾を7回使用」
国際的な人権団体の「アムネスティ・インターナショナル」は、ウクライナ東部の第2の都市ハルキウで、ロシア軍が7回クラスター爆弾を使用し、多くの民間人が殺害されたとする独自の調査結果をまとめ、13日、報告書を公表しました。
クラスター爆弾は、1つの爆弾から多数の小型爆弾が飛び散り、民間人にも無差別に被害を与えることなどから、残虐な兵器として使用を禁止する国際条約があります。
「核兵器使用のリスク高まっている」スウェーデンの研究機関
世界の軍事情勢を分析するスウェーデンの研究機関は、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、核兵器が使われるリスクが冷戦以降で最も高まっていると指摘するとともに、減少傾向が続いてきた世界の核弾頭の総数が今後10年間で増加に転じる可能性があるという見方を示しました。
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所が13日に発表した年次報告書によりますと、各国が保有する核弾頭の総数は、ことし1月時点で1万2705発と推計され、去年から375発減少しました。
研究所はウクライナに軍事侵攻するロシアが核兵器の使用の可能性に言及していることに触れ、「核兵器が使われるリスクが冷戦以降で最も高まっている」と指摘しています。
WTOに参加のロシア次官 「経済制裁は自由貿易を否定」と批判
WTOの閣僚会議に、ロシア代表として参加しているウラジーミル・イリイチェフ経済発展省次官は13日、NHKの取材に応じ、ロシアに対する欧米側の経済制裁について、自由貿易の原則を完全に否定しており、世界経済全体を不安定にしていると強く批判しました。
今回のWTOの一連の会議では、ロシアによる軍事侵攻が、世界の貿易とウクライナの農作物の輸出に与える影響に強い懸念が示されました。
これについてイリイチェフ次官は、「現在の食料やエネルギーをめぐる危機のほとんどすべてはロシアとは関係がない」と述べたうえで、「軍事衝突の結果を議論するのはWTOの責任の範ちゅうではなく、それでWTOの議論が台なしにされるべきではない」と強調しました。
さらに、ロシアの軍事行動がウクライナからの食料輸出を妨げているとする指摘を真っ向から否定し、ウクライナはポーランドなどヨーロッパの国々を通過させることも、ベラルーシを経由して輸出することもできるはずだと主張しました。
そのうえで「ロシアに対する欧米側の経済制裁は、世界経済全体を不安定にしており、自由貿易の原則を完全に否定するものだ」と述べ、ロシアの孤立化を進める動きを改めてけん制しました。
米国防長官 関係国とウクライナ支援で協議の考え示す
アメリカのオースティン国防長官は、ロシアによる侵攻が続くウクライナへの軍事支援をめぐり今週、ベルギーの首都ブリュッセルで開く関係国を集めた会合で支援の強化に向けて対応を協議する考えを示しました。
アメリカのオースティン国防長官は13日、訪問先のタイの首都バンコクで記者団の取材に応じ、ロシアによる侵攻が続くウクライナへの軍事支援について、「アメリカはウクライナの成功のためにあらゆるものを供与する考えがある。
彼らの領土を守るために必要なものを確実に供与することに重点を置いている」と述べました。
そのうえでオースティン長官は、ブリュッセルで15日にウクライナを支援する関係国を集めた会合を開き、ウクライナのレズニコフ国防相などから直接、話を聞くとしたうえで、「彼らが優先して必要だとするものを満たすため、われわれの努力を強化するよう努める」と述べて、支援の強化に向けて対応を協議する考えを示しました。
ゼレンスキー大統領 「兵器の供与 加速を」
ウクライナのゼレンスキー大統領は、アメリカ・ニューヨークで開かれているユダヤ人の団体の会合に12日、ビデオメッセージを寄せ、「殺害された子どもの数は一気に24人増え、287人になった」と明らかにする一方、「ロシア軍はわれわれの国の一部を占領しており、そこで何が起きているのか確たる情報がない」と述べ、懸念を示しました。
さらに「大量殺人、拷問、焼かれた町、そしてロシア軍が占領した地域に設置した、ナチスの強制収容所のような住民を選別する施設が、なぜ現実のものとなっているのか?」と嘆いたうえで、「ロシアにはまだ、戦争を続けようとする力や、国際社会の対応を無視する力がある」と述べ、危機感をあらわにしました。
そしてゼレンスキー大統領は「ウクライナへの兵器の供与を加速させるため力を貸してほしい。攻撃には強力な兵器が必要だ。それがなければ戦争は長引き、犠牲者が増えてしまう。
皆さんからすでに多大な支援をいただいているが、さらに影響力を行使できるはずだ」と訴えました。
セベロドネツク 中心部につながる橋にロシア軍が砲撃
ウクライナ東部ルハンシク州のセベロドネツクでは、ロシア軍が、街の中心部につながる3つの橋のうち2つを破壊し、残る最後の橋にも砲撃を加えました。
ルハンシク州のハイダイ知事は13日、「すべての橋が破壊された。
セベロドネツクに残された市民は、極めて困難な状況で生き延びている」とSNSに投稿し、街の中心部につながるすべての橋を失い、市民の避難に深刻な影響が出ていることを明らかにしました。
セベロドネツク 「化学工場に市民およそ500人」州知事
ルハンシク州のセベロドネツクのハイダイ知事は、セベロドネツクを防衛するウクライナ軍が拠点の一つとしている「アゾト化学工場」について「およそ500人の市民が残り、そのうち40人は子どもだ。
化学工場の地下の避難所は、マリウポリのアゾフスターリ製鉄所ほど堅固ではない」として、市民が追い詰められつつあることに強い危機感を示しました。