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歌集「乱反射」・・・・・第50回 角川短歌賞 受賞歌集
1986年生まれだから、2007年、もう10年前に角川書店から出された初めての歌集。
当時20才過ぎ、今回新装として再発刊。2017年に読んでいるですが、今回私も心新たに再読。
やはり生々しい感性、今スポーツ界でも将棋の世界でも、若い方の活躍が
目覚ましいですが、短歌の世界でも、若い時の歌って魅力ですな。
ご存知のように、お母様は歌人の小島ゆかりさん。
やはり、蛙の子は蛙なんですな。
例によって、お気に入りとして今回選んだ歌は
しわしわの体やさしく寝る象の背中からすべり落ちるセレナーデ
*噴水に乱反射する光あり性欲をまだ知らないわたし
*靴の白 自転車の銀 傘の赤 生なきものはあざやかである
階段をのぼると見える地平線一つの線で分けられる青
マンションの工事現場に響く音まっすぐのびて空を叩けり
今週の金曜あたり梅雨入りと友の友から伝え聞きたり
*ほしいものがありすぎて少しあきらめて 落ちてる柿の数を数える
ひとりみた夕焼けきれいすぎたから今日はメールを見ないで眠る
もうあまり会わなくなったきみの傘も濡らしてますか今日の夕立
*なにもないこともないけれどなにもない或る水彩画のような一日
2017年12月15日に選んだ歌
*噴水に乱反射する光あり 性愛をまだ知らないわたし
*なにもないことはないけどなにもない 或る水彩画のような一日
*靴の白 自転車の銀 傘の赤 生なきものはあざやかである
講堂よりオルガンの音のもれるとき 秋はゆたかな深呼吸をする
ぼんやりと季節濃くなり 傘がいるようないらないような雨の日
沈黙の多いきみとの電話では 遠い蜩の声ばかりする
*ほしいものがありすぎて少しあきらめて 落ちてる柿の数を数える
バスとバスすれちがいたる一瞬に 十月の風は光ってみえる
たくさんの人がたくさんの願いをしている真上大きな月
*が五年経っても同じく選んだ短歌、おもしろいですな。歌は変えらずとも読み手の私が変わったのか・・やはりおなじ歌を選べば多少ずれているのもあって、逆に我がこころの変化がおもしろいですな。
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