短歌ください そのニ (ダ・ヴィンチブックス) | |
クリエーター情報なし | |
KADOKAWA/メディアファクトリー |
☆☆☆☆
この本は、「ダ・ヴィンチ」に2010年11月号から2013年4月号まで掲載された
「短歌ください」をまとめたものの第二弾。
読者の投稿による短歌に、穂村弘が選び、多少の選評を加えたもの。
投稿作品でありながら、あまりの、読者の切り口の斬新さに驚く。
最近、短歌をつくりはじめただけに、凄さはヒシヒシと感じる。
第一弾と同じように、歌を読み、穂村さんの選評を読み、最後に作者の性別と年齢を見る。
改めて、若く、それも女性の多さに驚く。
納得する時もあれば、えぇと想像していた人物との差異に、もう一度読み直すこともたびたび。
短歌の中に、含まれる情景、心情、を想像摺るのは、落語の世界に相通じるものがある。
気に入ったというか、解りやすかった、作品を紹介。(あえて、作者、性別、年齢も列挙)
[数字]
顔文字の収録数は150どれもわたしのしない顔(一戸詩帆・女・25歳)
[エロ]
一度でも全部に触っていたいから下から上まで鍵盤を押す(たかだま・女・21歳)
[距離]
当事者にはなれないことを受け止める 空のシャンプー連打する朝(おりゅう・女・30歳)
なにをしてもいいと言われてきたけれどすべてがわたしから遠ざかる(虫武一俊・男・30歳)
[声]
ひとつだけ残った餃子しまうとき何で僕なの?と声が聞こえた(ゴ二クロイ・女・31歳)
[遊び]
遊園地来たけれど上手に遊べない私どこかが壊れてますか(えむ・女・21歳)
[仕事]
三十歳職歴なしと告げたとき面接官のはるかな吐息(虫武一俊・男・30歳)
「目的地周辺です」と言ったきり君はどこかにいってしまった(一・男・23歳)
[幸福]
柔らかい笑顔するのね下半身は暴力的に動いてるのに(チヲ・女・28歳)
[風呂]
男って女より先に死ぬものね 綺麗になったのに眠ってる(川上渚・女・23歳)
[旅]
読みかたのわからぬ名前のバス停で死んだ犬など思い出してる(いとうひでのり・男・51歳)
[自由]
青入れて赤赤赤の均整を壊してみせた自転車置き場(りっこ・女・24歳)
どこにでも行ける気がした真夜中のサービスエリアの空気を吸えば(木下ルミナ侑介・男・25歳)
ぐちゃぐちゃにカレーをまぜて食う彼とカーセックスを二回しました(モンキー高谷・女・29歳)
舌に舌で文字書くように愛してよ毛布吹雪基地躊躇夜(こゆり・女・26歳)
俺なんかどこが良いのと聞く君はわたしのどこが駄目なんだろう(泡凪伊良佳・女・16歳)
焼き肉屋白いちいさな飴ちゃんの服をぬがせる君は可愛い(伊藤ハムスター・女・24歳)
行ったのか待てば来るのかバス停で本当のことはわからずにいる(高橋徹平・男・34歳)
来年もよろしくと言ったあの人は知らないうちにオムレツの彼方(エイシャ・女・22歳)
大仏は俯きながら思案する(鶯餅か天麩羅蕎麦か)(九螺ささら・女・42歳)
きみのその深爪し過ぎた薬指にトンガリコーンを嵌めていいですか(はるの・女・24歳)
寄せ鍋の湯気で湿った前髪を気にして触る君世界一(森響子・女・28歳)
唐揚げの下のレタスを食べてみる駅のひだまり冷えた膝裏(レイ・女・22歳)
君よりも少しだけ長いお祈りで、君はわたしよりしあわせになる(いさご・女・23歳)
飲みながらおしっこしたらそれはもう管よ私は一本の管(木下龍也・男・24歳)
あと2秒後にキスをするカップルを見つけてしまう雑踏の中(岸田弥也・女)
好きだって言わなくたってセックスはできるものだというお告げあり(鈴木晴香・女・30歳)
ああむこう側にいるかのこの蠅はこちら側なら殺せるのにな(木下龍也・男・24歳)
「あ―どこかにおっぱい落ちてないかな」言う友達よそれは事件だ(枢木くるる・男・26歳)
一人閉じ それを見てまた一人閉じ 最初に傘を閉じたのは誰(中山雪・女・25歳)
今回は、自由題の作品からが、なぜか多くなりました・・・・。
前回の第一弾を読んだ後には、今月号の「ダ・ヴィンチ」を買って、
最新の「短歌」を読まなければ、そして一度投稿してみようと言っていましたが、
今回は、短歌づくりもはじめていることだし、今年中に必ず投稿したいもんですな。
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